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IR物語 第32回「企業価値評価を就職に活かす!」

(毎週火・木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

板倉雄一郎事務所パートナーの吉原です。

早いもので今年も4月ということで、新入社員の皆さんが社会に飛び込んでくる時期になりましたね。
今年入社する方は売り手市場の中での就職活動だったので、例年よりも希望通りの就職ができた方が多かったのではないでしょうか。

就職活動と言えば、毎年各種メディアから発表される「大学生の就職人気企業ランキング調査」があります。

ちなみに、2009年卒の大学生を対象にしたランキングは下記のとおりです。
(2008年3月13日 毎日コミュニケーションズ発表

【文系総合ランキング】

  1位 JTBグループ
  2位 資生堂
  3位 ANA(全日本空輸)
  4位 三菱東京UFJ銀行
  5位 JAL(日本航空)
  6位 みずほFG
  7位 三井住友銀行
  8位 トヨタ自動車
  9位 ベネッセコーポレーション
 10位 オリエンタルランド

【理系総合ランキング】

  1位 トヨタ自動車
  2位 資生堂
  3位 ソニー
  4位 カゴメ
  5位 シャープ
  6位 日立製作所
  7位 サントリー
  8位 松下電器産業
  9位 三菱重工業
 10位 本田技研工業

多くの方がご存知の大企業が並んでいます。
このランキングは、「知名度のある大企業で採用者数の多い企業が上位になりやすい」傾向がありますね。

皆さんはこのランキングを見てどのように思いますか?

私は毎年このランキングを見るたびに、「もっと将来性のある企業はたくさんあるんだよなぁ・・・」と思います。

ただ、自分もそうだったのですが、大学生の頃って、TVのCM等でよく見る大企業だけが良い企業だと思っていて、就職先選びもイメージ優先で、なかなか企業の中身を見るなんてことはやらないですよね。

企業側もそれをよく承知しているので、就職活動の時に学生側に伝える情報は「イメージの良い」話ばかりであり、わざわざネガティブな情報を伝えてくれる企業は少ないです。

就職先選びは実務経験の内容や人との出会いに大きな影響を及ぼすため、人生にとってそれなりに大きなイベントにもかかわらず、けっこうアバウトな理由で就職先を決めていることが多いのではないでしょうか?

自分が板倉雄一郎事務所でセミナー活動をさせて頂くことになって2年が経ちましたが、「企業価値評価の考え方を理解すると、投資もさることながら就職選びに役立つよなぁ・・・」としみじみ思います。

企業価値評価の考え方が就職選びにどのように役立つかと言うと・・・

1.IR情報はリクルート情報よりも役に立つ!

企業価値評価を行うためには、まずその企業の内容を理解するためにIR情報(有価証券報告書や適時開示情報等)を調べることから始まります。

IR情報は「イメージの良い」話ばかりのリクルート情報と異なり、良いことも悪いことも開示する必要があります。そのため、IR情報の見方がわかると、その企業の良い点・悪い点を網羅的に理解することができ、自分の価値観・やりたいことに合致しているかどうかをより深く判断することができます。

2.企業価値創造のメカニズムを理解すると将来性の評価に役立つ!

企業価値評価を行うにあたっては、企業価値を創造するメカニズムを理解する必要があります。

どのような経営を行えば企業価値が高まるのか?
各企業の価値の源泉(強み)は何か?

これらを理解することで、企業の将来性を自分なりに評価することができます。

企業が経営破たんする時って、従業員は「全く気づかなかった・・・」なんてことがよくありますが、企業価値評価の考え方を理解すると、経営陣が企業価値を毀損するオペレーションを行った時に、「この会社にいて大丈夫だろうか?」と感じることができます。
一方、優秀な会社では、多くの従業員が企業価値向上のオペレーションを意識しています。経営陣が意識させているとも言えますね。

これらのことを理解すると、将来性のある(企業価値を継続的に向上させることのできる)会社は必ずしも大企業ばかりではないことに気づき、就職先の選択肢が広がりますよ。
(就職に限らず、個人で事業を立ち上げる際にも有益です)

私は、企業価値評価の考え方って、「経営陣だけが知っていればよい難しいもの」ではなく、各個人の意思決定にも使えるものだと思っています。

これから就職する皆さん、また、転職を考えていらっしゃる皆さん、
株式や債券に投資するためだけでなく、自分の就職先を選ぶためにも企業価値評価を一緒に学んでみませんか?

ご好評につき30回目を迎える合宿セミナーで、多くの方とお会いできることを楽しみにしています!

PS 合宿セミナーの卒業生には、合宿セミナーで得た知識をもっと直接的に活かして金融業界へ転職された方も数多くいらっしゃいます。
最近、私がIR業務を担当している会社でも、合宿セミナー卒業後にアナリストへ転職された方と仕事でご一緒する機会が出てきました。
こうした縁って、なんだか不思議ですね。


2008年4月3日  S.Yoshihara
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