板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「ネットビジネスモデルの条件(その3)」

先週末、なんとなく気になって、注文していたiPadの配送状況をヤマト運輸のトラッキングサービスにてチェックしたところ、7月3日に到着予定だったはずが、6月26日の時点で「配達中」との表示。
27日日曜日には、しっかり届けていただきました。
おかげでこの週末は、iPadにしっかり、たっぷりハマることに^^
以下、まる二日に渡るiPad三昧から得られた情報や感想などを書いてみたいと思います・・・

<ビジネスモデルとして見たiPad(やiPhone)>

ビジネスモデルを評価するとき、その概念図や機能に目を通し、全体像を頭に思い浮かべながら、あーでもない、こーでもないと、脳内シミュレーションによって評価することがあります・・・でもそんなのは、やはり「頭でっかちな方法」に過ぎないのだと再認識しました。

実際に、自分のお金を差し出し手に入れ、自分の時間を使って触れ、自分の感性で感じ、さらに付加価値に対し自分のお金を差し出し、遊びに興じるという「経験」によって初めて得られること、それが如何に大切であるかを実感しました。

iPadに対する巷の(特にマスメディアによる)評価は、その直感的操作性や物理的なカタチに関するものが多いのですが、iPadという端末に加え、PCとしてのMac、アプリケーションソフトウェアとしてのiTunes、ネット上のiTunesやApple Storeなど、Appleの端末商品やネット上の仕組み全体を見た場合のiPadの位置付けは・・・

Appleのビジネスモデルを利用するための「一端末に過ぎない」

ということが良くわかりました。

最初は、iPad(やiPhone)のカタチに惹かれ、操作性に惹かれ、購入し、触れているうちに・・・

「どんどんお金を使うハメになる!」(笑)

からです。

iPadが到着したての時は、iPadそれ自体をいじくることに集中するわけですが、一通り道具として自分のモノにすることができると、次は、その道具を応用して使いたくなる。
そうなれば、Appleにとってはしめたもの(笑)、iPadのデスクトップには、その欲望を満たす扉が最初からあるわけですから。

システム手帳に毛が生えた程度の利用目的で買った人であっても、iTunesで配信される音楽、AppStoreで閲覧できる膨大な数のアプリケーションが放つ魅力、さらに、それらに極めて容易にアクセスし購入することができる設計・・・誘惑されない人は、おそらく少数派だと思います。

僕の場合も、たった2日間で、デスクトップにあるアプリケーションは、有料・無料あわせて3ページ分にもなってしまいました。

このところ、最初「だけ」タダ、遊び進めるとお金を巻き上げられるケータイゲーム市場がにぎわっていますが・・・それはまるで世界的金融危機の元凶であるところの、最初の数年「だけ」支払いの少ないサブプライムローンの仕組みに似ていますが(笑)・・・彼らケータイゲーム業が、一つ一つのアプリケーション(←ゲーム)の中で、お金を上手に巻き上げる仕組みを持っていることに対し、Appleのそれは、端末(Padなど)←→通信機能(ネット)←→オンラインショップ(iTunes、AppStore)と「垂直統合されたサービスインフラ全体」が、上手にお金を巻き上げる仕組みになっているわけですが・・・

それって、i-modeとおんなじジャン!

などと、体験なしの頭でっかち評価をしてしまいそうですが、i-modeがネット上の様々な「機能」を売っているのに対し、Appleの場合は、そのサービスインフラ全体が利用者に様々な「体験」を売っているのだと思います。

Appleのビジネスは、その昔から、「機能ではなく魅了を売る」、が継続されている・・・Appleに触れるたびに、毎度そんな感想を持ちます。

エロさの経済価値」をはじめ、過去のエッセイで何度も書いていることですが、その価値を容易に価格に換算することができてしまう「機能」より、その価値が人によって千差万別=価格に置き換えることが難しい「魅了」の方が、「うまくすれば」、多くの利益を創造することに繋がる・・・それこそがAppleの業績の根拠だと思います。

<無料の方が面白い!?>

昨夜、先日のエッセイでも書いた「iPhoneの達人」と一緒に面白い遊びを思いつき、数時間に渡ってプレイしてしまいました。
そのゲームとは・・・

「爆笑アプリ見せ合いっこゲーム!」

ワイン片手に、彼女がiPhone、僕がiPadで、それぞれがAppStoreをはじめとするネット上からアプリケーションを検索→ダウンロード→見せ合うだけ^^

ルールは、
1、自分が探し出したアプリで相手を爆笑させた者の勝ち。
2、アプリは無料に限る。
それだけ。
で、数時間に渡り「無料で」楽しめました。

ちょっと前、「人は無料の方が他人に価値を提供したがる」をテーマにした本が話題になっていたことを証明するかのように、少なくとも僕らにとって、数百円程度のアプリより、無料のアプリの方が「笑えた」のでした。

チョイゲーは無料がいい。

お金をいただくための「手段として」作られたモノより、楽しいという動機から作ることそれ自体を「目的とした」モノでは、後者の方が「面白い」。
それはおそらく、映画であろうが、書籍であろうが、ゲームであろうが、同じなのだろうと思います。

