板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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Go Ahead【給与振込は御社のメインバンクである当行へ!】

表題の様な営業を受けた事が無い人の方が少ないでしょう。
この目的、なんだかお分かりになりますか?
そりゃ、単純に、銀行にとっての顧客獲得という目的もあるでしょうけれど、もっともっと大切な目的が銀行側にあります。

例えば、あなたが勤める企業のメインバンクがA銀行で、その取引先のメインバンクもA銀行で、その顧客のメインバンクもA銀行で、あなたの給与振込口座もA銀行で、あなたが普段の消費で買う商品を提供する企業のメインバンクもA銀行だとしたら、あなたやあなたの勤める企業がどんな商取引を行ったとしても(その取引で損をしても得をしても)「A銀行の預かり資産は減らない」ということです。
その上、様々な商取引における手数料も全てA銀行に入り、それぞれの資産運用もA銀行が手がけ、あなたの住宅ローンもA銀行が融資する。。。
A銀行はウハハですね(笑)

これを応用すると・・・

A銀行に口座をおくL社が、同じくA銀行に口座をおく株主で構成されるM社の買収を行うとしましょう。この時、その仲介を行うのがA銀行傘下のA証券だとしましょう。
買収額が大きくなれば、買収企業であるL社株主の損失は大きくなり、非買収企業であるM社株主の儲けは大きくなります。
しかし、買収額がどんだけ大きくなっても、A銀行グループは、儲かりこそすれ損をする事はありません。
むしろ買収額が大きい方が、仲介手数料ばかりではなく「広告塔」としての宣伝効果が大きくなります。

さらに応用すると・・・

以上の「仕組み」をポジティブに捉えれば・・・
もし、あなたが株主をやっている企業に買収提案があったら、その仲介業者である投資銀行や銀行にこう言ってみてください・・・
「買収額を倍にしてください。その代わり、僕に入ってきたお金は、全てあなたの銀行に預けますから」と。
買収額が大きくなるかもよ(笑)

2013年2月7日 板倉雄一郎