アメリカビッグスリーの救済をめぐる米議会、米政府、米UAWの協議は、要するに「ババ抜き」状態ですね。
12月末にて、GMの破綻がほぼ確実であることを前提にすれば、議会による「救済法廃案」の意味するところは・・・
「俺たち(議会)は、ダメダメ会社へ税金を突っ込むことに責任を持ちたくないよ。かといって、放置⇒破綻となれば、それはそれで責任を問われるから、逃げちゃぉ!もうすぐ任期が切れるブッシュ政権がババを引けば良いじゃないかよ。」
ということを意味すると思います。
その上で、金融安定化法(10月に決めた70兆円枠)によって、ブッシュ政権がビッグスリーへの「つなぎ」融資を実施することになればブッシュ政権としては・・・
「じゃあ、仕方ない、とりあえず、つなぎ融資をして、後はオバマ君にババを譲ろう。」
ということになるのでしょう。
以上の意味するところは、要するに、「ビッグスリーはもうダメ」と、議会も、政府も認めているということに他ならないと思います。
僕は、
GMのスージ(←フリーキャッシュポジションと経費、投資の推移)と、
商品のラインナップ(←馬鹿デカい車ばかり)と、
ビジネスモデル(←車をネタにした金融業)と、
組織のデカさを見る限り、つなぎ融資などではまるで再建不能だと思います。
ビッグスリーの問題が、「最後の膿だし」なら、米国はビッグスリーを全力で救う合理性があると思いますが、既に書いているように、クレジットカード会社の損失、住宅価格の下落傾向、財政赤字の拡大などなど、今後も様々な問題が顕在化することを考えれば、ビッグスリーの救済は、問題の先送りに過ぎないと思います。
バラ撒きによって問題の先送りをしても、それによって米経済が成長を始めた頃には、(バラ撒いた頃による)インフレがやってくるのだろうと思います。
インフレは、ドル安を招きます。
問題解決の手段が、次の問題を生み、その解決のために・・・と繰り返す期間は、「相当に長い」と思います。
戦争による解決だけは避けていただきたいですよね。
2008年12月15日 板倉雄一郎