板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「週中の徒然」

週中ですが、月曜日のエッセイを事情によりお休みしたので、いくつか短編を・・・

<占いは当たる!>

これ、結論なのですが、占いは当たります。

たとえば・・・

「今日は、新しい恋の予感があります。きっと運命の人にめぐり合うでしょう。
 ただし、あなたの方から積極的に動かない方が良いかもしれません。」

なんて占いされると、その日のお食事会でちょいと気に入っただけの異性に対して、

「きっとこの人だわ!」

ってことになり、調子に乗って積極的にやってしまって、後にその人にメールを送っても返事なし。

この人は、「占いなんて当たらない」という結論に達するのではなく、

「あっやっちゃったぁ~積極的にやるなって書いてあったのに、私がいけないんだぁ」

という結論になるわけです。

かくして、占いは当たるわけです(笑)

 

「世界経済は戦後最大の危機に直面している。」

とメディアとそのコメンテーターが相次いで報道しています。
これにも、「占い効果」があります。

確かに、お金が回らなくなれば経済が危機的状況になるわけですから、もちろん間違った報道だとは思いません。
けれど、経済とは「人の心が回している」わけで、たとえば投資対象に対する価値の把握(←将来どの程度投資家に帰属するキャッシュフローを生み出すと予測し、そのキャッシュフローを受け取ることによってどの程度の利回りを期待するか)においても、「絶対的な価値」などこの世に存在せず、投資家それぞれの「期待と期待収益率」によって妥当な価格が決定され、投資家それぞれがそれぞれの妥当な価格をめぐって市場価格が形成されます。
したがって、「実体経済」より、投資家の「心理」が市場価格を決定する上で極めて大きな要素ということになるわけです。
つまり、経済ってのは、「みんながだめだ!」と言い始めれば本当にだめになるわけです。

そろそろ、「それでも調子の良い話」を報道した方が良いと思います。
そろそろ調子の良い話を始めても、本当に経済が持ち直すにはかなりの時間が必要なのですけれど。

占いだって、いいこと書かれていれば、それが当たろうが当たらなかろうが、とりあえず一日のスタートは気分が良いですからね。

ちなみに僕個人的には、大変不謹慎ですが、「投機」の利回り極めてよい状態です。
もちろん、来年以降にロングターム、ロングポジションを作るための原資として稼いでいるわけです。
(そのほんの一部は、お食事会、と、デート費用として消費していますけれど。)

<縦は見るが横は見ない>

僕はいわゆる「競争」が嫌いです。
僕の場合、競争すると、競争している自分が「美しくない」と思い、馬鹿馬鹿しくなり、結果負ける場合が多いからです。
(競争していなくても、「美しい」わけではないですけれど)
さらに言えば、競争を意識しないときの方が、結果として勝つ場合が多いからです。

たとえば、これまで4年間続けてきたセミナー事業も、セミナーを行う競合事業者の売り上げだとか、評判だとか、カリキュラムだとか、ただの一度も見ていません。
競争を意識するどころか、競合の調査すらしたことありません。
つまり、僕は、「横」を見ません。

それでも情報は時に勝手に入ってきます。
2007年の時点で、経済、経営、ファイナンスなどを教えている割と有名な競合といえば競合の企業の売上高を知らされて、結構驚きました。
彼らの運営人員、講師人員などは遥かに、というか板倉雄一郎事務所とは比べ物にならないほど多人数で行っている企業体ですが、板倉雄一郎事務所の売上高の2倍ほどしかないらしいです。

横を見ないほうが事業を純粋に考えることができるのだと思います。
一方のいわゆる競合さんたちは、その経営者がわざわざ当事務所のセミナーに調査目的でいらしたことなど僕の知っている限りで何件もあります。
セミナー見ただけで、何かがわかるわけではないのに。

しかし、顧客、や、取引先、についてはしつこく検証します。
顧客が何を求めているのか、取引先は支払う価格に見合った価値を提供するのか。
つまり、縦はしつこく見るわけです。

