板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「原油より食糧」

洞爺湖サミットの開催期間中ですね。
結局のところ、各国とも「世界」より「自国」の都合を優先せざるを得ない(=自国の有権者によって選出された首脳による会合)状況の中で、何とか「前回より進んでいますよ」的なメッセージを発信するのが精一杯なのでしょう。

経済問題にしても、環境問題にしても、食糧や原油などの価格高騰問題にしても、数値が入るかどうかは別にして、「具体策」はきっと何も決定されないように思います。

短期筋中心といわれる現在の株式市場では、G8が発信する「口先介入」ニュースフローによって、株価が上がったり下がったりを繰り返すばかりで、少なくとも短期的には方向感がつかめません。しかしながら、長期的には原油や食糧価格は、需給逼迫が予想されることから、(新興国のインフレ対策のための「通貨切り上げ」または「金利上昇」による経済減速によって一時的には、商品価格が下落することはあっても)、商品価格上昇、株価下落傾向が続くのでしょう。
ただし、「株価下落傾向」とは、現在の指標に採用されている企業による指標の動きであって、個別企業となると話は違ってきます。

僕は、原油より食糧の問題の方に少なくとも長期的には重大な関心があります。

米国モンサント(NYSE:MON)という企業、ご存知でしょうか。

古くはベトナム戦争時における、いわゆる「枯葉剤」の製造メーカーであり、現在では、GMO(Genetically modified organism)による食物の種子を、全世界の農業に提供し、(種子の法的保護によって)むちゃくちゃ稼いでいる企業です。

株価をご覧いただければ、株式市場の期待の程がお分かりいただけると思います。
現在の同社の株価は、2002年の安値から(株式分割調整後)およそ10倍になっています。

世界の食糧問題、経済問題、米国の戦略、企業の存在意義、そして地球の未来について考える上で、この企業の分析を行うことは、極めて有用だと思います。
ネットで検索すれば、同社に関する様々な情報が得られるはずです。

この場で、これ以上の「私見」を書くことは控えます。
したがって本日のエッセイは短くなりますが、読者の皆様の「考えるきっかけ」になれば幸いです。

2008年7月9日 板倉雄一郎

PS:
最近、とある事情で、海外に行くわけでもないのに成田空港に行く機会が多いです(←なんのこっちゃ)
これまでは、当然ながら高速を使っていましたが、最近では、一般道も非常に空いていて、一般道を使っても到着までの時間はさほど違いません。
ガソリン価格高騰を実感します。

また、いわゆる大型店舗を運営する企業の業績が悪化しています。

経済という視点では、決して良いことではありませんが、「温暖化対策には、不景気が最も効果的」と思うのは、僕だけではないと思います。
結局のところCO2を排出しているのは、ルックスルーすれば、企業でも国でもなく、私たち一人ひとりの「生身の人間」なのですから。





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