板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「今こそベンチャー」

株式分割をやっても、株式数の増加分だけ一株あたりの価値が減り、ツーペーチャラ。

BTB第4回 「株式分割と配当」

政府が国債発行によって調達した資金をバラマキしても、長期金利上昇が経済成長を抑制し(←個人や企業の資本コストの増大)、ツーペーチャラ。

ITAKURA’s EYE 「長期金利上昇」

個人にお金をバラマキしても、将来の税負担増への備えで貯蓄するだけだから、ツーペーチャラ。

金融機関に資金を突っ込んでも、金融機関はデフォルトリスクの高い企業や個人には「絶対に」貸さないから、意味なし。

ITAKURA’s EYE 「必要条件と十分条件」

どれほどお化粧しても、キャッシュフローは嘘つかないから、意味なし。

ITAKURA's EYE 「お化粧」

このところのメディアが伝えるニュースを見ていると、本質的意味に乏しい政策ばかり。
なんだか辟易してきます。

経済とは、人が努力して何らかの価値を『創造』して始めて成長するわけです。
世界的に失業率が上昇しているということは、消費者の収入が減少するという側面だけではなく、社会に対して価値を提供するべき人間の数が減少しているということでもあります。
したがって、失業率が上昇する中での経済成長などありえないわけです。
もちろん、だからと言って、お化粧として解雇を抑制したところで意味はありません。

じゃあどうしたらいいの?

結論から書けば、「放っておくのが一番いい」です。

政府や役人が関与したビジネスがうまく行った試しってありますか?
無いですよね(笑)

放っておけば、皆必死になって「売れるもの」、「安いもの」、「便利なもの」を民間が考え生み出すわけです。
そのエネルギーが、政府や金融機関からの支援に向いてしまっているわけです。
これじゃ、ドンドン悪くなるばかり。

そもそも薄型液晶テレビ事業で「経営的に失敗した」パイオニアや、半導体需要を見誤ったエルピーダなどは、金融危機があろうがなかろうが、そもそも経営に失敗したわけですから、そんなもんを延命する必要なんて無いわけです。

パイオニアがぶっ飛ぶと、「国内だけで1万人の雇用が失われる」、なんてことが言われていますが、実際にぶっ飛んだらぶっ飛んだで、キャッシュフローを生み出せるカーナビ事業などを、どこかがお安く買収することになるわけですから、1万人すべての雇用が失われるわけじゃないのです。

「従業員が多数だから救う」なんていう『どうしょうもない理屈』が蔓延してしまったら、それこそ経済は『お終い』じゃないでしょうか。

ぶっ飛ぶことによって、そもそも価値の無い(または価値破壊をする)事業が淘汰され、よりキャッシュを生み出す事業に、経営資源を集中できるわけです。
企業なんてものは、そういう市場原理の中で始めて成長するわけであって、お金を突っ込めば成長できるってわけじゃないのです。

「せっかく」、金融危機による景気後退が、企業や事業をスクリーニングし、新たな企業や事業を生み出す機会を図らずしも提供しているというのに、今の政策はすべからくその機会を奪い、将来の税負担増、長期金利上昇、たちの悪いインフレ、価値の無いビジネスモデルの延命による社会コスト増・・・そんなものを生み出しているだけに見えてなりません。

ひところ「ベンチャー支援」なる政策が注目を浴びていたことがありました。
今、聞きませんよね。

本当にベンチャーが必要なのは、今じゃないでしょうかね。

時代にそぐわないビジネスモデルを延命することなど止めて、新規事業に対して企業も、個人も、政府もそれぞれの立場で支援することが「今こそ」必要なのだと思います。

個人・・・

無名の会社の商品でも、価値があると思えば買う。
自身の資産ポートフォリオの中のバランスにおいて、ハイリスクハイリターンのベンチャー投資を加える。

企業・・・

財務状況や社歴に満足いかなくても、良い商品を提供するベンチャーがあれば、そこから買う。
社内ベンチャーを推奨する。

政府・・・

ベンチャーの足かせになるような法律を改正する。
何らかの条件を満たしたベンチャーに対する税制優遇処置を立法化する。

そしてアントレプレナー・・・

変化をチャンスと捉え、リスクを取り、人生を楽しむ。

こうあるべきじゃないでしょうか。

ダメなものはダメ。
いけるものは、たくさんのチャレンジの中からしか生まれない。

2009年4月22日 板倉雄一郎

PS:
気がついたら僕は恋をしているみたいです(笑・・・個体に対する恋というより恋に恋しているという意味ですけれど・・・本当かなぁ?)

僕の脳みそと体は、本当に素直です。
景気が上向いているときはお金を作り、景気が悪くなればお金を使う。
自分の状態が悪いときは、下手に動かず学習や体力づくりに勤しむ。
売れないときに無理に売ろうとしない。
どれほどキャッシュを持っていようとも、固定収入がなければ固定費は極力抑える。
何か価値あるものを得るためには、その価値の範囲で十分な変動費を割く。
相場が読めないときには、ポジションを持たない。
晴れの日にはどこかに出かけ、雨の日には仕事する。
やりたくない仕事はやらない。
気が向かないときには仕事しない。
でも集中できたときは一気に片付ける。
そして、春になれば恋をする。

おかげでストレスフリーです。

自然に生きること。それはつまり自分や気候に逆らわずに生きること。
こう書くと、イイカゲンな人生に思われてしまいそうですが、努力したいときには努力するという側面もしっかりあるわけです。

やりたいことをやることが、結果を最も良くする方法だと思います。

そうだ、久しぶりに本書こう!





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