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IR物語 第38回「継続的に成長する企業を見極めるには?」

(毎週火・木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

板倉雄一郎事務所パートナーの吉原です。

いよいよ今年も7月に入り、後半戦のスタートですね。

7月というのは私にとって思い出深い月です。

というのも、現在、私が財務・IR担当役員を務めている会社が株式公開したのは7月だったからです。

あれから6年が経過しました。

その間、新興市場の株価はジェットコースターのように乱高下し、上げ相場と下げ相場の両方を経験することができました。
「鼻高々な気分」も「辛い思い」も両方味わって、初めてスタートラインに立ったような気がします。

また、この間、数多くの新興企業が誕生しました。

不思議なもので、私は、当時、同じ時期に上場した企業に対して同級生(ライバル?)のような意識を持っていて、新聞等でそれらの企業の動向をチェックしていました。

「この会社、順調に業績が伸びているな~、何が要因なんだろう?」
「あの会社は株式市場で批判されているなぁ・・・、どうしてだろう?」

というように、他社の動向を自社の財務・IR戦略の参考にしていたのです。
その時、私も上場企業のIRなんて初めてだったので、手探りで色んなところから学んだことを覚えています。

そして、現在、同級生の企業の中には、既に経営破たんしたり、MBOで非上場化を図ったりするなどして、株式市場を去った企業が出てきています。
むしろ、6年間継続的に成長し続けている企業の方が圧倒的に少ないです。

また、新興企業は大企業に比べると外部・内部環境の変化が経営に大きな影響を与えるため、ついこないだまでメディアで賞賛されていた企業が、あっという間に批判の対象に転落してしまうこともよくあります。

そうした様々な企業の浮き沈みを目の当たりにする中、
「継続的に成長する企業を見極めるには何に注目すればよいか?」
について自分なりに考えてみました。

よくある見極めの要素としては、下記のものがありますね。

 ・属している業種(成長が期待できる業界)
 ・ビジネスモデル
 ・経営者の人物像
 ・経営指標(投下資本利益率、売上高利益率等)・・・etc

上記の要素も大事なのですが、その他に私が重要だと思う要素のひとつに、

「真っ当な財務オペレーションが続いているか否か」

があります。

(注)「財務オペレーション」とは、「資本の調達と運用に関する一連の手法」を表し、公募増資・有利子負債による「資金調達」や新規事業への投資・自社株買いといった「資金運用」が挙げられます。

継続的に成長する「企業」といっても、結局はヒトが意思決定する集合体ですし、様々な要素も個別の財務オペレーションに集約されます。

その点を考えると、「真っ当なヒトが経営を行い、真っ当な財務オペレーションが行われている」という点が非常に重要だと思います。

そして、この要素は、1度真っ当な財務オペレーションをしたからと言って無条件に信用するのではなく、継続的に真っ当な財務オペレーションが行われていることを確認する必要があると思います。

中には、当初は真っ当な財務オペレーションをしていたのに、経営者もしくは経営戦略の変更により途中からおかしくなる企業もあるので、継続的なチェックが必要ということですね。

よく「優秀な企業をバイ&ホールドすること」が素晴らしい投資戦略にように扱われることがありますが、私はこのニュアンスが世の中で誤解されているように感じています。

この意味は、「真っ当な財務オペレーションを行う会社に投資し、その後も真っ当な財務オペレーションを継続していることを確認しつつ保有していたら、(結果的に)長期投資になった」ということであり、「一度買ったら、とにかく長期保有すべき」という意味ではないと思うのです。

なので、継続的に成長する企業と末長くお付き合いするためには、
「真っ当な財務オペレーションが続いているか否か」を見極める。

さらに言えば、
「真っ当な財務オペレーションかどうかを見分ける知識を身につける」
ことが必要だと思います。

先週末に当事務所から発売となりましたDVD「財務オペレーションと企業価値」は、財務オペレーションが企業価値に与える影響についてわかりやすく説明したものであり、真っ当な財務オペレーションを見分ける知識を身につけるのにとてもオススメです。(DVDの詳細な説明はコチラ

ファイナンスに関連する本って小難しい内容が多く、なかなか読む気が起こりませんが、このDVDは「板倉雄一郎によるわかりやすい例え話と図解」が充実しています。

また、このDVDの内容をライブで聞きたい、また、企業価値評価をもっとじっくり勉強したいという方には、7月26日・27日開催の合宿セミナーがオススメです。

こちらは、セミナーの内容に加えて、代表の板倉を始めとする当事務所のパートナーや様々な受講生との交流があるため、多くの卒業生よりご好評頂いています。

ご興味のある方は是非!

2008年7月10日  S.Yoshihara
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