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IR物語 第3回「IRを活用しよう!(2)」

(毎週火・木・土曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

板倉雄一郎事務所パートナーの吉原です。

今回は、前回に引き続いてIRの活用方法をお伝えしていきたいと思います。前回の内容はこちらをご参照下さい。

今日のメニューは、下記図表のうち(2)及び(3)です。

皆さんもご存知の投資家ウォーレン・バフェット氏が数十年にわたって高い投資パフォーマンスを維持しているのは、財務数値を読み解く術を持っているだけでなく、経営陣と直接会い、会社を肌で感じた上で、会社の信頼性を評価できる立場と能力を有していることが大きなポイントだと思います。

そこで、(2)及び(3)では、「一般の投資家がIRを通じて会社を肌で感じるにはどうすればいいか」という点に焦点を当てたいと思います。

「一般の個人投資家は、そんなことできないよ」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは、我々ができる方法を前向きに考えてみましょう!
バフェットだって、最初からこれらの能力や立場を有していたわけではなく、経験と共に蓄積されたわけですから。

(2)「お願い」作戦

この作戦は、投資先の会社や現場(店舗や工場等)を訪問・見学して、会社の雰囲気を肌で感じる作戦です。

先日、ある個人投資家との間でこんな出来事がありました。
ある日、個人投資家の方(以下、Aさん)がアポイントもなく、いきなり会社に訪れてきました。

Aさんは、元気の良いおじいちゃんという感じの方でした。
私が受付応対したところ、Aさんは当社の株主であり、少しの時間でよいから会社を案内して欲しい、とおっしゃるのです。

IR担当者は、相手が「株主」と名乗るとむげには扱えないものです。
(後で調べたら、この方は本当に株主でした。)
しかも、私は、Aさんに興味を持ったので応対することにしました。

話を聞くと、Aさんは会社経営をしている一方で、数十社の上場企業に投資をしており、時間ができたら投資先の会社を見学して回るのだそうです。そこでは、IR担当者の応対を確かめるだけでなく、「社内の雰囲気」を確かめるのだそうです。
きっと、会社経営を経験しているだけに特有の勘が働くのでしょう。

Aさんは、当社の事業内容も良く理解されており、わずかな時間でしたが、有意義なコミュニケーションが成立しました。

こんな形で、IR担当者を通じて会社情報を入手する方法もあります。

上記の例は一般的なアプローチではありませんが、
最近は個人投資家との交流に積極的な会社が増えてきたので、「会社訪問」や「工場見学会等のイベント開催」を「お願い」してみると、実現する可能性はあると思います。
(IRに興味のない会社や大きな会社の場合には、全く相手にされないかもしれませんが・・・)

この作戦は、図表(1)の段階でメールや電話を複数回やり取りして、先方のIR担当者と良好な関係を築いた後に行う方がより効果的ですね。

(3)「イベント参加」作戦

この作戦は、会社が個人投資家向けに開催しているイベントに参加することで、経営陣の雰囲気を肌で感じるものです。
最近、IRに注力している会社は、個人投資家向けに経営陣が説明する機会(会社説明会や株主総会等)を増やしています。
例えば、こちらこちらをご参照下さい。

私は自分の投資のため、そして、IR業務の勉強のために、
会社説明会や株主総会に参加するのが好きです。

会社説明会や株主総会では、資料による説明内容もさることながら、
プレゼンをする経営陣に注目しています。

<注目しているポイント>
 ・聞き手を魅了するプレゼンかどうか、
 ・信頼のおける雰囲気かどうか、
 ・話の内容と財務数値に整合性があるかどうか、
 ・投資家からの質問に適切に対応できているかどうか、
などです。

経営者という人種は話が面白い方が多いので、
(ベンチャー企業の社長ほど面白い!)
ライブで話を聞くとついつい引き込まれてしまいます。

しかし、話が面白いだけではダメなのが経営の辛いところで、
非常に夢のあるプレゼンを行った会社が、説明会後に大きな下方修正を発表することもあります(笑)

また、昨年末のライブドアの株主総会では、当時の堀江社長が号泣しながら演説する場面がありましたね。あれでライブドアを信じた株主もずいぶんいらっしゃったかもしれません。しかし、一方で、あの場面にシラけて株式を売却した株主がいらっしゃったかもしれません。

いずれにせよ、会社説明会や株主総会は、
投資家が自己責任で経営者の信頼性を目利きする場所です。
これが会社説明会や株主総会に参加する醍醐味ですね。
人を見る眼が鍛えられると思いますよ。

そして、プレゼン後の質疑応答の時間やイベント終了後の歓談の時間が用意されている場合には、経営陣に色々と質問してみましょう。
中には、個人投資家からの的を得た質問にキレてしまう経営者もいたりして、面白いですよ!

なお、会社説明会、株主総会共に参加料はもちろん無料で、場合によっては、会社からお土産(ノベルティグッズやクオカード等)がもらえますので、お時間のある方は参加してみるのをオススメします。

以上が、「会社を肌で感じる」ことをテーマとしたIRの活用方法でした。

投資家には色んなタイプがいらっしゃいますよね。
別に上記のアプローチをとらなくても、良好なパフォーマンスを出している投資家はたくさんいらっしゃいます。

しかし、私は、会社を理解し、「信頼してこの人達に任せよう」という経営陣を見つけ出した上で投資をしたいと思っています。
そして、信頼関係が続く限り長期で株式を保有し、大きな果実を得ることができる、というのが理想の投資ですね。

興味を持って頂いた方は、是非お試し下さい!

PS
まぁ、口で言うのは簡単ですが、実行するのは難しいですよね。
まず、信頼できる会社(経営陣)を見つけ出すこと、
そして、自分の目利きに自信を持つこと、ができるかどうか。
バフェットへの道のりは長い・・・。


2006年11月16日  S.Yoshihara
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