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IR物語 第57回「日本ラテン党~これが日本の進む道?~」

(毎週木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

板倉雄一郎事務所パートナーの吉原です。

当事務所のお休みをはさんだので、約3カ月ぶりのエッセイとなりました。

久しぶりのエッセイは何を書こうかなぁ・・・といろいろ考えてみたのですが、今回は最近話題のテーマである「政治」について取り上げてみたいと思います。

今回、日本国民が選択した民主党への政権交代。

でも、これって「とにかく現状(自民党政権)を変えたい」という話であって民主党を積極的に支持したわけではない、というのが多くの有権者の基本スタンスだと言われています(私もそう思います)。

さらに、付け加えて言うならば、

「民主党も自民党も正直あんまり変わらない」ですよね。

「大きな政府」vs「小さな政府」とか言ってますが、様々な利害調整をしていくうちに主義主張はたいして変わらなくなるような気がします。

それに対して、個人的には、もっと従来の価値観から外れた形で「日本の進むべき道」を議論しても良いのではと考えており、自民党及び民主党と明らかに主張が異なる政党があっても面白いと思います。

それは共産党のような存在ではなくて、あくまで資本主義を前提にしつつも、「経済大国の維持」を第一義に考えるのではなく、「華麗なる没落」を基本方針に掲げるような政党です。

仮に名付けるならば、「日本ラテン党」と言ったところでしょうか。

そこで、ここからは私が考える「日本ラテン党」について述べてみたいと思います。

(かなり思いつきな暴論ですが、どうかお付き合いください)

【日本ラテン党とは?】

<党の基本方針>


「華麗なる没落」を目指すことで、成熟した先進国の歩むべき道を
先んじて世界に示す。


なんだかんだ言っても日本は非常に豊かな国で、格差があると言ったって国民の生活水準(そして給与)は世界に比べて高いです。
そして、日本人は豊かな生活をしている分、今さらハングリー精神だとか旺盛な消費意欲なんて持ちようがありません。

その意味では、「日本はローマ帝国やベネチア共和国のような歴史を繰り返して将来的に没落する」ことを前提に物事を考えるのもひとつの方策ではないかと思います。
(これこそが「賢者は歴史に学ぶ」とも言えますし、日本国民の多くは潜在意識の中でこの方向を志向しているように思います。)

問題は、どのように没落していくか? です。

<華麗なる没落とは>

今の日本は将来に対する不安が非常に強く、精神的に満たされていない方が非常に多くて、あまり幸せな状態でないように思います。

少子高齢化の中、どうやって経済成長を果たすのか? とか、
もうすぐ経済大国第2位の座も中国に奪われてしまう・・・とか、
自分の老後はどうやって過ごせばよいのだろうか? とか、

先行きの心配ばかりです。

こうした多くの国民の先行き不安感について、日本ラテン党では日本国民のマインドチェンジを促すことで解決を図ります。

まず、「人口は減少していく」前提で物事を考えます。

出生率を上げたり移民を受け入れたりして経済成長を維持しようという考え方がありますが、日本ラテン党は現在の人口減少を「日本人の多くが本能的にその方向性を望んでいる結果」と解釈し、余計なことはしません。

その上で、「別に経済大国第2位じゃなくてもいいじゃん」というスタンスを取ります。そもそも人口が10倍以上ある国にGDPの規模で上回っていた近年が異常なことで、ある意味抜かれて当然でしょう。

ただ、これだけでは先行き不安は解消されませんので、高齢者・若者を区分してそれぞれに下記の施策を取ります。

<高齢者向け施策>

「華麗なる没落」のためには、親のスネをかじる(高齢者から若者への金融資産の移転)ことが不可欠です。

よくメディアで出てくる「国民の金融資産1,400兆円」ですが、その多くは高齢者が保有していることは各種データから明らかです。ただし、高齢者も将来不安があるので、現在のままではこの金融資産は上手く活用されません。

そこで、この金融資産を若者に移転させるインセンティブとして、「高齢者に名誉を与える」のはいかがでしょうか。

相続・寄付・年金の放棄等の形で金融資産を若者に移転させた高齢者については、国およびメディアが一体となって賞賛します。

例えば、「名誉国民」の称号が与えられたり、TVで特集が組まれたり、新聞に名前が載ったりとか。また、病院等の施設は優先して利用できる権利が付与されるとか。

そして、こうした高齢者に対して周囲の人々から尊敬の念が集まるようになったとしたら、自分の将来不安のためだけに金融資産を溜め込む高齢者は非常に気まずい思いを抱くため、制度がうまく回るようになるのではと思います。

<若者向け施策>

最近、日本の若者は昔と違って消費意欲が乏しいなんて言われます。
また、仲間とのゆるやかな結びつきを重視する一方で、競争意識に乏しいなんて言われています。

そりゃ、日本の現状がある程度満たされていて、将来の見通しは決して明るくないとなれば当たり前の話です。

日本ラテン党は、若者のそうした姿勢を肯定し、そして、日本の若者のラテン化を積極的に推進します。

大多数の若者に対しては、TVドラマなどで「お金がなくても人生幸せ」とか「理屈よりも感情重視」を刷り込んでいきます。

気の会う仲間とパブで酒飲んで大騒ぎする幸せとか、
みんなでスポーツ観戦やミュージシャンのライブに盛り上がる幸せとか、
恋愛・ダンス・お笑いなどに夢中になる幸せとか・・・、

多くの若者には享楽的な雰囲気に浸って、「経済成長なんか知ったこっちゃない」中で人生を楽しんでもらいます。

その一方で、日本の国策として、環境や新エネルギー、新しいカルチャーやファッション等のソフト分野に注力し、新しい日本の魅力を形成するため、若者の中から一部のエリート層を抽出して、それらに取り組んでもらいます。

若者をとことん2極化させ、「難しいことはエリート君に任せた」くらいの関係性にすることで、意識的に格差社会を作ります。

今の中途半端な格差よりも思い切って格差を広げた方が良いのではないでしょうか。その方がノブレス・オブリージュを持ったエリートも生まれやすいように思いますし、実はこの方が多くの国民が幸せを感じられるような気がします。

<まとめ>

上記の主張はかなり刹那的であり、とても既存の政治家や経営者層が口にできるような内容ではないと思います。
(私もこのような社会になるべきと考えているわけではありません)

ただ、実はこうした方向性の方が日本国民全体の幸せは大きいかもしれないよね、っていうジャストアイデアです。

日本ラテン党、皆さんのご意見はいかがでしょうか?

2009年9月24日  S.Yoshihara
ご意見ご感想、お待ちしています!

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