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ITAKURA’s EYE 「割安&底値!?」

先日のバークシャーによるゴールドマン・サックスへの投資発表を受け、様々なメディアが・・・

「バフェットが買うなら、今は割安&底値じゃないかぁ!」

なんていう意見を並べていました。

バークシャーが投資するのは、ゴールドマン・サックスという「比較的」業績の良い『個別企業』であること。

ソロモン・スミスバーニーなど、バークシャー傘下に投資銀行を持つ「経験」をベースに、当然ながら(←検証したわけではありませんが)、「数日間のデューデリジェンス」で投資判断をしたわけではないこと。

そして、バークシャーが投資するのは、ゴールドマン・サックスの発行する『優先株(と普通株への転換オプション)』なのであって、普通株式ではないこと。

以上をどうしてもっとしっかり分析しないのかなぁ…と思います。

そもそも「あいつが買うなら大丈夫だ!」といった他人依存の投資判断をするなら、投資信託(←たとえばバークシャーハサウェイ(笑))に投資すればよいわけであって、そのような運用スタイルを行う者を「投資家」とは呼べないと思います。

(このサイトの読者の方々は十分ご承知とは思いますが)僕は、バフェット氏の投資判断を結構信頼しています。

その根拠は、単に「過去の実績」というだけではなく、彼は、経済活動の「実データ」を見ることができる立場に居るからです。

バークシャーの傘下には、投資銀行、商業銀行、クレジットカード会社や保険会社など金融機関もあれば、コカコーラやP&G(以前はジレット)などなどなどの大衆消費商品を販売する企業もあります。

バークシャーがポートフォリオからは、「経済モデル」としての十分な情報を得ることができるというわけです。

「誰かが出した統計数値」を分析するエコノミストなどの表現より遥かに“リアリティ”があると感じることが、彼の投資判断を信頼する根拠です。

2008年9月26日 板倉雄一郎

PS:
珍しく風邪引いてしまったようです。
なので、本日のエッセイは短いです…すいません。

PS^2:
最近のお食事会の男性メンツは、確かにGSの方々が多い気がします(笑)

PS^3:
野村グループによるリーマン・ブラザーズの部門買収は、「株主が変わったことによる優秀な人材の流出」が無いとすれば、悪くない買収ではないかと思います。
(↑ 野村グループの方々から、先日のエッセイに対する批判をいくつかいただいたので、コメントです。先日のエッセイでは、MUFGのことについて書いたわけであって、野村のリーマン部門買収については一切コメントしていません。本日のエッセイでの主張のように、「個別企業」は、「個別企業」なのです。)





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