株式市場でも同じです。
僕は、どこかの誰かがめちゃくちゃ儲けた! なんて話は聞き流しますし、
どこかの企業が~で、株価が上がりそう! なんて話には全く興味がありません。
そんな「横からの噂」は、ことごとく無視しますが、投資対象企業の発表する「データ」は見逃しませんし、しつこく分析します。

世界経済がこんな時期だからこそ、「自分を信じる投資」がこれまで以上の価値を持つことになると思います。

<世界の株価インデックスの下落>

言うまでも無く、株価下落しっぱなしです。
で、メディアが第一報として、経済専門メディアでなくとも報じています。
報じることに文句はありません。
けれど、そんなこと、街を歩けば、数ヶ月前からはっきりわかっていたことですよね。
さっさとそれを織り込んだポジションを取らないから損するわけです。

僕はデータを分析します。
けれど、データは「過去のデータ」ばかりです。
投資とは、「将来に対する投資」であって、いわゆる「妥当な株価(=理論株価)」の因数は、「すべて」将来の予測数値です。
だから、可能な限り「未来に近い過去」として、「現在」を肌で感じることが大切だと思います。

過去のエッセイでも書きましたが、たとえば、ある「電炉系鉄鋼企業」の投資で利益を出させていただいたときも、もちろん同社の数字は見ましたが、それより、その企業が所在する周辺の道路が、鉄スクラップを積んだトラックで慢性渋滞になっていたことを、この目で見て最終的な投資判断をしました。
先日のリーマンショックについても、(これも過去のエッセイに書きましたが)、お友達からの「街の様子」を聞いて、プット買いポジションを取りました。

つまり、「自分の目で見ればわかるでしょ」ってことです。

「日本は大丈夫!」なんていってるのは、選挙前の政治家だけじゃないでしょうか。
ぜんぜん、大丈夫じゃないですから。
街を歩き、そこらのフツーの人の話をニュートラルに聞けばわかることです。

<どっちが自慢になる?>

やたらと金を使ったことを自慢する成金が居ますよね。
たとえば・・・

「このまえさぁ、あの店に行ったら、DRCとかクリスタルとか何本もあけちゃって、200万超えちゃってさぁ!」

本人は「自慢」のつもりで言ってるのでしょうし、おそらく周りの「お金でしか人の価値を判断できない聴衆」は、「すげぇ~~」とか思うのでしょう。

では、こういう場合はどうでしょうか・・・

「この車さぁ、知人のディーラーがどうしても急いでキャッシュが欲しくて、オフバランスしたいらしくて、市場価格1000万なのに、500万で手に入れたんだぜ!」

この手の話は、前者よりウケがよくありません。
僕は、ものすごく不思議です。
だって、後者の方が、「明らかに賢い」ですから。

こうして書いた文章をお読みになれば、「当たり前だ」と思うでしょうけれど、普段のご自身や友人などを冷静に観察すると、実は、前者の要素が、自分にも、友人にもある、ということを感じられるのではないかと思います。

だって、「カチカチ人間(価値ね)」の僕にだって、そういう部分が全く無いわけではないですから。

僕は、たとえ1000円でも、「それって価値>価格だろうか?」と考えます。
金額の問題ではないのです。
お金を合理的に扱うための「癖」を身につける必要があるというわけです。
1000円を馬鹿にしている人は、1億円でも同じロジックで判断します。
これ、間違いありません。
同じ人間が、同じお金を扱うのですから。

<やたらと元気な僕(笑)>

思い起こせば、2000年~2002年、ちょうど「懲りないくん」時代も元気でした。
この時期、日経平均が1万円を割っていました。

世の中の金回りが良い時期、僕は割りと静かにしています。
世の中の金回りが悪い時期、僕は結構元気になります。
つまり、
「お金の価値が下がっているとき(=お金回りが良いとき)」お金をこつこつ増やして、
「お金の価値が高いとき(=お金回りが悪いとき)」お金を「行使する」という癖がいつの間にか付いたのでしょう。

