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ITAKURA’s EYE 「ネットビジネスモデルの条件(その6)意外な競合」

あーやっぱりこうなってしまった。

最初からわかっていたことなのだけれど、こうなってみると、結構後悔します・・・

寝違えたみたいに肩と背中が痛い。
目が疲れて乱視がさらに酷くなったような感じ。
そして、ひたすら眠い。

それは、手をつけてはいけないモノに手をつけてしまったからなのです。
オタクは、オタクの心をくすぐるモノに手を出してはいけないのです。

でも、たくさんの体験と、たくさんのワクワクと、たくさんの驚きが「毎時間」あって、心は充実している・・・疲れはその対価、仕方がないです。

今週も、先々週から始まった「ネットビジネスモデルの云々かんぬん」と題し、その実iPad体験記に過ぎないエッセイが続きます(笑)・・・


部屋にこもってiPadいじくるのもイイカゲンにしようと、久しぶりに・・・それは免停だったので40日ぶりぐらいにクルマで出かけました。
もちろんiPad持って^^

当初、iPadを持っていく目的は、丸一日かけてCDからiTunesに吸い上げた楽曲をクルマのオーディオで聴くためでした。

クルマ・・・Mercedes-Benz SL55 AMG・・・に乗り、「さてiPad何処に置こうかな・・・」

最初は、ナビシートの上にポンと置いておいたのですが、ドライブ中に音楽変えたりするのが面倒だったので、ふと、センターコンソール(←「車載」オーディオとか「車載」ナビとかあるところ)にハマりそうな気がして置いてみました。

そしたら、まんまとピッタリ!!!
↑ こういう瞬間って、つかの間のハッピーを感じますよね^^
 もう一台のクルマ(Mercedes-Benz E320 Station Wagon)にも乗せてみましたが、こちらの方がジャストフィットでした^^

もちろん、置いた分、「車載」マルチファンクションディスプレイ(以下MFD)、エアコンの操作パネルは隠れてしまいますが、そもそも輸入車のMFDって一世代古いモデルが積まれているケースが多くて、僕のクルマも例外ではないので、使い勝手良いとはいえなくて、使っていないといえば使っていないし、エアコンに至っては、普段全く触れないので特に問題なし。

縦置きのiPadの下の両角を、ちょいと圧力かけてコンソールに挟むように置いてみると横G・・・それは結構なGをもたらす走行が可能なクルマなのですが・・・にも耐え、しっかり固定されているじゃないですか!
でもちょっと心配だったのでフル加速・・・車重2トンのクルマに最高出力500馬力以上、最大トルク70Kg-m以上が生み出す加速は、0-100km/hをわずか4秒!・・・インスタント設置のiPadは案の定、倒れてシフトレバーにごっつん!でしたが、後1年、めちゃくちゃ安全運転しないとならない僕にとって、「そんなに加速しなくていいじゃん!」ってことで、これまたオッケー^^

(以上、かなりiPadにひいき目な印象を持つ文章です^^)

※実際の環境は・・・
1、ケータイF-06Bをアクセスポイントモードに設定~ケータイがMoperaUに繋がり~iPadがケータイのWi-Fi電波を見つけて自動接続するまでおよそ20秒。
2、ケータイを車載MFDのコネクタに接続・・・ケータイの充電(Wi-Fiアクセスポイントモードでの電力消費量は結構大きい)、MoperaUへの接続維持、車載オーディオとマイクでのハンズフリー通話、ケータイのSMSメールの送受信可能。
(友人が運転中の電話で検挙され、僕と同様、累積による免停になったのを機会に、クルマに乗るときは必ずMFDのコネクタにケータイを接続していますざんす^^)



センターコンソールにハマったiPadをクルマのインテリアとして観てみると・・・

素敵!

なんだか、どでかいカーナビというかMFDのようで、なんだかクルマそのものがアップグレードしたような感じに見えなくもない。
先入観除いて考えてみると、「車載の」MFDより、iPadの方が、めちゃくちゃ高機能、高操作性なんですよね。

iPodの操作もバッチリ!
センターコンソールだからナビシートからの操作も容易!

そもそも、今流れている曲のアルバム表紙がセンターコンソールに、ばぁ~~んとあったりするのって、かなり新しい!ですよね。

見やすい位置に置かれたiPadを眺めて次に思ったことは・・・

そうだ!GoogleMapやってみよー

早速軽くタッチしてGoogleMapを起動・・・

おーーーっ!

