板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「(米)ビッグスリー救済策の行方」

資本市場では、(米)ビッグスリーの米政府による救済策に関心が寄せられています。

結論から書けば・・・
「どっちに転んでも(中長期的には)おんなじ!」
です。

 

仮に政府による「割と市場が納得するような救済策」が、
仮に議会によって承認されたとしても・・・

かなり高い資本コスト(=金利)を条件にするでしょうし、
(そうでなければ、議会の承認を得られないでしょうし)、

そんな高い金利を支払うことは(GMなどにとって)恐らくできないでしょうし、

そもそも・・・

政府による救済とは、要するに「ドル通貨希薄化を無視したバラマキ」に過ぎず、本質的に当該企業の継続性を確保できることではないわけです。

確かに、「GMぶっ飛びました!」というニュースは、誰にとっても良いことではないですから、それに比べれば、何らかの救済策が施行されることは、資本市場にとって、(なにもしないことに比べ)遥かにマシですが、中長期的に見れば、どのような救済策が施行されようとも、ドル安&米経済停滞のトレンドに変化は無いわけです。

(それでも、救済策が具体化されれば、資本市場はそれなりに「一時的に」歓迎するでしょうけれど)

馬鹿でかいガソリン大食いの車ばかり作り、エコカーなど次世代の車へ投資してこなかったGMは、「少なくとも消費者(=GMの顧客)にとって」、あまり必要の無い企業なわけです。

GMを必要とするのは、GMの利害関係者の内、従業員、債権者、株主であり、少なくとも顧客ではありませんから(=すべての利害関係者が必要とするわけではないわけですから)、中長期的には継続不能だと思います。

企業を構成する利害関係者(顧客、従業員、取引先、債権者、株主)の全てが「必要だ」と思わない限り、継続は不可能です。

企業ってのは、そういうものです。

2008年12月3日 板倉雄一郎

PS:
つまるところ、資本市場が注目することは、「短期のニュースフロー」ばかりというわけです。
であるからこそ、「皆が儲けるときには儲けて、皆が損するときには損をする」だけなんです。

「(相場下落の折に)ヘッジファンドが大損!」というニュースを見るたびに・・・

「じゃあ、ヘッジファンドって一体何よ!?」、
「一体何をヘッジしてるのよ!?」
と思うのは僕だけでしょうか。





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