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パートナーエッセイ

板倉雄一郎事務所パートナーによるエッセイ

(毎週木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

板倉雄一郎事務所パートナーの吉原です。

最近、いろんなところで「リーダー」の交代劇が目につきますね。

例えば、トヨタ自動車は創業家への大政奉還を行いましたし、ホンダ東芝は今後の成長分野に精通した人材を経営トップに起用。

また、県知事ではタレント出身の知事が大きく注目され、千葉市長選では31歳の若手候補が当選しました。

一方、日本郵政のトップ人事はずいぶん迷走していますね。

(かんぽの宿に関する一連の報道を見ていると、「中途半端に利害調整するとロクなことにならない」ということをつくづく感じます)

ただ、今年夏の総選挙で政界の勢力図が塗り替えられる中で、こちらも収束していくでしょう。

こうしたリーダー交代の流れがあちこちで目につくということは、新リーダーには過去のしがらみと決別し、新しいビジョンを打ち出してもらいたいという期待が大きいということだと思います。

ただ、こうして新リーダーが誕生すれば後は全てOKというわけではなく、

「周囲の人達が新リーダーをどのようにサポートするか?」

という点が個人的には大事だと感じています。

というのも、本当に「過去のしがらみと決別し、新しいビジョンを打ち出す」ことができる新リーダーは、一般の人々にとって受け入れ難い面が多々あるからです。

【新しいリーダーに求められる要件】

私は今のようなご時世こそ、世の中の常識を変える「起業家マインド」を持ったリーダーが必要だと思います。

私はこれまでのキャリアを通じて、一貫して「ビジョンを掲げる起業家の方々に対する実務的な支援」を続けており、幸いにも多くの優秀な起業家の方々とお仕事させて頂くことができました。

起業家にも様々なタイプの方がいらっしゃいます。

派手な方もいれば、地味な方もいらっしゃるし、
体育会系な方もいれば、文科系な方もいらっしゃるし、
高学歴な方もいれば、学歴なんて無縁な方もいらっしゃいます。

ただ、私の経験則では、どんなタイプであれ、世の中にインパクトを与えている起業家の方は下記の2つの要素を必ず持っているように思います。

(1)シンプルに物事を突き詰められること
(2)状況に応じて自分の意見を柔軟に変化できること

世の中で解決が困難とされている問題の多くは、当事者がいろんなことを考慮し過ぎてわざわざ難しくしている側面があります。

こういう時に、様々なしがらみをあえて考慮せず、シンプルな視点から利害関係者全体の利益を最大化させる解決策を提示できる人が優れた起業家だと思います。
(例えば、かんぽの宿の問題も「経済的取引」の視点で考えれば結論は自明ですよね)

また、現在のような変化が激しい環境の中で問題解決を行うには、より高い視点で物事を考えた上で柔軟に対処することが必要になります。

一般的に「整合性」や「一貫性」は周囲に安心感・信頼感を与える概念であるため、自分の過去の言動や成功体験等から路線変更することはなかなかできなかったりします。

しかし、起業家の方々は、より高い次元の目標を達成するためには低い次元での整合性(一貫性)には全くこだわりません。

【良薬は口に苦し?】

ただ、これって、ある意味「空気を読まない人」です。
言い換えるならば、「波風を立てる」人ですね。

優れた起業家が掲げるビジョンは一部の人達にとっては「ミもフタもない厳しい意見」であることが多く、また、そのビジョンを形にするには、現場の実務担当者が様々な現実とのギャップを解消する必要があります。

また、起業家マインドを持ったリーダーの言動は環境変化に応じてどんどん変化しますので、周囲の人達からすれば「一貫性がない」「信用できない」というように受け止められるかもしれません。

特に最近は「空気を読まない」人への風当たりが強いため、こうした人達が叩かれやすい環境にあるように感じませんか?

起業家マインドを持った人達を「最初に持ち上げて、後で落とす」事例って、けっこうあるように思います。

でも、そういう対応ってどうなの?と思うわけです。

リーダーを取り巻く人達は、安全な場所からリーダーを批判・評論するだけでなく、リーダーの掲げるビジョンを前向きに受け止めてサポートすることで本当のリーダーシップが醸成されていくように思うのです。

【まとめ】

単なる景気の循環にとどまらず、今は時代の大きな変わり目だと思うので、
我々が新しいリーダーをどのように受け入れるのかというのは非常に重要だと思います。
(場合によっては、戦争の可能性だってありえるわけですし・・・)

これから新しいリーダー達が掲げるビジョンは、耳障りの良い話もあれば、厳しい話もあると思います。そして、積極的に支持すべきリーダーもいれば、そうでないリーダーもいると思います。

私は、それらを冷静に吟味した上で、納得できるビジョンを掲げている新リーダーに対しては批判・評論するよりも積極的に支援したいです。

最近のリーダー交代に関する一連のニュースを見て、そんなことを思いました。

2009年6月25日  S.Yoshihara
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