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パートナーシップのココロ 第1回「パートナーシップとは何か」

(毎週火・木・土曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

皆様こんにちは。板倉雄一郎事務所パートナーの橋口寛です。

これまで、「板倉雄一郎事務所のひとびと」と題した「深夜枠」エッセイを書かせていただいていましたが、ついに紹介すべき「ひとびと」が一回りしてしまいました。
(私自身については、いつか代表の板倉氏が自ら紹介してくれるそうです。何を書かれるのか、おそろしや・・・)

そこで、今回からは新しいテーマに切り替えたパートナーエッセイを書かせていただきたいと思います。


題して、「パートナーシップのココロ」。

我々板倉雄一郎事務所は、パートナーシップ・スタイルで運営されている組織です。
私は、この板倉雄一郎事務所で活動を行っていく中で得た経験に基づいて、昨年「パートナーシップ・マネジメント」という本を書かせていただきました。

同書の中でも書きましたが、これからの日本は、パートナーシップ的なマインド、パートナーシップ・スタイルでの働き方が、大きな価値を生んでいく時代になると、私は確信しています。

では、「パートナーシップ」とは、そもそも何なのでしょうか?
世の中には、さまざまな定義があることと思います。
しかし、私はこれを
「共に何事かを成す仲間との、信頼に基づく対等な関係」
と定義したいと思っています。

信頼のない関係は、もはや「パートナーシップ」とは呼べません。
対等でない、どちらかが上位者である関係や、どちらかが精神的に依存している関係もまた、「パートナーシップ」とは呼べません。

信頼関係に基づく、構成員がそれぞれ自立し対等である関係のみが、「パートナーシップ」と呼べるのだと思います。

この、
「信頼関係があること」
「対等であること」
は、いずれも、人間のマインドに関わることです。

信頼関係は、契約書や組織図によって規定されるものではありません。
組織図をフラットにしたからといって、対等な関係性が生まれるわけではありません。

ピーター・ドラッカーは、
「知識労働者が、誰かの部下ということはありえない。同僚である」
と書きました。

すべてナレッジ・ワーカーにとって、どちらかが上位・監督者であり、どちらかが下位・被監督者である、という概念は、そもそも不要だ、ということでしょう。
それぞれがプロフェッショナルとして自立した、対等な関係こそが、個々のナレッジ・ワーカーとしての価値を最大化してくれるのでしょう。

天然資源を持たない我が国、第二次産業においてもナレッジ・ワーカー化が進む我が国において、この「パートナーシップ・マインド」の必要性は、益々大きくなってくるものと思います。
(日本は、製造ラインで働く人々にも、ナレッジ・ワーカーとしての役割を求め、成功してきた稀有な国であると思います。
これについては、いつか取り上げたいと思います。)


日本でも一昨年・昨年の法律改正によって、LLP(Limited Liability Partnership:有限責任事業組合)やLLC(Limited Liability Company:合同会社)といったパートナーシップ組織の設立が可能になりました。
しかし、世の中には、これら一見すると「パートナーシップ・スタイルの組織」に見える組織であっても、実態はまったく異なるものが多く存在します。
厳然たるヒエラルキーが存在し、依存心が蔓延しているパートナーシップ・スタイルの組織は、決して少なくありません。

同様に、通常の株式会社組織であっても、マインドとして、「パートナーシップ・マインド」をもって運営されている会社もまた、実は少なくありません。

私は、前者のような組織は、組織形態はどうあれ「パートナーシップ組織」ではないと考えますし、後者のような組織は、立派な「パートナーシップ組織」だと思うのです。

大切なことは、「組織図のかたち」や、「内部統制のルール」や、「契約書の文言」などではありません。
大切なことは、そのパートナーシップを構成するメンバーの「心の持ちよう」なのです。

サン・テグジュぺリの名作「星の王子様」の中に、
「大切なものは、目に見えないんだよ」
という一節があります。
まさに、組織図・規定・契約書といった「目に見えるもの」ではなく、マインドのような「目に見えないもの」にこそ、大切な本質が潜んでいるのだと思うのです。

こんなことを書いている私自身、これまで携わってきたパートナーシップのすべてがうまくいってきたわけではありません。
中には「大」がつくような失敗もあり、痛い目にも遭ってきました。
このあたりの失敗体験についても少し触れさせていただきたいと思います。

「パートナーシップのココロ」。
次回以降、我々がパートナーシップを確立していくために、どのような「心の持ちよう」が必要となるのかについて、より具体的に書いていきたいと思います。


2007年3月10日  橋口寛
ご意見ご感想、お待ちしています!

次回パートナーエッセイは、3月13日(火)にShimoda氏が担当します。

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