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ITAKURA’s EYE 「継続可能な政策こそ経済成長の必要条件」

菅直人さんが日本国総理大臣に就きました。

金融・経済の世界では、今後の政府の政策、とりわけ経済政策がどのようになるのか?について、さまざまな予測、推測がなされています。

為替はどうなるのか?
税制はどうなるのか?
国家予算と国債発行はどうなるのか?
などなどなどなど・・・

確かにそれらの具体的な経済政策は、今後の経済を予測する上で重要な要素であることに違いはありません。

しかし、今後の経済を考える上で、政治が経済に与える影響で最も重要なこと、それは・・・

「その政策に継続性があるのか?」

という点ではないでしょうか。

あらためて書くべきことでもありませんが、政治は、経済価値創造そのものを行うわけではなく、経済活動にとって法的なインフラとして重要なわけです。

だとすれば、政策がコロコロ変わること・・・ルールやインフラがコロコロ変わること(変わると予測せざるをえない状況)は、「ボラティリティーを食う人々」にとっては、「ネタ」を期待できるポジティブファクターでしょう。
しかし、中長期的なリスクを取り、事業活動を行おうとする者にとって、コロコロ変わる政策は、危なっかしくて事業に踏み込めないという認識を持つにいたるのではないでしょうか。

法人税はどうなるのか?
消費税はどうなるのか?
最低賃金規制など雇用に関する規制はどうなるのか?
JGB価格推移(=長期金利)にどんな影響を与える予算がくまれるのか?
為替にどんな影響を与える政策がとられるのか?
こういったことは、たとえ小規模の個人商店であったとしても、その経営に大きな影響を与えるわけです。
これらの経営に大きな影響を与える要素について、「近い将来」、どんな方向が示されるのか・・・これがはっきりしないところで企業家はリスクを取りづらいのは、企業家でなくともわかることですよね。

政治は権力であるし、綱引きであるし、すべての有権者が納得する政策などこの世に存在しないわけです。
だから、「どんな政策であるか」は、確かに重要ではあるけれど、それ以上に、「継続性のある政策」であるかどうかが、少なくとも経済成長のためには重要なことではないでしょうか。
継続可能な政策こそ、経済成長の必要条件である。
僕はそう思います。

郵政政策ひとつとっても、あっちいったりそっちいったり(笑)・・・これじゃ危なっかしくて事業リスクなんて取れやしないですよね。

たとえて言うなら、ルールがコロコロかわるスポーツなんかやってられないですよね(笑)

この夏の選挙に向けて、経済成長を望む有権者が考えるべきことは、「どんな政策であるか」以上に、「継続性のある政策であるかどうか」という視点で選挙権を行使すべきだと思います。

勤勉な人間が大多数を占める日本ですから、政策そのものがどうであれ、その政策が「据え置かれれる見通しが立てば」、皆がちゃんと働いて、皆がリスクを(今よりは)取って、中長期的な経済成長になりえると思うのですが。

2010年6月8日 板倉雄一郎


PS:
菅直人さんとは、過去に何度かテレビ番組・・・「サンデープロジェクト」や「朝まで生テレビ!」などテレ朝の番組・・・でご一緒させていただき、番組中ばかりではなく、楽屋でも個人的に会話をさせていただいたことがあったことを思い出します。
菅さんがトヨタ・プリウスを買った話だとか、政治と経済の軽い話だとか。
そんな彼が今では日本国総理大臣!

菅さんに限らず、その昔、「懲りないくん」時代の「合コンパイレーツ」のメンバーだった幾人かは、政務次官やら、なんとか補やら・・・つまり政府の要人・・・に、なっていたりすることを見るたびに・・・

「僕は一体何をやってきたんだ!?」

と、ちょっとした「おいてきぼり感」を感じざるを得ない今日この頃です^^

うん。もっと仕事しよぉ~^^




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