作者自らの人件費以上のコストのかからないチョイゲーの場合(≒投資額の回収が絶対条件ではない場合)、その傾向は顕著になるのではないでしょうか。

<こまったちゃん系>

とは言え、問題が無いわけではありません・・・

1、フラッシュに対応していない

これは、iPhoneも同様ですが、閲覧するサイトがFlashによって書かれていると見ることができません。
「Get FlashPlayer」のリンクをタッチするも、Adobeのサイトには、「Adobe cannot provide Flash Player for the iPhone, iPad or iPod touch.」との表示。
Appleでは、同機能のソフトウェアを開発中ということですので、しばらく待つしかなさそうです。
それでも大きな問題にはならないのですが、僕の場合は、このエッセイを書いているMovableTypeが一部Flashで書かれているようで、これをiPadで書くためには、あらかじめメモパッドかなんかで下書きした内容をコピペで流し込む手間が必要なようです。

ということで、本日のエッセイの段階では、まだWindowsPCにて執筆しています。
ただ、PCのある自宅に居るとき、「わざわざ」、というか、「一生懸命」、iPadを使う必要なんてないわけで、必要なときに必要な道具を使い分ければよいわけですよね。
でも、使って(浸かって、漬かって)みたくなるApple製には、間違いなく「エロさの価値」がありますよね^^

2、操作性は優れているが柔軟性に欠ける付属メーラー

付属メーラーの場合、受信トレイ内に(端末内での)新規フォルダを作ることができない。
サーバー側でやってくれということなのだろうけれど、結構困る。
けれど、PCがメイン、iPadはサブという位置づけであれば全然問題なし。
というよりiPadの新規スタートアップにはiTunesの入ったPCとのUSB接続が必要なわけだから、最初からそういう設計なのですが。

3、意外と使いにくい、タッチパネルとリアルキーボードの組み合わせ、だが・・・

Keyboard DocにiPadをさして繋ぐと、文章入力時にキーボード上にある手を、ポインティング時には画面上に持っていかなければならないので、結構腕が疲れる(笑)
この点については、ポインティングカーソル(←画面上の矢印アイコン)と決別したタッチパネル方式だから仕方ないのですが、僕にとっては「もと」IBM製のThinkPadのキーボード上の圧力デバイス(トラックポイント)の方が、キーボードのホームポジションから両手を動かさずにポインティングができるので都合が良い。

けれど・・・

アップルによる「割り切り」が、むしろ彼らの商品の価値を高めているとさえ思います。
対極にある日本製のケータイ上位機種・・・たとえば僕がiPad用に調達したF-06Bなどがそうですが・・・の場合、何でもかんでも「機能を」詰め込んだがゆえの没個性になってしまっていますから。

その昔、Macがデビューしたときも、マウスのボタンは「一個だけ」でした。
その割り切り、結構いけてると感じました。

「こいつは、こうやって使ってもらいたいんだよ」

といった、Appleからの、「製品にこめられたライフスタイルの提案」を感じ、非常に納得した次第です。

モノや機能があふれる現在、「割り切り」って結構価値を生むのではないでしょうか。
よく言われる台詞ですが・・・

「なんでもできるは、なにもできないことと同じ」って^^

<その他の使用レポート>

以前のエッセイ、「ネットビジネスモデルの条件(その1)」に書いた、

ケータイのWi-Fiアクセスポイントモード機能によるiPad Wi-Fiモデルのネット接続、つまり・・・

iPad<=Wi-Fi=>Wi-Fiアクセスポイントモードのケータイ<=携帯電波網=>ネッ

は、予定通りバッチリ動作しました。

在宅時の、

iPad<=Wi-Fi=>自宅のアクセスポイント<=NTT光=>ネット

に比べれば、当然遅いですよ。
でもそれは、ドコモと同じ通信方式のソフトバンクモバイル3Gも同じこと。
だから、アクセス可能エリアの広さから、僕の通信環境の方が実用的だと思います。
ただし、アクセスポイントモード時のF-06Bは写真撮影など一部の機能制限がありますが、電話やケータイのメールなど、基本の動作は保証されていますから、ケータイで電話しながらiPadでウェッブ閲覧も、もちろん可能です。
(↑ 実証済み)


以上、2日間に渡るiPadハマリレポートでした。
まとめると・・・

ネットビジネスも機能から魅了の時代へ。

といったところでしょうか。
最初は、そのカタチや操作性に魅了され、購入し、使っていくうちにズルズルと消費してゆく・・・

それは、恋愛の過程にとってもよく似ていると思います。

恋愛上手は仕事上手ですからね^^
逆もまた真なり・・・ってことにしておきましょう(笑)

2010年6月29日 板倉雄一郎


PS:
おかげで、めちゃくちゃ疲れてます(笑)
体は元気・・・というよりちょっとメタボが進行・・・ですが、頭と目と肩はめちゃくちゃ疲れちゃってます。

「め!かた!こし!に効く!」のフレーズのサプリメントを飲んで、また「バイオハザード4」をやっちゃおーーーー^^

PS^2:
そういえば、免停明けてドライブ可能になりました!
のですが、少なくとも後数日は、クルマよりiPadのような気がします(笑)




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