板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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お知らせ(by Mori)  「学ぶことは、一生続く・・・」

(今週末は、特別に「企業と法律」から離れてエッセイを書きました。)

みなさん、こんにちは。板倉雄一郎事務所パートナーのMoriです。

今日は、私がこのセミナーを受けた理由も含めて、学ぶことについて書き綴ってみましたので、これを「お知らせ」のエッセイにしたいと思います。

私は、今は、法律家を生業としていますが、ずっと法律の勉強ばかりをしてきたわけではありません。当たり前ですが、小学校の時は、国語・算数・理科・社会をはじめとする基本科目を学んでいましたし、中学・高校時代は、英語が加わり、算数が数学に変わりますが、法律は公民や政治経済で少し触れる程度で、その他の勉強がほとんどです。大学時代も専攻は、政治思想史でした。

法律家になるのであれば、法律ばかりを勉強していればよいのでしょうか。当たり前ですが、答えは、「否」です。これは法律家に限らず、他のどの職業でも、その職業に特に必要とされていることのみを学べばよいということはありません。

多くの大人は、私と同じように、子供の頃は、「本を読め」といわれたり、算数の問題を解かされたりして、「こんなの将来必要ない。チクショー」なんて、思っていたにもかかわらず、社会に出てから、何故国語や数学が最も重要な科目とされていたのか、今、肌身で実感されていると思います。そして、「もし、時間があれば、○○も勉強したい」と思うことも増えていらっしゃるに違いありません。

私は、弁護士になってからも、いろいろな場所に学ぶ機会を求めたり、多くの本を読むようにしていましたし、今もそうしています。ある時、法律家として仕事をやっていくためには、やはりビジネスとしての素養が必要だと思い、事業戦略やマーケティング、アカウンティング等を学びました。簿記2級もとりました。それは、弁護士として会社とお付き合いさせていただくにあたり、会社の経営陣が考えていることを知ること、経営のバックグラウンドとなる考え方をすぐに理解できるようになること、そこで話されている言葉を共通言語にすることは、重要だと思っていたからです。そして、ビジネスについて学んでいるうちに、ファイナンスについての知識と理解が必要であると思うようになりました。

ファイナンスは、とりわけ法律家とも接点の深いエリアです。仕事柄、会社が資金調達する場面に立ち会い、サポートさせていただくことも多いですし、M&Aのサポートをさせていただくことも多いです。ただ、ファイナンスについて勉強することが決まったのはよいのですが、世にはいろいろなファイナンス講座があり、迷うことになりました。貴重な時間とお金を投資するわけですから、やはり最も効率のよいものをチョイスしようと考えました。

ところで、私は、勉強量について、私見というか仮説をもっています。それは、

勉強量 = 学習の質 × 集中力 × 勉強時間

というものです。何かをする時の能力は、勉強量のn乗(0<n)にだいたい比例します。

この仮説を前提にすると、学習の質が高く、自分が集中できそうな環境で、一定量の勉強時間をこなすことが重要であることになります。

学習の質は、講師の能力や、学ぶ順序、学ぶ姿勢、環境等に大きく左右されます。集中力も、学ぶ環境や学ぶ姿勢に大きく左右されます。

私は、ファイナンスの講座を提供しているところを比較し、これらの要素を調査し、大まかに「勉強量/コスト」をイメージすることにし、その結果、板倉雄一郎事務所が提供しているセミナーを受けることにしました。2日間でみっちり理解し、最後は、グループワークでDCF法を実践して、プレゼンするというのは、学習の質、集中力において、効果が高いと思いました。また、2日間という時間は、少なくとも丸々16時間程度はあります。1回2.5時間の講座、6回分より長いです。勉強時間という意味でも特に問題ないと思いました。さらに、講師の質を見極めるために、ずっとエッセイを読みました。このブログで提供されている過去のエッセイを読むと、ファイナンスの理論と現場を自分の頭で、考えるには、もってこいでした。「このエッセイで書かれていることは、本当か?」という疑問をぶつけて、考えるのです。読んで、即座に意味が分かる人はセミナーを受講する必要はないでしょう。ただ、「いや、○○という風にも考えられるのじゃないか。」とか、「イマイチ、納得できん」とか、「このあたりがよくわからん」という方は、是非、ファイナンスを勉強することをオススメいたします。(※)私は、「イマイチ、納得できん」ところや、「このあたりがよくわからん」という部分がかなりありました。また、本を読んでも、思った以上に時間がかかりそうだし、理解も浅くなりそうだと思いました。

これが、私がファイナンスを勉強しようと思い、セミナーを受けた理由です。

多くの仕事人にとって、国語力や数学力、英語力もさることながら、「会計」「ファイナンス」の知識は、ビジネスの場面、家計の場面の両方で、必要とされるのではないでしょうか。もっと、平たくいえば、「お金に関する知識と智恵」があれば、もっと自信をもっていろいろ判断できるかもしれないという場面が結構あるのではないでしょうか。

話は飛びますが、私の好きな漫画の一つに、「マスターキートン」(勝鹿 北星, 浦沢 直樹著)という漫画があります。この中で、主人公であるキートンは学生達に、「人間はなぜ、学ばなければならないのでしょう」と問いかける場面があります。彼の答えは、「肩書きや、出世」のためではなく、「それが人間の使命だから」というものでした。私は、なぜかこの場面が印象に残っています。様々なことを学び、理解しようとすることは、自分自身の生活を豊かにするだけでなく、他者の行動を理解し、寛容になることににも繋がるのではないでしょうか。

少なくとも、「お金に関する知識と智恵」を理解することは、他人の行動や社会の原理を理解することにも大いに繋がります。そのようなことについて、大いに議論したい方、お待ちしています

※ 過去のエッセイで、個別銘柄に言及しているものがあり、たまに、個別銘柄について、現在の知識をもって過去の見方を批判される方がいらっしゃいますが、エッセイに記載されている個別企業についての将来業績分析をいくら批判しても、ファイナンスの知識の重要性は微動だにしませんし、セミナーの価値も変わらないと思います。なぜなら、会計とファイナンスの知識は、個別企業を検討する時の「共通言語」だからです。個別企業に対する見方が個人個人によって異なって当然であるということは、少なくともセミナー受講生であれば、自明の理でしょう。


2008年4月12日  M.Mori
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