電力供給における「送電と発電の分離」は「消費者の選ぶ自由が増える」という意味において理論的に素晴らしい政策だと思います。
震災後の原発問題は、実は原子力の問題ではなく「地域独占」による問題なのだと思います。
従って「送発分離」に移行する絶好のチャンスを逃さず、直ちに実施していただきたいと一消費者、一有権者、一納税者として思う次第です。
しかし、消費者の「選択の自由」は、消費者の「選択する目」に依存するわけですから、後者が十分に育っていなければ、全く逆効果になる可能性を否定できないと思います。
昨日、気になっていた親不知を抜きました。
麻酔が切れる前に、昨夜一度だけ鎮痛剤を服用しただけなのに（＝今朝には鎮痛剤の効果が切れているはずなのに）今朝は、全然痛くありませんし、頬の腫れも全くありません。
Facebookでのこの件に関するやり取りでは、様々な「親不知苦闘」が寄せられているのに、僕の場合は全く問題ありません。（あくまで現時点では）
僕は、歯科治療に限らず、広義での消費行動をする上での企業選びを結構慎重に行います。（勿論、過去のトヨタiQのように、慎重さを欠いて失敗したケースもあります。）
今回のように「医者の腕次第で大事に至る可能性がある場合」は、特に慎重に考えました。
その参考にしたのが、その昔、中古車売買のプロの友人から教わった一言でした。
「中古車買うなら、地元出身、地元営業の店舗から買うのがいい」
なるほど、ジモティーなら「テキトーに短期で稼いでヤバくなったらサイナラ」とできる可能性は極めて低くなる。
なぜなら、この場合、商売だけではなく、生活基盤も同時に捨てなければならないからだ。
ということで、地元（現在は千葉県船橋市）で評判の歯医者を選ぶ事にしました。
（ちなみに、地元情報の交換「サイト」は、結構「地元美容室」だったりします（笑）
良く、芸能情報の拡散サイトが芸能人が通う美容室だということが言われますが、確かに数時間、雑誌を読むか、スマホいじるか、美容師と話す事しかできない場は、情報交換サイトとして成立する可能性は高い。）
そんなこんなで手に入れた「腕の良い歯医者」での治療は、割と抜きにくいとされる生え方（具体的には省略）の親不知にも関わらず、今何をしているのかの具体的な説明を兼ねながらテキパキ行われて、わずか15分で完了。
しかも、麻酔注射以外は、これっぽっちも痛くありませんでした。
我ながら、素晴らしい店舗選びだったと思う次第です。
もし消費者が「安いから」という理由だけで、選択の自由を使うとしたら「送発分離」は、理論通りの素晴らしい効能を地域や消費者にもたらすとは限らないのだと思います。
たとえば最近では、「ユッケ問題」や「（保安に十分なコストをかけなかった）原発問題」
過去にさかのぼれば、きりがないほど「安いから」という理由だけで消費者の選択の自由を使ってしまった問題は沢山あります。
（たとえば、大規模な株式分割による「一株辺りの株価が低いから買う」といった、株主価値を無視したなんちゃって株式投資による弊害も、ケースの一つでしょう）
消費者が「安さ」を考える上で、最も重要な事は、
「安い」＝「価値 ＞ 価格」
の場合に初めて言える事なのですが、長く続いたデフレーションのおかげか「絶対額が小さい事」を「安い」と判断する傾向が強くなってしまったのだと思います。
そのしっぺ返しは、言わずもがな消費者自身に及ぶのだと思います。
「送発分離」を行った結果、過度な市場原理が働き、保安基準を無視した（保安にコストをかけない）発電が横行することになれば、今より悪くなる可能性も十分にあると思います。
政治がイケて無いのは、有権者が「選択の目」を持っていないからではないでしょうか。
テレビのニュースエンタメ番組が、オバハンの井戸端会議と同レベルなのは、視聴者が「選択の目」を持っていないからではないでしょうか。
「スポンサーの意向が働くからつまらないんだ！」という意見もあろうかと思いますが、それさえも突き詰めれば、消費者＆視聴者の「選択の目」に起因することになります。
消費者が、よりより消費生活を送るためには、消費者自身が「何が最も適切か」を常に考え、常に議決権（＝お金）の行使をする事だと、僕は思います。
お金は、社会に置ける議決権に他ならないのだと僕は思います。
2011年5月26日 板倉雄一郎
PS:
久しぶりに、昔風のエッセイを書いてみました。
親不知が無事に抜けて嬉しかったので（笑）
PS^2:
こんな僕でも、めちゃくちゃ苦手な「選択の自由」のジャンルがあります。
お付き合いする「女性」
上手に選択できない理由も分かっています。
容姿にだまされ「うひょひょ～」となるおかげで、冷静な選択眼を失ってしまうようです。
失礼いたしました。
