板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「景気悪いのに株価上昇の一つの理由」

巷の景気(←それは様々な統計上の数字にしても、肌で感じる景気感にしても)は、まるで良くなっていないのに、株価だけは上昇傾向にあります。
この現象を、「不思議だなぁ」、と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

結論から書けば、企業の利害関係者のうち、株主への配分が「底打ち」、または、「回復」していることが株価上昇の原因です。

 

この現象には、いくつかの原因がありますが、景気と株価のちぐはぐな関係を説明するには、「企業とは何か」について、今一度おさらいする必要があります・・・
(「企業とは何か」・・・セミナーで最も重要だと思っていることです。)

企業とは、利害関係者が価値を提供し、価値を増大させ、増大させた価値を再び利害関係者に配分する「仕組み」です。
ここでいう利害関係者とは、当該企業の顧客、従業員、取引先、債権者、そして株主に分類することができます。
以上を押さえた上で、「株価」とは・・・

当該企業の株主に帰属する将来キャッシュフローの割引現在価値(+非事業用資産)を発行済み株式数(-金庫株数)で除した値を基準に、市場の売買の結果成立する価格です。

ものすごく簡単に表現すれば、「株主への配分の予測に対して市場が点けた価格」、ということになります。

 

景気が悪化しているがために・・・

1、何も対策を打てない企業の売上高が減少(←顧客からの価値提供の減少)や、
2、以前と同等の価値の商品を低価格で顧客に提供する行為(←顧客への配分の増大)

と、いずれの場合も、顧客以外の企業の利害関係者への配分を減らさざるを得ない状況の中で、企業が行っているのは・・・

1、固定費削減(←要するに人員削減=従業員への配分の減少)
2、変動費削減(←要するに原材料費削減=取引先への配分の減少)
3、設備投資削減(←要するに資本財を提供する取引先への配分の減少)

です。

つまり、

顧客への配分・・・増大
取引先への配分・・・減少
従業員への配分・・・減少
債権者への配分・・・低金利政策により減少
株主への配分・・・以上の差し引きにより場合によっては上昇

ということになります。

株主への配分が「底打ち」、または、「回復」という見通しは、結果として株価が上昇するわけです。
事実、日本においては一部のバリュー商品を販売する企業や、中国などへの輸出企業の業績(業績とはつまり株主への配分)は、コスト削減(と新興国需要の増加によって)回復していますよね。

 

売上高の減少(または、安売りによる利益減)が発生しても、それ以上のコスト削減を実施すれば、利益(←株主への配分)は、維持または下げ止まりさせることができるわけですが、その「しわ寄せ」が、主に従業員または取引先に向けられているというわけです。
取引先もまた企業ですから、その企業の売上が減少すれば、取引先の従業員へのしわ寄せにつながり、そのまた取引先の・・・と連鎖するわけです。

事実、失業率は日米共に増加傾向にあります。

上記以外にも、「バラマキによってダブったお金が資本市場へ」、という原因や、「そもそも2009年3月はオーバーシュートだった」、という原因もありますが、今回は企業を通じたメカニズムの説明に限定いたしました。

 

さてここで大切なことは、「株価上昇に継続性はあるのか?」、ということですが、長くなるので次回に回します。

 

2009年10月16日 板倉雄一郎

 

PS^2:
昨日は、「秋晴れ」*「仕事も遊びも予定が無い(パートナーエッセイの日でもありますし)」*「母が休みでワンコの面倒見てくれる」*「このところドライブしてない」=「一人ドライブ行こう!」

で、南房総の一人ドライブ旅行に出かけました!

その模様を、「ここに」、詳しく書いていたのですが、途中でIEがぶっ飛び、せっかく書いた内容が消えてなくなってしまいました。
再びかくのはしんどいので、割愛します
写真は、御宿でのショット。

2009101510510000.jpg

2009101510510001.jpg

なんだか、カリフォルニアっぽいですよね。
御宿の海は、本当に綺麗です。コバルトブルー!

とにかく気持ちよかったです。

 

PA^3:

最近ケータイを中心に使っているのですが、ケータイに慣れると、バグだらけのマイクロソフト商品には辟易しますよね。
なにやっても遅いし、突然フリーズするし、とにかく毎度むかつきます。

ではなぜケータイではなく、PCを使うのかっていうと、それは単に「フルキーボードと大きな画面」以外に無いわけで、「ネットブック」がマイクロソフトのOSじゃ無ければ、是非使いたいと思います。

もしくは、iPhoneのフルキーボード+大画面があったら是非使いたい。

15年ほど前に、仕事のためにMacを捨ててDOSに切り替えましたが、そろそろ戻る時期でしょうか。

マイクロソフトのテクノロジーの方向性って、既に限界です。
大容量、高速を「わざわざ」必要とするバージョンアップによって、周辺企業を儲けさせることでシェアをとろうとした戦略はもう限界でしょう。

早く、さいなら、したい。

 






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