板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「自分を信じる投資(投機?)」

このところの下げ相場(下げ経済予測)の中で、幸い利益を出し続けています。
投資額を、「博打に大金つぎ込みたくない」という理由で小額にしているので、利益の「絶対額」はさほど大きくはありませんが、利益に対する投下資本と投下時間から観た「投下資本利益率」は、ロングターム&ロングポジションの「投資」ではありえないほど高い結果(年率換算すれば優に10000%超え)になっています。

やっていることは、本来投資における「ヘッジ」としての取引だが、それだけの取引では完全な「ゼロサムギャンブル」と言えるデリバティブ(オプション取引)です。
(もちろん、現在のようにボラティリティーの極めて高い状況の中では、間違っても「ショートポジション」は取りません。プットであれコールであれ「ロング」のみです。)

僕らしくない、という意見もあろうかと思いますが、目の前の「明らかなチャンス」を積極的に逃すほど僕は「おひとよし」ではありません(笑)

そもそも、相場が上げているときに儲けが出て、相場が下げているときに損失が出るようでは・・・

「何もしていないに等しい」

ということになろうかと思います。

投資家であれ、投機家であれ、どんな相場状況でも利益を得る結果にならなければ、「能力」は認められないわけですから。

(予断ですが、「相場が下げているからロスが出ても仕方ないです」と顧客に説明するファンドマネージャは、ゲインに無関係に取得する(年率1.5%程度の)管理費用が、いったい何のためにあるのかわかっていないのではないでしょうか。)

 

投機に勤しむとき、それは、様々な「一見」アカデミックな調査分析を必要とします・・・

為替状況、雇用状況、担保価値推移、経済成長率、インフレ率、金利、政府や中央銀行の政策、貿易メカニズム、コモディティー価格の推移・・・

これらを元に、(僕が思うところの)本質的な経済状況とその見通しを割り出し、且つ、「本質的にはそうだが、市場参加者のすべてが本質を捉える能力を有しているわけではない」といった、いわゆる「行動ファイナンス」的な要素も考慮し、短期の相場に向かうわけです。

やっていることそのものは、明らかに「経済に関する分析」ですから、アカデミックな感じがしますし、経済や行動ファイナンスのお勉強にはもってこいです。

けど、、、、その行為って、社会にとって何の価値も無い。

そう感じる瞬間が多々あります。
もちろん、その行為によって得られる知識や経験は、後に何らかの形で社会に付加価値を提供する源泉になる可能性は十分にあります。
けれど、金は儲かるが、ただそれだけ。
なんかむなしいですが、(少なくとも資産運用の範囲では)今のところそれしかやることが無い、というのが本音です。

そんな投機活動の中でも、僕は毎日「機会損失」をしています。
「もっと投資していれば!」とか、
「もう少し利益確定を遅らせていれば」とか、
「あの時利食いしておけば」とか、
要するに「後の祭り」ということなのですが、そんなことは投資活動をしていれば常に付きまとうことですし、「実損」に比べれば遥かにマシな結果です。

けれど、納得いかない理由は、「機会損失の原因」にあります。

相場動向の分析そのものに間違いがあった上での機会損失なら、自らに新たな学習のテーマを与えることによって、その機会損失に正当な理由付けができます。
しかし、
自ら分析した結果を、「信頼し続けられなかったこと」、が機会損失の原因である場合、どうにも納得がいかないわけです。

つまるところ・・・

「自分を信じていない(=超短期の相場変動に翻弄されている)」

そんなんじゃだめ。決して「本物」にはなれないわけです。

投資であれ、投機であれ、つまるところ「自分を信じる者が勝つ」わけですね。

反省することばかりですが、一生に一度出会えるかどうかという経済変動に立ち会えていることに感謝いたします。

ということで、本日は「独り言系」でしたが、読者の皆様も良い週末を!

2008年10月17日 板倉雄一郎

PS:
「板倉が推奨している企業だから買ったのに、損失が出ている!」
なんていうトンチンカンな文句をネット上で見かけました。
こういう人は、そもそも資産運用を自身で行うことに向いていません。

投資によるリターンは、すべて投資家のもの。(ただし税を除き)
同様に、投資によるロスも、すべて投資家のもの。

それがわからないのなら、いくら知識を詰め込んでも何の意味もありません。
知識なんか習得せず、しっかり確実に「定期預金」でもしていたらとおもいます(笑)

(まさか、当事務所セミナーの卒業生ではない、とは思いますが・・・)





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