幸か不幸か日本という国は・・・
1、日本語が日本でしか通用せず、
2、中途半端な人口と市場の大きさ、
のおかげで、事業を考えるとき、「国内事業にするか、他国への展開も考慮するか」といった具合に市場を「国単位」で考える傾向が強いと思います。
国内だけでもGDP世界第三位(になってしまったわけだけど)の規模があるが故に、国内向け限定の事業であっても「大」のつく企業の利害関係者が「少なくともこれまでは」十分な収益を得ることができました。
そのせいで、たとえば移動通信の分野なら、ガラケーが生まれる一方で、グローバル市場においては他国企業の優位性の前に勝てない状況を作ってしまっています。
そんな日本の「事業の考え方」の対極にあるのが・・・
一つは米国や中国のような、「たとえガラパゴスになったとしても自国市場がでかい国」であり、
一つは台湾や韓国のような、「そもそも自国市場だけでは商売にならないから、はなからグローバル市場しか考えていない国」、に分けられるでしょう。
前者の場合は、「自国≒世界のすべて」と考える節がありますが、結局、他の小さな市場の国が追従しますから、「自国=世界のすべて」と思い込んでいたとしても、誤りではないと思いますし、
後者の場合は、「世界のすべて=自社の市場」と考えているであろうことに疑いの余地はありません。
少子高齢化&人口減少、政治不在による先行き不透明の日本において、民間日本企業(←顧客以外の利害関係者の大部分が日本で暮らす人で構成される)がとるべき戦略は、いうまでもなく、上記の後者のような戦略であるべきだと思います。
ここで、「グローバル戦略」といったとき、日本人ビジネスマンの多くは・・・
「よし!じゃあ今の(国内向け)事業をグローバルに展開してみよう!」と考えたり、
起業家であれば、
「事業が当初の計画通りに運んだら、海外進出を視野に入れよう!」と考えたり、
ITやネット分野の起業家であれば、
「米国のあの企業のビジネスモデルを日本で展開しよう!」と、「水位差ビジネス」考えたり、
でも、それらの考え方は・・・やっぱり国単位で考えてるジャン!
という場合が多いのではないでしょうか。
こういう考え方は、「インターナショナル」ではあるが、決して「グローバル」ではないのだと思います。
グローバルの意味するところは、「海外進出」でもなければ、海外の先行ビジネスモデルの「日本国内向けローカライズによる水位差ビジネス」でもなく、
最初から国や地域といった概念から離れた戦略、なのだと思うわけです。
特にネットの分野であったり、ネットによる販売を前提にしたビジネスモデルであれば、グローバル展開に際する追加コストは極めて小さいわけですから、なにもわざわざ国内向けかグローバル展開かを考える必要すらないとさえ思います。
現在では、ネットは世界各国に張り巡らされ、その上、物流においてもグローバルに利用可能ですから、事業開始当初からグローバル市場を前提にする環境は十分に整っているわけですし。
どうでしょう・・・
この国の新興ネット企業の事業展開はグローバルでしょうか。
決してそんなことはないですよね。(もちろん例外もありますけれど)
本当の意味での「グローバル戦略」を持ち、それが実現可能であると思える事業に、投資家としても、評論家としても、出会いたいと思います。
2010年9月3日 板倉雄一郎