板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「対処療法より予防治療」

2009年1月の経常収支は、「赤字」だそうです。
過去のエッセイ、

ITAKURA’s EYE 「経常収支黒字があってこその内需拡大」

にて、「貿易赤字」と内需拡大の関係について書いたばかりですが、(したがって重複する部分が多いですが)、円高、諸外国の低金利政策、世界的な景気悪化を背景に、所得収支も赤字となり、貿易赤字、サービス赤字合わせて、ついに経常赤字となったわけです。

経常収支 = 貿易収支 + サービス収支 + 所得収支 + 経常移転収支

(企業のキャッシュフロー計算書に比ゆすれば、貿易収支とサービス収支が営業CF、所得収支が投資CF、そして、経常収支がフリーCFといったところでしょうか)

経常赤字とは、簡単な話、日本国「全体」を一つの会計単位として捉えた場合の「赤字」であって、この状態が「継続」した場合、ずるずると日本の純資産が海外へたれ流れてしまい・・・

(大げさに表現すると)「生活のために必要な食糧・エネルギー・資源を海外に依存する日本の経済モデルは継続不能」ということになります。

もちろん、日本は対外純資産国ですし、たんまりお金持っていますから、直ちに「継続不能」になるわけではありません。
しかし、この状態で、闇雲に「内需拡大!」を推し進めることは、国内での消費が進み、貿易赤字の拡大⇒経常赤字の慢性化に繋がってしまいますから、よろしくありません。

以上から、「自給率アップを伴う内需拡大」が、この国の超長期的な継続性を得るために必要な政策だと、(しつこいようですが)、主張させていただきます。

自給率が低いということは、常に海外の経済状態に国内景気が翻弄されることを意味しますし、常に海外へ何らかのモノやサービスを提供し、外貨を稼ぎ、必要な物資を輸入し続けなければならないことを意味しますし、そのためには、少なくとも経常収支ゼロ以上をキープしなければならないわけです。

しかし、自給率をアップすることができれば、その海外依存の「程度」は軽くなります。
その上、自給率アップは、それ自体が内需拡大に結びつきますし、その結果、雇用機会の増大にもなりえます。

現在のように、資金不足が発覚するたびに、お金をぶち込んだり、闇雲にお金をばら撒くような「対処療法」を行っているばかりでは、国民がこの国の先行きに対する「自信」や「希望」を持つことができるはずも無いと思います。
しかし、「自給率アップを伴う内需拡大」というヴィジョンと具体的な政策実施は、国民全体が「未来の日本の姿」に期待することができ、且つ、内需拡大(←含む雇用機会拡大)を実現できるはずだと、僕は思います。

リサイクルも、グリーン化も、地産地消も、農地改革も・・・現在言われている(←言われているだけなんですが)、「良いこと」は、すべて、「自給率アップを伴う内需拡大」というヴィジョンの傘下の政策として位置づけることができますし、しつこいようですが、雇用拡大が期待できるわけです。

実際に調べてみると、それはそれは、たくさんの自給率改善策が実施されているようです・・・

たとえば、牛や豚などの飼料として、「米」を食べさせる研究だとかあるそうです。
(「国産」と表現されていても、飼育が国内で実施されただけで、飼料についてはその大部分を輸入に頼っているのが実態で、自給率という観点では、まるで自給できていないわけです。)

しかし、これらの数々の自給率アップ策は、その管轄官庁もバラバラ、したがって予算もバラバラ、法整備もバラバラ・・・これじゃ、時間的、資金的な効率悪いばかりです。

ヴィジョンは一つ、そのヴィジョンから生まれた政策は多数。

だって、(日本が直接巻き込まれる可能性は低いと思いますが)、戦争の可能性だって高いわけですからね。

対処療法ばかりの政策では、国民の元気は出てこないと思います。
「自給率アップを伴う内需拡大」ヴィジョンは、対処にも成り、予防にもなります。

2009年3月10日 板倉雄一郎

PS:
お金に困って初めて、お金のことを考える、なんてことでは、いつまで経ってもお金に困るわけです。
お金の問題を、お金で解決しているうちは、いつまで経っても解決できないわけです。
普段からお金に困らない「体質」を作っていなければダメなんですよね。

すなわち予防治療。

なぁ~んて言ってる僕ですが、普段から「(その場限りの)狩猟」ばかりを楽しんでいるものですから、たとえば、来週の三連休に一緒に遊んでくれる女の子がいなかったりします(トホホ)

普段から相手に困らない「体質」を作っていなければダメなんですよね・・・

つまんねぇ~~~のっ!

彼女が欲しいとか、やりとも(笑)が欲しいとかじゃなくて、「いい恋愛をしたい」と思うのは、春のせいでしょうか(笑)





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