(毎週火・木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)
板倉雄一郎事務所パートナーの吉原です。
先日、11月24日(土)は久々のオープンセミナーでした。
おかげさまで100人以上の方にご参加頂き、2007年最後である板倉雄一郎事務所のセミナーを盛況のうちに締めくくることができました。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました!
私はその中で「有価証券報告書の読み解き方」を担当させて頂きました。
セミナー終了後には、多くの方から「有価証券報告書に興味を持ちました」という感想を頂き、私としても「セミナーやってよかったなぁ」と嬉しい気持ちになりました。
ただし、どんなセミナーにおいても、セミナーを受講している時にはすごくわかったような気がするんだけど、いざひとりでセミナーの教えを実践しようとすると難しい時って、ありませんか?
「有価証券報告書の読み解き方」セミナーを例に取ると、有価証券報告書から様々な情報を入手・活用できることはわかったけど、いざ自分で読み解こうとしてもわからないことが多くて、ひとりで読むのは苦痛だ・・・という方がいらっしゃるかもしれません。
ひとりで実践することは楽しいものでなければ続かないですよね。
そこで、今回のエッセイでは、私が考える「有価証券報告書を楽しむためのポイント」について簡単にご紹介したいと思います。
先日のオープンセミナーにご参加頂いた方はもちろんのこと、参加できなかった皆さんにもご参考になれば嬉しい限りです。
【はじめに】
まず、第一に、有価証券報告書という書類は、初めて読む方にとってあまり読みやすい書類ではないです。
グラフや絵を使って説明している箇所はほとんどなく、数字と文字のみで100ページ前後の説明が続きます。
なので、ひとりで読むとよくわからなかったり、心が折れたりすると思いますが、くじけないでください(笑)
外国語を学ぶのと同じ要領で、まずは多くの会社の有価証券報告書を読んで有価証券報告書の形式に慣れることをオススメします。
最初は、少しでもわかりにくさを取り除くために、自分が詳しい業界に関する会社の有価証券報告書を読みましょう。
自分の知識・経験と照らし合わせながら読むと理解しやすいですし、読み解ける度合いが深いです。
とはいえ、やみくもにたくさん読んでも、なかなか習熟している実感がわかないかもしれません。(それはそれで何らかの気づきがあるので大事なのですが)
次は、読む際のポイントについて触れてみたいと思います。
【会社の利害関係者を知る楽しさ】
有価証券報告書は、財務諸表数値に関する情報(定量的情報)と利害関係者や会社の概要を紹介するための情報(定性的情報)で構成されています。
カンタンにいうと、数字の情報と数字以外の情報ですね。
会社のことを理解するためには、その会社の事業活動にどのような利害関係者が関与して、どのような事業モデルで会社が運営されているのかを把握することが重要です。
お客様はどのような人達(個人・法人)なのか?
どんな経歴を持った経営陣が経営しているのか?
どのような特性を持った株主が主要株主なのか?
従業員は何人いて、平均年齢・給与・勤続年数はどのくらいか?etc・・・
有価証券報告書では上記の情報を把握することができます。
そして、それらを知るだけでも、会社の特徴が見えてきます。
利害関係者の情報(定性的情報)はヒトに関する情報なので、数字の情報(定量的情報)に比べて理解しやすいです。
なので、まずは、定性的情報を読んで、「どういう人達でこの会社が運営されているのか」を把握することをオススメします。
そこには、会社の利害関係者ごとに様々な人間ドラマがあります。
会社を構成する様々なヒトに思いを馳せると面白いですよ。
【会社のストーリーを知る楽しさ】
有価証券報告書を読む醍醐味のひとつに、「会社のストーリーを理解する」ということがあります。
前述の「利害関係者を知ること」は、いわばドラマの登場人物を知ることです。一方、こちらは、ドラマのシナリオを理解することと言えますね。
会社が継続している限り、必ず何かしらのストーリーがあります。
設立したばかりで急成長過程にあったり、
成熟産業で今後の成長戦略が描けず、ジリ貧の局面だったり、
主力事業がピークを迎えて、次の成長に向けての踊り場の時期だったり、
会社が置かれている状況はさまざまです。
こうしたストーリーを意識しながら読むと、ドラマを観るように楽しんで有価証券報告書を読むことができます。
そして、そのストーリーを理解するためには、時系列で情報を把握することが必要です。
売上や利益といった財務諸表数値がどのような推移を示しているのか?
主力事業がどのように移り変わっているのか?
経営者、株主、従業員はどのように変化しているのか? etc・・・
有価証券報告書から過去5年くらいの情報を時系列で把握すると、その会社が置かれている状況を理解することができます。
その状況を把握した上で、「この会社はこれからどうなるんだろう?」と考えるのが楽しいです。
「経営陣が入れ替わったから、これからは株主利益を重視した経営に変わりそうだな・・・」って考えたり、「現在、高成長を成し遂げているけど、事業モデルを考えるとこの後は厳しいな・・・」なんてことを想像するのが楽しいですし、株式投資や就職先選び等のヒントになります。
【まとめ】
有価証券報告書はドラマを観るような気持ちで楽しめます。
そのためには、登場人物(利害関係者)とシナリオ(会社のストーリー)を理解することを意識しながら読むと面白いと思います。
このエッセイを読んで、有価証券報告書に興味を持った方は、EDINETで読んでみてくださいね。
また、より深く知りたいと思った方は、是非、合宿セミナーへ!
次回の開催は年明けの1月12(土)・13(日)です。
1年の始まりに受講することで、2008年は面白い1年になると思いますよ!
2007年12月4日 S.Yoshihara
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