板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「Not Making Numbers But Making Mind」

日本では、
日銀が、(市中銀行を経由して)、企業の社債を1兆円買い取るとか、
補正予算で、財政出動を20兆円程度行うだとか、
アメリカでは、
住宅対策に7兆円だとか、
公共事業の拡大だとか、

そんな景気対策、景気刺激策が各国で発表されています。
そして、なにか景気対策が発表されるたびに、「識者」といわれる方々が、
「十分ではないが、効果はあるとか/無いとか」コメントを付ける・・・

けれど、米国政府も、FRBも、日本政府も、日銀も、評論家も、経済学者も、実は皆・・・
「どうしたら良いかわからない」、
「どれほどの効果があるかわからない」、
「どうなっちゃうのか、わからない」、
というのが本音なのだろうと思います。

経済は、それをメカニズムやスージで追いかけようとすると、極めて複雑で、且つ相互作用の塊(循環参照)ですから、何をやったらどれほどの効果があるということを正確に把握するのは極めて困難です。
けれど、実体経済は、スージではなく、「人の心理」によって動くのだと視点を変えてみれば、これまでと違った様々な「策」が出てくるのではないかと思います。

今、政治すら、スージに翻弄されていると思います。
確かに、「経済対策」は、現在の政治にとって極めて大切なことですが、でも、政治って、「それだけじゃない」と思います。

どの国の政治かも、中央銀行も、ぶっちゃけ、「お手上げ」なんです。
それが、メディアを通じて、生活者に伝わってしまっていることが、消費マインドを冷やしてしまっているのだと思います。
もちろん、それを伝えるメディアに問題があるわけではなく、政治に問題があるのだという意見です。

需給ギャップがマイナス4.3%だと伝えられていますが、そんなの1日街を歩けば、(4.3%という数字はわかりませんが)、かなりひどい状態であることは、誰にでもわかることですよね。

スージは、人々の営みが描いた「結果」に過ぎません。
だとしたら、少なくとも政治は、スージを作ることより、スージの元になるマインドを作ることに傾斜するべきではないかと思うわけです。

以前、「大田総理風政策発表」というエッセイにて、「生前相続税免除期間の設定」を提案しました。
これに対して、将来の税収減になるといった「スージ面」での反論もありました。

(そこらへんをうまく調整した「つもり」の政策案が、「相続税免除の無利子国債」だったりしますが、そんなの大した効果ないですよ、きっと。だって国債は消化しやすくなるかもしれませんが、その分消費には回らなくなるわけですからね。)

けれど、スージは所詮スージ。
政府財政の悪化だって、(日本の場合のように債権者も債務者も国民という状況の中では)スージは所詮スージ。
だから、将来の相続税収なんかより、「今のお祭り騒ぎ」の方が大切だと思うわけです。

あくまで、現在の資本主義経済のメカニズムの範囲という制約は守るべきだと思いますが、ぱぁ~っと、お祭りになるようなことをしたほうが良いと思います。

頭でっかちがスージを追いかけている状況では、何も解決しないのではないでしょうか。

2009年2月20日 板倉雄一郎

PS:
僕は、今週末も、それなりに「消費」する予定です(笑)
読者の皆様も、良い週末を。





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