「車載の」ナビより画面デカいし、
拡大縮小もスクロールも楽だし速いし、
地図は「常に」最新だし、
経路機能を使えばルート案内もしてくれるし・・・ちゃんとクルマモード、徒歩モード、電車モードがありますし、ルート検索は「車載の」カーナビと同様に、一方通行やらなにやら実際の道路交通法を守ったルートを出してくれるし、
iPadは当然持ち運び自由だから、自宅などであらかじめブックマークしておいたお店などの情報をすぐに呼び出し目的地としてルート検索できるし・・・こういう使い方は、レンタカー利用の場合に価値が最大化しますよね。レンタカーにもナビ付いていますが、操作に不慣れだったり、そもそも自分のデータが入っていないですからね。
それどころか、ネットで調べた情報を直ちにカーナビ・・・じゃなかったGoogleMapに転送してルート案内を開始できるし!(←こういう機能を持った「車載の」カーナビもあろうかと思うけれど、実際使い勝手悪いでしょうね)
ルート案内モードであれば、常に(※15秒に一度程度の自車位置計測と表示)自車位置を表示してくれるし(※ただし、拡大縮小スクロールなどを一度でも行うと、GPSの継続受信をしなくなるので、そのたびにGPSマークをタッチしてやる必要があります)、
・・・・・・・・

あれっ?
「車載の」カーナビの優位性ってなぁ~に???

iPad上のGoogleMapの問題点を「車載の」カーナビと比べ、細かいこと言えば・・・

1、GPSだけが頼りの自車位置だから精度は落ちるし、上記のとおり「常に」自車位置が表示されるわけではなく、およそ15秒程度のタイムラグあり。
2、コンパスによる地図の回転も機能としては出来るが、コンパスモードにすると、車の中だからなのか磁石干渉とか何とかで地図がグルングルン回ってしまって使い物にならないので、ノースアップ表示が基本。コンパス補正(iPadを八の字にぐるぐる回す)後も、コンパスの高い感度をそのままGoogleMapが表現するので、ちょっとしたクルマのヨー変化にも地図の表示が反応して目が回ってしまいます)
3、(ルート上ではない)本当に細かい道路に車を乗り入れると、正確な位置を計測・表示できない。
4、トンネル内などGPSの電波が届かないところでは、正確な位置を表示できない。
(↑ ってか、トンネルの中に交差点とか飲食店とか、フツーは無いのですけれど(笑))
5、その他「カー」ナビに特化したいくつかの機能・・・昼/夜モード表示、オートリルート、音声ルート案内、自車の方向表示、走行履歴表示、渋滞情報レイヤ表示、交差点策代表時などなどななど・・・が満たされていない。

となるわけですが、それって、本当に、ひ、つ、よ、う、、ですか?

その「細かい使い勝手」を手に入れるために、新たに十数万円(+取付費用・・・これが結構高い)を支払う価値って、本当にありますかね?

しかも、iPadを「カーナビとして」買う人はごく少数派でしょうから、iPadをカーナビのために「も」使う場合、新たな投資はゼロですし。

さらに、上記の「細かい問題点」のいくつかについては、ソフトウェアの改良・・・つまりGoogleMapのカーナビ機能の充実・・・によって可能です。
もちろんGoogleがやるかどうか知りませんけれど。
Googleがやらなかったとしても、Googleの地図データを利用したアプリケーションを誰かが作れば済むことですよね。
渋滞情報をはじめとする道路交通情報や店舗などの情報は、ネット接続さえ出来ていれば、ほぼ無限に手に入れることが出来るわけですから。

こりゃカーナビメーカーの死活問題になりますね。

たとえば、「iPad Dock搭載!」なんてクルマが出てきたら・・・

DockからiPadの充電できたり、Dockから車速情報をiPadに送れたりすれば、ほぼ完璧なカーナビになりえますよね。

どうですか?
iPadがバッチリハマるセンターコンソールのある車って、欲しくないですか?

僕は欲しいな。
すごく欲しい。

もちろん、既存の車載カーナビに慣れた人にとって、「現在の」GoogleMapの機能と、GPSだけを頼りにした自車位置計測では、「使い物にならない!」といえます。

でも、「先行き」を考えた場合・・・

これは、既存の出版社が、足元の収益急減を覚悟してでも、電子書籍に乗り換えるかどうかが問われていることと同じように、既存のカーナビメーカーが、iPad対応の「カーナビソフト+iPad 車載ドック+車速やVICSのセンサー」を有料リリースすることが問われる可能性が無いとはいえない・・・僕はそう思います。


iPadが届いて1週間、やっと、それが「革命を起こす」ということの意味を実感しているところです。

今回取り上げたカーナビ市場に限らず、過去に取り上げた電子書籍、ゲーム、事務機器としてのパーソナルコンピュータ、音楽や映画などエンターテイメント、電話やメール・・・

あらゆる業界が「変化」を迫られることになるでしょう。



対する日本製は「機能」を売ることだけ考えて作られていると思います。
機能を詰め込み、カタログスペック上の機能を増やすことを目的にして作られたモノがほとんどです。
だから道具としてつまらないモノばかり。
そして、容易に価格比較されてしまうモノばかり。
だから価格競争(=同じ価格での機能の詰め込み競争)「しか」勝つ方法がない。
デフレの原因でもあるし、過労の割には儲からない企業ばっかりの原因でもあります。

一方アップルの場合、実は機能も盛りだくさんなのに、それを前面に出してはいません。
彼らにとって重要なことは、「使う者の気持ちよい体験」なのであって、「機能」じゃないんですよね。

機能は手段・・・それ忘れてる日本企業にがっかりです。

顧客が何を求めているのか?

