板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「ボラティリティーを食う人々」

2008年のリーマンショックは、世界的金融・経済危機の発端として極めて大きなインパクトがありましたし、その後の世界の金融市場の混乱と世界的な不況は、理解不能なことではありませんでした。

その理由は・・・
世界の超大国アメリカの、
世界最大のGDPを誇るアメリカの、
世界の金融機関が集中するアメリカの、
世界の生産を一手に吸収するアメリカの、
過剰消費経済モデルの崩壊(≒米国不動産バブルに担保された危うい消費モデルの崩壊)が原因だったからです。

しかし現在、世界の資本市場が混乱している原因とされている、いわゆるPIGS問題(・・・もちろんそれ以外にも、朝鮮半島問題などたくさんの問題はありますが)に関して、少なくとも僕個人は、

「市場の過剰反応」

ではないかと感じています。

ギリシャ国債の規模(10兆円程度)、スペインの貯蓄銀行の不良債権の規模(顕在化した金額は数千億円)・・・これらの規模に対して、この数ヶ月の世界の上場株式時価総額の下落幅は、1000兆円にも迫る勢いで、その下落率も軽く10%を超えているという状況は、「デフォルト連鎖による危機のレバレッジ」を考慮してもなお過剰反応ではないかと思います。

確かに、複雑で互いに依存しあうグローバル経済システムの現在では、小さな問題の積み上がりや、一部の金融機関の不良債権問題が、規模や範囲が連鎖的に広がり、世界的な大きな問題へ発展する可能性を十分に含んでいますから、それぞれの問題の絶対額を直接比較すべきではありませんが、それでも過剰反応だと僕は思います。

その意味では、「個別の投資銘柄のバリュエーションに因りますが」、投資チャンスであるといえなくは無いでしょう。

過剰反応であると分析し、したがって投資チャンスであると判断したとき、一つの推測も浮かんできます・・・

「市場のボラティリティーこそ稼ぎの根源である」というビジネスモデルの方々・・・つまり、金融機関のトレーディング部門の方々ということになりますが(笑)・・・による「暗黙的且つ集団的意図」が、個々の経済的問題を「わざわざ」増幅しているのではないか・・・そんなことも想像したくなります。

つまり、誰かが、「大変だぁ~~~!」と言い出すことは、すなわち彼らにとって、「次のボラティリティーのネタを見つけたぞぉ~~~!」というサインに他ならず、皆でそのネタに乗っかり、そしてがっぽり稼ぐ・・・実際、そんな方々の収益はリーマンショック以降、非常に高くなっています。

金融のレーゾンデートルとは、本来、潤沢な資金を持つ者の資金を、資金を必要とする事業者へ融通することを通じ、経済を発展させることだと、少なくとも僕は思っているのですが、現在の世界金融システムは、「それ自体が稼ぎの目的」になってしまっているのでは無いでしょうか。そして各国による「見せ掛けの」金融規制は、何も変えられないのだろうと予測します。

ボラティリティーの悪魔に振り回されない経済活動を一人ひとりが行うことが法による規制以上に安定した経済のために必要なのだと思います。

経済が安定していないと、ボラティリティーを食べる方々に富が偏ってしまいますから。

 

2010年6月1日 板倉雄一郎

 

PS:
それにしても、何かあるたびにYENが買われるトレンドってどうかしてますよね(笑)
それも、日本のソブリンリスクを「次のボラティリティーのネタ」として彼らが取り上げるまで後数年しか無いと僕は思いますけれど。

PS^2:
このところ、エッセイの更新頻度に限らず、読者や顧客の方々からのメールへの返信も滞っていました。
本当に申し訳ない。詫びを申し上げます。

原因は、実につまらないことにあります・・・僕の個人PCの不具合、そして、僕の分だけなのですがメールサーバー上の僕のアカウントのトラブル、さらに、MT(←ブログを書くシステム)の不具合・・・コレは僕のPCの問題かもしれませんが・・・などが立て続きに発生し、道具も身も心も、まともな状態ではなかったからです。

PCのメンテナンス、メールサーバーの初期化、様々なソフトウェアのアップデートにより、昨日よりようやく通常のネットワーク環境に復帰することができましたので、本日から通常の活動を開始いたします。

こういうことが起こるたびに、「ケータイ端末の方が遥かに信頼性が高いよね」と思うわけで、思うのだったらそうすればいい!ってことで、ウィンドウズとケータイの中間に当たるシステム・・・つまりiPadによる仕事環境を構築しようと思い出した次第です^^

つまり仕事環境の完全な「乗り換え」ですね^^

思えば、Appleオタクだった僕が、仕事の関係上「しかたなく」、MacからDOS/Vに切り替えて早20年。
再びAppleに戻る・・・一つの区切りのような感覚です。

ただし、業績絶好調の時期の企業の株式を買おうとはぜんぜん思いませんけれど^^

iPad入手して、仕事に使い出したら、この場でインプレッションを書きますね。

PS^3:
そうそう、5月27日から30日間、免許停止!!!!なんですぅ↓
(60日免停、2日間の講習受けて30日に短縮)
で、早速講習を受けに幕張にある千葉県の免許センターに行ってきました。
自慢ではありませんが、僕は過去に何度と無く免停になり、講習を受けてきましたし、免許更新のときにも、同じ施設で更新講習なるものを受けてきました。
だから、あの場がどんなところなのか、経験的に割と良く知っています。
どんな人が聴衆で、どんな人が講師で、どんな空間で・・・

今回は、それまでと大きく違うことがありました。
それは、講習を実施する「安全運転協会」の方々の態度が、極めて丁寧で良くなっていた!ということです。

原因は明らかですねよ(笑・・・仕分け対象だからですね^^)

民主党のやってきたことで、唯一納得したところです(笑)

 





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