(毎週火・木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)
板倉雄一郎事務所パートナーの吉原です。
先日、シンセン(中国の華南地域にある経済特区)に行ってきました。
来月から私が仕事で中国に駐在することになったため、部屋探しに行ってきたのです。
部屋探しの過程でシンセンの街並みや住居物件を見たり、大家さんや賃貸仲介業者と話をすることで色々と興味深い経験ができました。
そこで、今回のエッセイでは、IR物語の番外編として「中国での部屋探しで感じたこと」を皆さんにお伝えしたいと思います。
(今回の内容は自分の見聞から感じたことが中心のため、統計や文献による裏づけはありません。なので、中国に詳しい方からすれば「ちょっと違うんじゃないの?」という箇所があるかもしれませんが、その際には是非こちらまでご意見・ご感想を頂けると幸いです。)
【中国 住宅事情】
中国の住居は、日本と違って一戸建てがほとんどなく、マンションが中心です。また、一口にマンションといっても、一般の現地住民が住んでいるマンションと中国の富裕層や外国人が住むマンションでは品質(安全)・家賃の面において大きな違いがあります。
今回、私が見てきたマンションは、どちらかと言うと中国の富裕層や外国人が住むマンションでした。
これらのマンションの多くは、入り口に警備員付きの大きな門があり、緑の生い茂った中庭とプールがあり、その周りを複数の高層マンションと高い壁が取り囲んでいる、といった雰囲気です。
日本(特に東京)ではあまりお目にかかれない広さ、そして、想像以上にセキュリティ体制が整備されていることに驚きました。
また、中国のマンションは同一マンション内の同じ間取りの部屋であったとしても、部屋内の雰囲気が大きく異なります。
というのも、中国では、新築マンションが内装なし(コンクリート打ちっぱなしで、電気コンセント・配管以外は全くない状態)の状態で売買され、内装工事はオーナーがそれぞれの好みで行うことが通常だからです。
(最近では少しずつ内装付きの物件も増えているようですが・・・)
なので、同一マンション内であっても、中国風の内装もあれば、韓国風や日本風の内装もあり、非常に個性的でした。
気になる賃料ですが、私が見せていただいた物件はほとんどが100㎡前後で、4,000元(約6万円)/月~12,000元(約18万円)/月という価格帯でした。
物件の立地・内装の充実度・築年数等によって、やはり幅があります。
【中国の不動産市況】
中国で部屋探しをしていると、多くの場合、賃貸業者だけでなく、大家さんも部屋の下見に立ち会います。
そこで、複数の大家さんと話をしたところ、皆さん「ここ2~3年、中国の不動産価格は非常に上がったが、今年は下げ局面に入っている。」と言っていました。
ある大家さんは、「2年前に6,000元(約9万円)/㎡で買った物件が昨年のピーク時に18,000元/㎡になり、今は13,000元/㎡まで下がった」そうです。本当かどうかわかりませんが、何ともダイナミックな値動き・・・。
中国の不動産価格は割高or割安?を調べるために、大家さんの購入価格と賃貸収入を比較してみました。比較して感じたのは、「中国の不動産価格はまだ高いのではないか?」ということです。
ある大家さんが購入した物件は25,000元/㎡だったそうです。
その物件は120㎡だったので、日本円換算(15円/元)すると約4,500万円で購入したことになります。
その物件を8,000元/月(約12万円)の賃料で賃貸に出していたので、
年間賃料約144万円÷約4,500万円≒3.2%の表面利回りです。
これに対して、銀行から融資を受けている利率は5.4%とのことでした。
既に逆ザヤです・・・。
複数の大家さんに聞き取りしている限り、このような利回りが合わない物件が多いように感じました。
しかも、彼らはそうしたことを計算している様子はないのです。
基本的にキャピタルゲイン狙いなので、賃貸による利回りはあまり考えておらず、次に転売するまでの小遣い稼ぎに賃貸に出しているという印象です。かつての日本の不動産バブルに近いものを感じました。
数年前から不動産投資をしていた大家さんは、ここ数年の値上がり益を享受してウハウハだったようですが、遅れて参加した大家さんには厳しい状況のようです。
また、今更ながら今回の滞在で初めて知ったのですが、中国では土地の私的所有権がまだ認められていないのですね。
現在、中国で不動産が売買されているのは、あくまで土地使用権の売買で、住居マンションの場合は70年の借地期間になるそうです。(日本の定期借地権に近いですね)
借地期間の間、そして期間満了後、貸手である中国という国家が何を言い出すかはわからないとのこと。
そんなことを気にしても仕方がないかもしれませんが、不動産に投資をするとしたら個人的にはちょっと気になるところです。
【再会】
シンセン部屋探しの滞在中、板倉雄一郎事務所による合宿セミナー卒業生であるTさんにお会いしました。
既にシンセンに駐在されていて中国語がたん能なTさんから、中国語の勉強の仕方、中国での営業手法、中国の投資事情について色々と教えていただきました。
当事務所のコミュニティが世界中に広がりつつあることを実感・・・。
合宿セミナーの卒業生が約800人に達した今、色々なご縁があることに感謝。
中国を肌で感じることができた充実の部屋探しでした。
P.S^1
中国への投資(特に株式)をきちんと勉強したいという方には、
「中国株投資の王道」(著バートン・マルキール他)がオススメです。
中国株式関連の本って、「中国は高成長だから必ず儲かる!」みたいな安易な本がとても多いですが、この本は名著「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理」の著者が中国株式を分析したとあって、読みごたえのある内容です。
かなり中国に対して強気ですが・・・興味のある方は是非!
PS^2
6月29日(日)にオープンセミナーを開催します!
オープンセミナーのテーマは、①「有価証券報告書の読み解き方」、②「板倉さんによる講演」の2本立てです。
この組合せのオープンセミナーは過去2回(06年・07年)の開催でいずれも100名を超える方々がご参加され、好評の声を数多く頂いたセミナーでした。
その時、受講者の方から頂いた興味深いご感想↓がこちら。
『「有価証券報告書の読み解き方セミナー」は「左脳」型、「板倉さんによる講演」は「右脳」型の内容で、それぞれの違いが特徴的で面白かったし、とてもためになりました!』
左脳・右脳?・・・どんな内容かは是非オープンセミナーに参加して確かめてみてくださいね。興味のある方は是非こちらまで!
2008年5月29日 S.Yoshihara
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