実際、世の中のお金周りが悪いときに、世の中のお金回りが良いときと同じ価格を行使すると、10倍ぐらいの使い勝手があります。

だから、僕は今、元気みたいです(笑・・・なんのこっちゃ)

<バフェット氏の時代をうらやむ>

このところバフェット氏の活躍が連日報道されています。
ついでに、彼を「神格化」するような内容まで、報道されることがあります。
彼は、神様ではありません。
極めて合理的な投資判断を「繰り返してきた」結果に過ぎないと僕は思います。
けれど、それだけでは世界一の投資家、世界一の富豪にはなれないですよね。

彼が成功できた「時代背景」がとても大切な要素だと思います。
彼が生まれたのは世界恐慌の真っ只中の1930年。
その後現在までの、ニューヨークの株価を「引き」でみれば明らかな右肩上がりです。
詳しく見ると、ちょくちょく、下落局面があり、その下落局面で彼は大きな投資を行ってきました。
結果、年複利利回り30%以上を60年に渡って実現しています。

タイミングよく生まれたんだなぁ~とうらやましく思うことしばしばでしたが、チャンスはやってくるものですね。

おそらく、一生に一度あるかないかのチャンスがどんどん目の前に迫ってきている感じがします。

<選挙前のメディアは歪>

選挙前のテレビ観ていると、なんだかおかしな番組が増えてきます。

たとえば、「花畑牧場」の話題。
経営者なんだか、営業マンなんだか良くわかりませんが、同社の田中義武氏をメディアで観ることが増えている感じがします。
やたらと儲かっている「感じ」が演出されていますし、
やたらとどん底からの再生ストーリーが演出されています。
こういう元気な話は、もちろん悪くないのですが・・・
上場企業ではないので同社の詳しい数字を観る立場にはないですが、売上高50億円、従業員数500人、設備投資も結構必要、原価も結構高い・・・で本当に儲かるんですかね?
ものすごく不思議です(笑)

この報道の先には、「次の北海道知事は田中義武氏に!」なんてシナリオがあるような感じがします。

「選挙前」ということを意識して報道を見ると、普段見えないところが見えてくると思います。

<国庫金を増やせ!>

国税の動き、公安の動きが活発化しているという噂を良く聞くようになりました。
SCSEは、人員を増員させ、11月以降、たくさんのインサイダー取引が摘発されるという噂を聞きます。
(もちろん、僕は、当たり前ですが、インサイダーには全く無縁です。)

知人の会社に国税が入った!なんて話も聞きます。

これら、税収不足による国庫金の減少を補う動き、なのだと思います。

どんどんやって欲しい!と思います。
インチキヤロー(笑)は、何人か知っていますが、ありえないぐらい富裕した生活をしています。
嫉妬はしませんが、取り締まるべきことです。

<ああ失敗・・・>

ああ失敗・・・先週買ったN225プットオプションを、投資額に対して3倍ぐらいのところで売ってしまいました。
投資(いやこのところは投機ですね)の失敗とは、損失が出ることではなく、儲けるチャンスを逃すことですよね。
僕の投資家としてだめなところは、「ポジションを持つと判断が歪になる」というところです。
誰でもそうですが、

常にニュートラルで居られるにはどうすればよいか?

ファイナンスや経済に関する知識は、もうこれ以上要りません。
精神状態を一定に保ち、一定のロジックでニュートラルに判断できる自分をどうやって鍛えるか・・・これ現在の最も重要な僕のテーマです。

読者の皆様もそう思いませんか?

「まあこれでいいか」と感じる異性とはうまく行くのに、
「すてきぃ~~~!」と感じる異性を前にするとギクシャクしませんか?

ポジションを持つということは、それに似ていると思います。
僕は、まだまだ、「すてきぃ~~~」に負けて、間違った判断をしてしまいます。トホホ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

2008年10月8日 板倉雄一郎

PS:
なんだか最近、お食事会が激減しています。
男性が元気なくて、男性を集めるのが大変です。
こんなところにも影響が出ています。
がっくりです。

女性の読者の方々にアドバイスですが、この時期に「元気な奴」は、本物だと思いますよ。





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