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ITAKURA’s EYE 「真似されることによる優位性」

「日本人にとってのグローバル市場は「言葉の壁」が極めて大きいと、言葉に無関係なインストルメンタル4人の日本人がグラミー賞受賞して思うわけです。モノを売って十分だった時代に日本が強かった理由もここにあるのかな。」

以上、本日の @yuichiroitakura によるツイート。


A.(米)グラミー賞を4人の「インストルメンタル奏者の日本人」が受賞しました。

B.昨年のノーベル賞も複数の「英語(または数式)を扱える日本人」が受賞しました。

C.「モノ」を売ることで十分経済成長を成し遂げられた過去には「片言英語の日本人」が世界で活躍しました。

以上のA.B.C.からみえてくることの一つが、

「日本人(←の定義は割愛)は、まだまだ全然イケテる!」

であり、もう一つが、

「日本人にとってグローバル市場における【言葉のカベ】は極めて大きい」

ということだと思います。

日本生まれのグローバル企業(またはグローバル市場に出て行きたい企業)のいくつかは既に、社内での公用語として英語を採用していますので、今更「言葉の壁」についてしつこく書くことは避けますが・・・

「言葉」を最初に輸出した英国、
その言葉を背景に「文化」を輸出した米国、
彼らの「戦略」は、その後の「自国と同様の市場形成」に大いに貢献している事実は認めなければならないですよね。

正に「Get share at first , profit later」そのものですね。

さて、グローバル市場に活路を見出さなければ現状維持さえできない国家モデルの我が国日本は、一体どんな戦略を「今日現在」持っているのでしょうか。

「特にない!」

というのが本当のところですよね。


言葉は真似されます。
でも、真似してもらえばもらうほど、その言葉をネイティブに使う国家にとって市場拡大に繋がる優位性を得られます。

文化も真似されます。
でも、真似してもらえばもらうほど、その文化に根ざす商品を持つ国家にとって市場拡大に繋がる優位性を得られます。

技術もまた真似されます。
もしくはお金で手に入ります。
この場合、当該技術を持つ企業の買収など必要ありません。技術の媒介は明らかに人ですから、技術を持つ人を買収すれば、企業買収より遥かに安く優れた技術が手に入ります。
事実、アジアの企業の大半が、日本人技術者を買収しています。
問題は、技術は、言葉や文化と違い、真似されることが競争優位性に貢献しないどころか競争優位性を失ってしまう結果に繋がるということです。

日本の持つ優位性(技術)の弱点は、まさにこの部分にあるのではないでしょうか。つまり・・・

「真似されたら自らの競争優位性を失うようなこと【ばかり】に優位性を依存している」

もしかしたら、このことこそ、グローバル市場時代に日本の成長を描けない根源的理由なのかも知れないと思うのです。

「真似されば真似されるほど、自らの競争優位性が高まるようなビジネスモデル」

これ、「グローバル」や「ネット」によって直ちにレバレッジの効く現代に置いて、極めて重要な戦略ではないかと思います。

「具体的には?」って聞かないでください。
それ自体が「ビジネス」ですから。

2011年2月15日 板倉雄一郎


PS:【実践・起業塾】Day-3 ランナップ

先週末は「板倉雄一郎の実践・起業塾」のDay-3 経営シミュレーションゲームでした。
石野雄一氏が講義~指導~評価採点を行うゲームは、確かに「古典的ビジネスモデル(工場によるモノ作りと販売)」をベースにしたゲームですので「古さ」は否めませんでしたが、そこはゲームですから現実とは異なる環境設定があって当然です。
大切なことは、限られた環境の中から「何を学ぶのか」ですよね。

僕自身は「経営のスピードとは」というエッセイの具体例を学ぶことができました。
それはすなわち、商機を捉える「構え」であり、それはバランスシートに具体的に現れるということでした。

僕自身はゲームに直接参加せず、あくまでサポーターとしてプレイヤーの面倒を見る立場でしたが、楽しかったし、学ぶことがありました。
プレーヤーの中には自身の成績について「心残り」という方が大半でしたが、ここはぐっとこられて「何のためのゲームだったっけ?」を思い出し、ゲームでの反省を現実の事業に反映していただきたいと思います。
ゲームそれ自体にはまってしまっては、本末転倒ですからね(笑)





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