板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「つまるところ企業」

「板倉さんは、どんな情報を頼りに、経済の見通しや分析をされているのですか?」

と質問を受けることがあります。
その答えは、極めて簡単に・・・

「企業業績と企業活動です。」

 

世の中には、「生活者=消費者」と、「企業」を、別な存在と考える「不思議な」方々がいらっしゃいます。
たとえば、結果平等を求めようとする政党。
たとえば、不安定な雇用契約しか得られない労働者などなど。

「企業ばっかり儲かって、我々は・・・・」とか。

しつこく書いておきますが、企業とは、その利害関係者が価値を持ち寄り、価値を増大または創造し、得られた利益を再び利害関係者に再配分する「仕組み」です。

企業の利害関係者とは、顧客、取引先、従業員、債権者、国や地方地自体(≒地域)、そして、経営者を選んだり、儲けの再投資を決定したりする株主です。

これら利害関係者のいずれかの種類に「属さない人」、だれか居ますかね?

居ないですよね。

間違いなく、だれでもこれら利害関係者のいずれかに属しているわけです。

たとえば消費者であれば、消費するモノやサービスは、企業の商品ですから、企業の顧客に属しますし、消費するためにはキャッシュが必要ですから、それを稼ぐために企業の従業員の立場を持ってたりするわけです。

複数の立場を持つ人も結構居ます。
たとえば、ある企業の顧客であり、従業員または取引先の従業員であり、ついでに株主でもある、なんていう人も決して珍しくはありません。

つまり、あらゆる人は、企業の利害関係者のいずれかに属しているわけです。
そして、人が生活するうえでの「キャッシュの流れ」において、企業を経由しないキャッシュの流れなんていうのは(裏社会を除き)ほとんど「無い」わけです。

したがって、企業分析を通じて、大まかに経済が見えてくるというわけです。

 

企業を分析するといっても、その分析の仕方は様々です。

企業の将来を予測するためには、内部再投資や研究開発などの「企業活動」を見ればよいですし、企業の過去の成績を見るためには、企業業績を見ればよいわけです。

これらの分析を行うためには、「一定の視点」が必要になります。
ただ客観的に企業のスージを見たところで、それが何を意味するのかはわかりません。
なぜなら、企業には「利害の反する立場の利害関係者」が居るわけですから、いずれかの立場での分析が必要になります。

そこで、「株主の立場での分析」が最も「網羅性が高い」わけです。
なぜなら、株主というのは、一見、利害関係者の中で「オーナー」という最も強い立場のように思われそうですが、キャッシュフローの面で見れば、実は「最も劣後した立場」であることがわかると思います。

株主とは、売上があり、取引先に原材料費を支払い、従業員に給与を支払い、債権者に金利や元本を支払、税を納め、そして最後の「残りかす」をいただく立場だからです。

株主が「儲け」を得るためには、株主以外の利害関係者に対する支払をしっかり行わなければ、儲けにはなりませんし、その儲けを来年も、再来年も、ずっと将来に渡って得るためには、これらの支払に加え、設備増強やメンテナンスなどの再投資も行わなければならないわけです。

株主が、「今年の儲け」ばかりに執着し、他の利害関係者が提供した価値にバランスしない程少ない支払行えば、彼らは逃げてしまいますから、事業継続の中から得られる利益を損失してしまうことになるわけです。

つまり、株主(または経営者)は、すべての利害関係者への支払の「バランス」を常に考え、事業の継続性を維持しなければ、自らが損をしてしまう立場というわけです。

以上から、「株主の視点での企業分析」によって、経済の「骨格」が見えてくるというわけです。
(もちろん、その分析結果は、株式投資に役立つことは言うまでもありません。)

結局は企業。

企業がわからんかったら、経済なんて「単なる数字」に過ぎないわけです。

「この先どうなるんだろう?」

そんな不安から、何かの答えを得たければ、企業の分析をすることをお勧めします。

2009年4月7日 板倉雄一郎

PS:
やっと「春!」って感じになってきましたね。
心踊りますよね(←何に対して?)

春のせいか、今週は「お食事会」の予定が5件(爆)

アホですが、春ですから、仕方ないんですよ。
春って、アホが増えるでしょ(笑)





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