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IR物語 第39回「混迷の時こそインプット」

(毎週火・木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

板倉雄一郎事務所パートナーの吉原です。

気がつくと、株式市場が大きく下落してますねぇ・・・。

以前、3月決算企業の本決算発表後に日本株式市場の株価が下がるのではというエッセイを書きましたが、そんな流れになってきました。

資源高や法規制の強化など事業を行う上での外部経営環境もネガティブ要因が増えています。業績の悪化する企業、さらには経営破たんする企業が増加しており、投資家も苦しいでしょうが、経営者も経営判断に迷う苦しい時期ですし、従業員も同様だと思います。

私は基本的に勝負事が好きなのですが、勝負事で流れが悪い時には思うように事が運ばなくなります。何だか今はそれに似た印象があります。

では、こうした中、私たちはどのように対処すべきなのでしょうか?

こうした時の対処の仕方は人それぞれだと思いますが、最近、私は(自分の中の)モードを切り替えて、

「アウトプットを求め過ぎずに、インプットを重視する」

ということを意識するようにしています。

勝負事で流れが悪い時に大事なのは、
「一発逆転を狙って焦らないこと」だと思います。

流れが悪い時というのは、懸命に努力したからといって、結果がすぐに得られないことが多々あります。そのため、結果を焦って無理に攻めると、傷口を広げる結果になりがちです。

私のつたない経験則では、守りを固めて粛々とやるべきことをやって、次の流れを待つしかありません。
「結果を急がない」というのは「言うは易く、行うは難し」ですが・・・。

では、焦らずに何をするかというと、流れが悪い時ほど「インプット」だと思います。
ここで私が考える「インプット」とは、下記のことを指しています。

「現在の流れ」をじっくり観察して、自分なりに分析する。
その分析結果を基に、「次の流れ」に向けて自分に合った準備をする。

自分のことを例に挙げると、1ヶ月前より、私は中国(シンセン)に駐在しています。

これを実行しようと思ったのは、自分の中でここ1~2年、世の中の流れが変わりつつあるような気がしていて、「次の流れ」に向けて何か新しいインプットが必要だと感じたからでした。

あくまで直観的な判断なので、中国に来ることで何か具体的な次のビジョンを描けているわけではありません。

今は全く聞き取れない中国語と悪戦苦闘しており、株式市場をウォッチする余裕もなく、短期的なリターンとは程遠い日々を過ごしていますが、久しぶりの「インプットモード」は「次の流れ」への準備につながる楽しさがあります。

上記の事例はあくまで私の場合に過ぎず、今は海外に行くのが良いとか、そういうことを言いたいわけではありません。

こういう時こそ、ふと立ち止まって、現状について考える時間を作り、今後に向けて新しい知識や経験を積み重ねることが大事なのだと思うのです。

古代中国の漢詩「漁父辞」に下記の一節があります。

滄浪之水清兮 滄浪の水が清らかに澄んだときは
可以濯吾纓  自分の冠のひもを洗えばよい
滄浪之水濁兮 もし滄浪の水が濁ったときは
可以濯吾足  自分の足でも洗えばよい

上記は、楚国の貴族であった屈原が「自分は清らかであるのに対し、世の中は汚く酔いしれているから(自分は)追放された。しかし、そんな世の中に迎合するつもりはない。」と述べたのに対する漁父の一言です。(詳しい解説はコチラをご覧ください)

私はこのフレーズが好きで、前述の考えに通じるところがあると思います。

外部環境を嘆いたり、焦ったりしても仕方がない。
その環境に応じてやるべきことをやればよい。

私は中国で自分なりの足の洗い方を模索したいと思います。

皆さんは混迷のご時世をどのようにお過ごしですか?
もうすぐお盆休みもありますので、一度ゆっくり考える時間を作ってみてはいかがでしょうか?

P.S.
「インプット」の重要性については板倉さんが数多くのエッセイを書かれており、このエッセイもその影響を受けています。
とても興味深いエッセイばかりなので、サイト上部のGoogle検索にて「インプット」や「時間」で検索してみることをオススメします。

ちなみに私の好きなエッセイは↓です。
 ITAKURASTYLE 「欲しいなら」
 SMU 第46号「インプットの期間」
 SMU 第48号「インプットの期間2」

2008年7月24日  S.Yoshihara
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