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ITAKURA’s EYE 「消費税率引き上げないとね」

政府財政(決して国家財政ではない)について、様々な意見があります。

現政権は、少なくとも今後4年間は消費税率の引き上げないとし、「逆立ちしても鼻血もでないというまで、完全に無駄をなくしたときに、消費税率の引き上げなどを検討する」、という方針であると伝えられています。

この方針をさらっと聞き、「うん。確かにそうだ。歳出を可能な限り切り詰めてから、歳入についての議論をすべきだな」、と思う方も多いと思うのです。

しかし、そう思われる方・・・つまりそれなりに税や政府財政についてある程度関心のある方・・・は、一方で、「今、何らかのカタチでバラマキの恩恵を受けても近い将来の増税があるわけだから、もらったお金を直ちに消費に向けるわけには行かない」、とも思うと思うのです。

つまり、政府財政規律を軽視してでも経済成長(・・・将来の税収自然増)のためにバラマキを優先する、という考えは思惑通りの効果を発揮しないと僕は思います。

「数十兆単位での歳出削減ができるほど、これまでの予算編成が無駄だらけ」

または、

「数兆円の歳出削減だけでプライマリーバランスがプラスになる」

という財政状態なら、まず歳出削減という考え方も受け入れられますが、現在の財政状態は、そのどちらにも当てはまりません。

 

本日(2010年2月1日)の日本経済新聞本紙朝刊の第3面に、「政権」というコーナーがあります。
このコーナーの中で、東京大学大学院経済学研究科教授の井掘利宏氏が・・・

「消費税は経済環境と関連させて議論すると進められない。段階的に少しずつ上げていくのも一案だ。少しずつ上げれば毎年駆け込み需要が出て、インフレマインドにもつながる。増収の一部を低所得者などのケアに回せば、弱者の生活も不利にならない」

と述べています。

僕は、この意見に賛成です。
(というか、先に言われてしまってちょっと残念ですけれど(笑))

消費税率の引き上げは、一般的に低所得者の税負担増になるという弱点がありますが、その点について、低所得者に対する何らかの配分と消費税率引き上げをセットで実施することにより、ある程度解消可能であるという主張も合理的だと思います。

また、段階的な消費税率引き上げのアナウンスメント効果は、インフレ期待による消費性向の引き上げと同等の効果があるという主張も合理的だと思います。

さらに、この方のこの紙面での意見には無いことですが、消費税率引き上げによる財政規律維持の可能性が高まることは、将来の社会保障の実現可能性が高くなるわけですから、今より将来に対する不安が減少し、消費性向を高める可能性があると思います。

 

そもそもこの国の状態は、少子高齢化による人口ピラミッドの中期的な歪さから、低負担では持続不能なことは、「国民の誰もが」知っていることです。

「しばらく消費税率引き上げませんから安心してください!」

なんてアナウンスしたところで、

「よかったぁ~じゃあ使おう!」とか、

「消費税率を上げない政党に投票しよう!」

なんて思う人は決して多くは無いと思います。

 

今、無駄の切り詰めと同時に、歳入増について議論を進めなければならないときだと思います。

(参院選を控えた与党には、なかなかできない議論ですけどね)

 

ただし、依然、というか、恐らく長期的にも外需依存モデルの日本における「稼ぎ頭」であるところの企業の税率・・・すなわち法人税は、国際競争力を維持するために他の先進国並に減税すべきだと思います。

法人税が、経営者や株主から徴収する税だと思われている方もいらっしゃると思いますが、それは会計上の結果論に過ぎません。
法人税は本質的に、企業のすべての利害関係者から徴収される税です。

たとえば、もし法人税率が引き上げられるとすれば、経営者(≒投資家)は、それまでの投資家に帰属するキャッシュフローを維持しようと、コストダウンや売り上げ増を行おうとします。
企業のコストをルックスルーすれば、人件費と資本コストに集約されることを前提にすれば、企業のコストダウンとは、すなわち人員削減ですから、法人税率の引き上げによる負担の一部が、被雇用者にも及ぶわけです。
当然ながら投資家にもその影響は及ぶわけです。
またこの場合の、売り上げ増とは、顧客が法人税の一部を負担するということを意味します。

つまり、法人税率の引き上げが、企業のすべての利害関係者の負担増となり、同時に国際競争力を損なうとすれば、そこに全く合理性が無いと思いますし、だから、法人税は引き下げるべきだと思うわけです。

一方で、キャピタルゲイン課税は、余りにも低すぎると思います。少なくとも元の20%までは戻すべきだと思います。

 

この国は、少子高齢化人口減少社会であり、その傾向は益々進むわけですから、「誰が政治を行おうとも」、高負担&中福祉が、ぜいぜいいいところなのですから。

 

2010年2月1日 板倉雄一郎

 

PS:

先週末の土曜日、天気が良いからと房総日帰り温泉ドライブに出かけました。
途中、コーヒーでもと、千葉東金道路の野呂PAにクルマを停めようと、バックで駐車帯から出てくる車を少し後方で停車して待っていたら、その車とは別に、僕が停車しているすぐ脇の車(シジミ色のトヨタ・クラウン)が、バックしてくるではありませんか!

やばい!と思った僕は、クラクションを鳴らしました。
それでもその車のドライバーは気がついていないようで、するすると僕の車のサイドに向かってバックを続ける。
本当にやばい!と思った僕は、クラクションを鳴らし続けました。

僕の車の直後には、僕と同様駐車を待つ車が、そして、僕の直前には駐車帯からバックで出てくる車が・・・前にも後ろにも、当然ながら車ですから横にも動けない。

シジミクラウンは、僕のクラクションなど気にもせず、ドンドン運転席の僕に迫ってくる。

「ああ、もうだめだな」

そう思った瞬間、シジミクラウンの右後方が僕の車の左側ドアとフロントフェンダーの間にドカン!

 

その後は、事故にお決まりの手続き・・・

せっかくの日帰り温泉ドライブの気分は台無し。
どう考えても先方の不注意ですから、(だって僕は停まっていたわけですし、ケーサツによる事故見聞のときにもちゃんと先方に確認しましたから)、修理代は先方の保険会社が100%負担することになるでしょうけれど、しっかり治ったとしても、僕の車のリセールバリューは少々下がるし、修理中は乗れなくなってしまうわけで、がっかり。

怪我も無く、損傷も軽微だったことを良しとする他無いですね。

土日のドライブって、本当に危ない。
それは、年を追う毎に、益々ひどくなる。
その昔、デートには車が必須という法律があったころは(笑)、運転が上手であることは男としての一つの勲章だったのに、今では、運転技術どころか車そのものに興味の無い人が多くなりましたよね。

なんだか一人、古い人間をやっているような気がする今日この頃です。

 

相手は埼玉の土建屋の経営者で、年のころは60過ぎ。
聞くと、大原までボートフィッシングに出かける途中だという。
ナビシートに居た女性は、どういうわけか事故直後から姿をくらまし・・・恐らく愛人かなんかなんでしょう・・・もし、事故についてごちゃごちゃいうようなら、自宅に電話して奥様に・・・

んな下品なことやめとこ(笑)

 

電車の事故、自動車事故、地震・・・そんなことがきっかけで、浮気がばれるケースって結構あるとおもうんですよね(笑)





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