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IR物語 第2回「IRを活用しよう!」

(毎週火・木・土曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

板倉雄一郎事務所パートナーの吉原です。

IR物語の第1回目をスタートしたところ、
さっそくある読者からご質問を頂いたので(ありがとうございます!)、
本日はそのご質問を取り上げてみたいと思います。

(ご質問:頂いたメールより抜粋)
「私自身が一投資家として今後、投資を検討している企業のIR部門に対する質問の仕方および担当者の応対のどのようなポイントをきちんとチェックするべきかについて、ご自身の経験等もふまえてコメントして頂ければ幸いです。」

なるほど!この質問を拝見すると、一般になじみのないIRという部門に対してどのように接すればよいのか戸惑いが感じられます。

私は、もっと多くの個人投資家が株式投資ひいては社会を知ることにIRを活用して欲しいと思っているので、自身の経験をふまえてコメントしてみますね。

まず、「IRに対する質問」には多様な方法があります。

質問により自分が知りたい情報をうまく入手するためには、
まず相手を知り、自分の知りたい情報に応じた方法を取る必要があります。

質問の方法としては、主に下記の方法があります。
「IR担当者に直接会って質問」>「電話で質問」>「メールで質問」

上記式の不等号(>)は、質問から得られる回答の有効度合いを示したものです。
単純に、コミュニケーション能力の度合いともいえますね。
メールだと一方通行のコミュニケーションですが、電話だと双方向のコミュニケーションが可能になりますよね。また、直接会って質問できると、相手が回答する時の雰囲気やしぐさを感じることができます。

一方で、IRへの質問のしやすさで考えると、この不等号は逆になります。
メールで質問するのが一番カンタンで、直接会って質問するのが一番難しいですよね。まさに、トレードオフの関係です。

また、質問の相手としては下記の相手が考えられますね。
「経営陣(特に代表者)」>「IR担当管理職」>「IR担当スタッフ」

上記式の不等号(>)は、先ほどと同様に、質問から得られる回答の有効度合いを示したものです。

より多くの情報を有し、意思決定の権限を有している方に質問する方が、自分の知りたい回答が返ってくる可能性は高いですよね。

また、先ほどと同様に、IRへの質問のしやすさは逆の不等号の関係になります。

さて、ここまでご説明した内容をカテゴリ分けした上で、
私なりにそれぞれに応じた質問の方法をまとめてみました。
質問の方法は、大きく分けて3つあります。


(1)「こいつ、わかってるな作戦」

まず、HPのIRサイトでIRへのお問い合わせ情報を探しましょう。
優秀なサンプルとして、こちらの会社をご紹介しますね。
そして、問い合わせ先がわかったら、IRに質問してみましょう。

<質問の心得(1)ある程度調べた上で質問する>

皆さんがIR担当者の対応を見定めるように、IR担当者も質問者を見定めて対応しています。

例えば「海外展開の見通しについて教えて下さい」といった漠然とした質問を頂くことがありますが、IR担当者は「当社のことをどこまで理解しているのかな?」と不安になるので、無難な回答に終始してしまいがちです。

しかし、会社の事業内容を調べた上での「御社の○○事業における北米での販売計画について教えて下さい」といった具体的な質問であれば、IR担当者は「こいつ、わかってるな」(失礼な表現ですが・・・)と判断し、ニーズに合った回答をすることが多いです。

このため、細かい情報を知りたい時には、IR担当者に対して、いかに「こいつ、わかってるな」と思わせるかがポイントです。

また、質問が具体的であるほど、IRスタッフから管理職に取り次がれる可能性が高まり、得られる情報が充実します。

また、「こいつ、わかってるな」作戦の上級編として、適時開示資料の問い合わせ先に電話するのも効果的です。適時開示資料には、問い合わせ先の電話番号(+問い合わせ責任者名)が明記されています。
(適時開示資料って何?という方は、こちらをご覧下さい)

電話する際には、「○月○日発表の開示資料についてお伺いしたいのですが、(問い合わせ責任者の)○○様いらっしゃいますでしょうか?」とおっしゃってみて下さい。
この場合、HPに書いてある電話番号へ単純に問い合わせるよりも、
管理職に取り次いでもらえる可能性が高まります。
なぜなら、こうした問い合わせ方はメディア(新聞、雑誌等)のスタイルであり、電話を取り次ぐ担当者も慣れたパターンのため、違和感なく取り次いでもらえる場合が多いのです。小規模企業の場合やプレス発表直後に電話をした場合は特に効果的です。

私が他社のIRに質問する時はこの手法をよく使います。
ついでに、開示資料と関係ないこともたくさん質問します(笑)
メールがまどろっこしくて、電話で詳細な質問をしたい方にオススメです。

<質問の心得(2)感謝、期待の姿勢を示す>

IR担当者も人間なので、回答に対する御礼のコメントや今後への期待を表すコメントを頂けると「忙しい中、回答した甲斐があったなぁ・・・」と嬉しい気持ちになります。特に嬉しく感じるのは、株価の下落局面でIRに対する批判の多い時期です(笑)。

このやり取りがあると、次回以降の質問の時にも好意的な雰囲気で迎えることができます。
そして、この好意的な雰囲気が(2)「お願い」作戦につながるのです。

続いて、(2)「お願い」作戦といきたいところですが、
長くなってしまったので、続きは次回で掲載しますね。
長文にお付き合い下さった方、ありがとうございました!

2006年11月2日  S.Yoshihar
ご意見ご感想、お待ちしています!

次回パートナーエッセイは、11月4日(土)に橋口寛氏が担当します。





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