板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「本日の日本経済新聞」

本日(2009年6月8日)の日本経済新聞本紙朝刊の記事は、なかなか良かった。
(僕も、本当にいい、と思えば、ちゃんと褒めるんです。単なる辛口ではないのです。)

まず、一面左の特集「大転換」、第三部「揺らぐCEO神話」~「グーグル創業者の覚悟・・・全員満足より理念貫徹の記事・・・

この記事の内容、僕がGoogleを気に入って2005年~2007年11月まで株主になっていた理由にも繋がります。

参考エッセイ:ITAKURASTYLE 「理念か、計画か」

この記事には、過去に僕自身が何らかのカタチで関わった企業や人・・・

Google、ライブドアと堀江貴文君、東京製鐵などの話題が、真っ当な評価と共に取り上げられていて、この記事の好印象が増したのかもしれません。

次は、3面、「月曜経済観測~個人消費どう動く」、という見出しで、ローソン社長・新浪剛史氏のインタビュー。

このところ、非常に興味のある「消費者動向」について、現場の経営者からの率直な意見は、とても参考になりました。

特に、「不景気により、消費者が、価値 >< 価格 をより慎重に観ている」といった内容に納得です。

不景気とは、要するに、「消費者の商品を見る眼が厳しくなる」ということですから、長期に渡り価値ある商品を合理的な価格で提供し続けてきた企業は、生き残れるんですよね。
身近な例で言えば、僕がこの場で何度か紹介したことのある飲食店(「第三春美」など)の場合、絶対額としては決して安くない(先日も女の子と食事したら、その子が「刺身がいい」ってことで、二人で握りを一つも食べずに刺身ばかりだったので、4万5000円と、いつもの3万円前後より高かったですけれど)、けれど、このご時勢でもいつも満席だったりします。
一方の、「そもそも妥当な価格など無い」銀座のクラブなんかは、この1年で数百件ぶっつぶれたと聞きます。

続きましては、5面の「賢い政府と企業家精神」というタイトルで、シュンペーターとケインズの相反する経済学者による理論の「融合」についての記事。

結局、筆者による「答え」は見えないままの記事でしたが、お勉強にはなりました。

さらに、7面「米経済運営 オバマ流」というタイトルの記事では、オバマ大統領による、「優先順位」、「期限」、「金額」を明示する経済政策についての評価。

そして、関連記事として、9面の「経営の視点・・・オバマCEOの賭け」というタイトルでは、「とはいえGM救済は、ベトナム戦争に似た長がぁ~い失敗の始まりの可能性になるかもしれない」というネガティブ視点も。

その他、今日の日経はよかったと思いました。

 

2009年6月8日 板倉雄一郎

 

PS:
このところの日本経済新聞グループメディアは、本紙に限らず、テレビ東京の経済番組にしても、一昨年ごろまでの、「めちゃくちゃ間違い」、「投機あおり」、「投資銀行とグル」のような馬鹿げた内容から、かなり価値が高くなったように思います。

って、僕が何か褒めると、それを裏切られることが多いのですが(笑・・・だからあんまり褒めたりしないの)、大丈夫ですよねぇ日経さん。

他方、ギャラが安いからってお笑いタレントばかりの民放地上波番組は、イケてないですねぇ
たとえて言うなら、「大人のピンポンパン」みたいな番組ばっかり。
ホント、観てるだけで頭悪くなりそう。

 

PS^2:
このところの株価上昇は、「行き過ぎ」。
確かに、
日米の各種経済指標が投資家をして「そろそろ底打ち」と思わせることを否定しませんし、
「株価は先行指標」であることなど百も承知していますし、
中国向け輸出が回復していることも承知していますが・・・

(低金利誘導を含む)バラマキ、
(公的資金などによる)PKO、
そして生産圧縮による在庫調整による、
「一時的」効果に過ぎない可能性が極めて高いことを忘れない方が良いと思います。

実際、設備投資は、まだまだ減少していますし、仮に中国が「過剰消費だったアメリカ」の代わりをやる将来があったとしても、それはずっと先。

その上、世界的な「長期金利上昇」は、企業や個人の資本コスト増になることも忘れないほうが良いと思います。

1930年代のアメリカでは、ニューディール政策によって失業率が急速に回復しましたが、政策が終わった1940年代初頭、再び失業率が大恐慌直後の水準まで増加したという経緯があります。
当時は、WW2という「大規模な公共事業」によって、やっと経済が回復しましたが。





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