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ITAKURA’s EYE 「史上最大のねずみ講」

ねずみ講は、新規の資金流入が続く限り破綻しません。

新規の資金流入が長い期間続くと、ねずみ講の中に居る人たちは、それが延々続くと錯覚しがちです。
そう錯覚するからこそ、破綻寸前まで、あの手この手で新規の資金の出し手を模索し続けるわけです。
ねずみ講が長期に渡り続けば続くほど、そのシステム上、新規に調達しなければならない資金量が乗数的に増加し・・・調達が益々難しくなり・・・資金調達が途切れた瞬間に破綻が一気に顕在化する傾向にあります。
したがって、何年もの期間をかけて徐々に会員に対する配当(?)が減少し、緩やかに破綻するといったことは無く、あるとき新規資金流入が途絶え、その後、極めて短期間に破綻が顕在化します。

ここで重要なことは・・・

1、破綻する直前まで、その構成員は破綻に気づかない・・・延々と続くと錯覚する。
2、継続すればするほど、必要な資金量が増大する・・・大規模な新規開拓が益々必要になる。
3、危機が表面化すると、極めて短期間のうちに破綻に追い込まれる。

ということですが、法治国家である限り、違法であるところのねずみ講は、自らの破綻の前に公安当局によって取り締まりがなされ、被害者の拡大をとめることが出来る可能性もあります。

 

しかし、ねずみ講が、立法・司法・公安など行政を担う者によって行われているとすれば、自らの破綻の前にそれを取り締まることは極めて難しくなります。

 

現在、JGBの利回りは、1%台前半と極めて低い水準です。
新規の資金流入が滞りなく行われていることに加え、国債村の思惑通り「まだまだカモ候補は居る」わけですし、そのカモ候補を現実のカモにするための法案(・・・郵政国有化と預金限度額の引き上げ)も着々と進められています。

さらに、国内の景気低迷により企業や個人の資金需要が乏しく、個人も金融機関も資金運用機会に恵まれず、JGBが買い進められる環境が「少なくとも現在は」整っています。

資金運用先としてJGBが選ばれているのは、あくまで排他的にであって、投資家が積極的にJGBを選んでいるわけではありませんから、他に有利な投資対象が見つかれば、割と短期間に資金が移動される可能性も低くはありません。

ただし、その場合も、民間金融機関がJGBを大量に売ろうものなら、当局からの圧力があっても不思議ではありません。

つまり、現在のJGB利回りは、リスクとリターンを正常な資本市場メカニズムによって測った結果として得られている数値ではない・・・と、少なくとも僕は思います。

 

「なぁ~んだ、大変だぁ!と騒ぐだけで、実際には何も起こらないじゃないかよ!
 財務省が利権獲得のために脅かしているだけじゃないか!
 まあ、JGB利回りが上昇を始めてから必要な手段を考えても遅く無いんじゃないか。」

 

冒頭に書いたように、(「平時であれば」300兆円ほどの回収可能な財産があるとは言え)、総額1000兆円にも達する史上最大のねずみ講の破綻は、ある日突然やってくることを、その内部に居る人・・・つまり我々日本人全部・・・は忘れているのではないでしょうか。

暫くは、新規に調達した資金を、会員維持のための「配当(=国債利息)」と、「バラマキ(=子供手当て、JALの労働組合の救済など)」に使うことが許されるわけですね。

ねずみ講じゃなくて一体なんなんでしょうか。

 

しかし僕は、「これでいい」と思います。

「ゆで蛙」のように、現在の閉塞感が長期に渡り続き、ジリジリと壊れていくより、「様々な技術や企業家精神を継承できる人間が生きているうちに」・・・つまり近い将来に、ドンガラガッシャン!し、出直すことの方が、超長期で見れば、良い結果に繋がるのではないかと思うわけです。
(↑ そういうしかないってだけのことなのですが)

 

資源国や新興国の台頭とグローバリズムの結果、企業が戦う相手は、隣村ではなく、海の向こうの大国になりました。

ガラパゴス島の内戦によって、それぞれの村が消耗するより、村と村が一致団結して大国に向き合わなければならないというのに、危機感の無さなのか、それが一向に進みません。

家電メーカーも、自動車メーカーも、アルコール飲料メーカーも・・・

彼らのように、当事者同士の「細かな条件の折り合い」が、まとまりを排除する例もあれば・・・

航空会社も、空港も、港湾も・・・

彼らのように、政治のオモチャとして、死に体企業が延命させられたり、おらが村のコンクリートのために大切な資金が分散されたりする例もあります。

ガラパゴス島は、隔離されているからこそガラパゴスとして成立できますが、グローバリズムの中に置かれたこの国は、ガラパゴスのままで居られないのです。

 

クレクレ人間に支援された独裁・バラマキ・民主党政権は、「結果として」、長期的に見た日本を良い方向に導く「トリガー」を引く役目を果たすかも知れません(笑・・・うしかないですもんね)

 

ある日突然、ドンガラガッシャァ~~ン、という妄想話でした。

 

2010年3月23日 板倉雄一郎

 

PS:

以上の問題とは別の「政治とカネ」が原因と思われますが、民主党の支持率低下は、せめてもの救いです。
ただし、別の「受け皿」は見当たらないのですが・・・ 

PS^2:

世界で勝負する企業のモノやサービスと、現在の日本企業のモノやサービスを直接比較すると、「こりゃダメだわ」と思うことが多いです。

技術の問題じゃなくて、「見せ方」と、戦略に大きな問題が潜んでいます。

今週は、そのあたりを書いていこうと思います。

PS^3:

春ですね。
春になると恋愛したくなります。
でも、昨年から続いた「マニーちゃん」との度重なる遭遇は、僕をして、女性不信に陥らせてくれたようです(涙)

マニーちゃんに遭遇して何が嫌かって・・・

「お金がかかる」なんて事は、マイナーな理由です。
そもそも、要求通りに支払わなければよいわけですから。

男性からお金をせびり、そのお金で、衣類やバック、そして美容など「自らへの投資」を行い、その投資を回収するために、投資した自らを餌に、次のリッチパーソンを探す・・・
加齢や景気動向によって投資循環が途絶えれば、他に生きていく方法を知らないから自滅する・・・そんなリスクを抱えながら、必死に自らの見栄えの良さを維持する。

そんな生き方、少なくとも僕は、惨めな生き方だと思います。
もっとストレートに表現すれば、たちの悪い娼婦といえると思います。

そんな惨めな生き方の女性と、わずかとはいえ共に凄し、少々のお金を使ってしまうことは、本当に嫌なんです。

「あれ?この子もマニーちゃんかな???」

そんな女性不信は、もしかしたら、僕を良い方向に導いてくれているのかもしれないですけれど。





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