それ、日本企業には、今一度考えてみていただきたいと思います。
(技術的にはできるんだからさ)


2010年7月6日 板倉雄一郎


PS:
「機能の詰め込み」に過ぎない多くの日本製にがっかりの毎日です・・・

まずは、「Wi-Fiアクセスポイントのため」に調達したDocomo F-06Bですが、これ、めちゃめちゃダメダメマシンです。
(富士通の方には申し訳ないですが、事実ですから)

iシリーズ同様のタッチパネルを採用していますが、CPUパワーに対して機能を詰め込みすぎたのか、あらゆる操作に対する反応が「遅い」のです。
反応が遅いから、何度もタッチする。
タッチしても反応しないから、タッチではなく、叩くことになる(笑)
すると、画面はいつの間にか、選んでもいない機能の画面になる。
のちろんタッチではなく、キーボードで操作しても遅いのには変わりありません。

それだけじゃありません。
この機種の「売り」の一つであるフルHD動画撮影には、致命的なバグがあります。
一度でも撮影を実行すると、2回目の撮影時に「メモリの空きがありません」とのエラー。
調べると録画先のSDに空きメモリはたくさんある。
電源を入れなおすと、その後の一回目は、ちゃんと撮影できる。
ドコモショップに行ってクレームすると、その場でちゃんとエラーを再現できる。
すると、ドコモの人が、「他の方からも同様の問題が報告されています」だってさ(笑)
「お預かりして云々・・・」という対応を提案されたが、その間、僕はどーすりゃいいのよ!
ってことで、仕方なく「アクセスポイント機能としてだけ」使っているというわけです。
預けたところで、どうせアップデートが出来ない限り直らないだろうし、アップデートがでれば、アップデートするまでのことですから、わざわざ預ける意味無いですしね。

で、「メモリの空きがありません」とエラーを返してきた状態で、動画撮影せずにフツーに待機させているとどうなるか・・・それは、ものすごい勢いでバッテリーが消費されていくんですよ。
ただ待ち受けさせているだけなのにです。
で、バッテリーが無くなって、このケータイが表示するのは、
「バッテリー残量がなくなっています。撮影を中止してください。」だって。
撮影していると思っているのは、ケータイそれ自身だけなんだけどね(笑)

このケータイ、アクセスポイントを目的に買ったのでなければ、僕はぶち切れてると思う。
こんなに簡単に見つけられるバグがある状態で、商品として売ってしまう企業姿勢ってどうかしてますよね。
それも、富士通とドコモの二社を通過しているんですよ。
バグはある程度仕方ないと思います。
けれど、おそらくそのバグを認識しているはずの富士通やドコモが、顧客から文句を言わるまで、なんらアナウンスをしない姿勢には、あきれます。

iPhoneの電波状況を監視して制御するソフトウェアにバグがあったというニュースがあります。
でも、F-06Bのバグなど、ニュースにならないどころか、ドコモでバグが確認されているのに、ドコモのサイトにも、富士通のサイトにも不具合に関する掲載がありません。

この違い・・・iPhoneに対する世界からの期待が大きいということの証明ですよね。

日本の技術者は、「バグがあっても大した問題にならない商品」なんてのを作ることによって人生の時間を消費することに満足なんでしょうか・・・

と書いて、思い出しました・・・

このところサムスンとか、中国のメーカーとかの技術レベル、非常に高くなっていますよね。
その原因、実は日本人の優秀な技術者がどんどん彼らに引き抜かれているからなんですよね。

巷では、「中国元が高くなると、日本企業が買収される!」なんて間抜けな話もありますが、そもそも技術が企業という箱に入っていると思っていることに間違いがあります。
技術を運び、発展させ、継承させる唯一の媒体は、「人」なんです。
企業買収なんてしなくても、中核の技術者を買収してしまえばそれでOK!なんですよ。
そのほうが、「遥かに安い」ですからね。

その点、あまり問題にならないですね。不思議です。

金持ちも居なくなる。
優秀な技術者も居なくなる。
若い人間の数は減る。

それが今の日本です。
残念です。


PS^2:

iPad使い始めて気がついたことがあります・・・

この板倉雄一郎事務所のサイト、Apple製にほとんど対応できていない!(笑)

早速対応を考えます。です。はい。




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