板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「必要条件と十分条件」

日銀が、国際決済業務を行う大手金融機関の発行する劣後債を買い取ることによって、金融機関の資本増強を行うことを発表しました。
目的は、金融機関の自己資本比率を高めることにより、「銀行側の」バランスシートを改善し、一般企業や個人への融資「枠」を拡大しようとするものです。
(金融機関の自己資本比率を上げる方法は、その分母である貸出残高を減らすか、分子である自己資本を増やすかのどちらかですが、前者ではまずいので、後者を後押しする形です。)
これによって、市中銀行の段階での「資金の目詰まり」を解消し、一般企業や個人に対して融資をし易くしようというわけです。

さて、どれほど効果があるのでしょうか?

金融機関で資金の目詰まりを起こしている原因が・・・

「貸したい企業や個人が居るのに、金融機関自身の自己資本比率が問題で、貸すことができない」

ということが「目詰まり」の大きな原因であるならば、今回の政策によって目詰まりはかなり改善されるでしょう。
(もちろん、総額が小さ過ぎるという問題はありますが)

しかし・・・

「金融機関の自己資本比率が十分に高かったとしても(←貸し出せる資金枠はあったとしても)、焦げ付いてしまう可能性の高い企業や個人には貸せないよ」

ということが「目詰まり」の大きな原因であるならば、今回の政策は、目詰まりを解消するための「必要条件」にはなっても、「十分条件」にはなりえないわけです。

さて実態はどうなんでしょうか?
金融機関の株価が上昇していますが、その上昇幅程度の「金融機関の株主価値の増大」となりうるのでしょうか?
金融機関の株価は上昇していますが、僕としてはしばらく経ってみないとわからない、と思います。

 

日銀が金融機関のバランスシート対策をしている一方で、(米)FRBは、もっとストレートな方法を取っています。

「金融機関から小口のローン債券を裏づけとした証券化商品を担保にとり、最長3年の資金を貸す。自動車、クレジットカード、学生向け、中小企業向けの四種類のローンが対象。」
(2009年3月18日日本経済新聞朝刊より)

つまり、「市中銀行を経由するが」、FRBが一般企業や個人への「貸出リスクを取る」ということですから、実質、「FRBが直接、企業や個人に融資する」ということになります。
取り次ぐ(←ってことになってしまうわけですが)市中銀行としては、「FRBが債権を買ってくれるんだから、ドンドン融資しちゃおうぜ!」というバイアスになり、日銀の政策より遥かにストレートです。

どちらの方法にも、それが行過ぎれば、後遺症を残してしまうという問題はあります。
けれど、FRBの政策のほうが、明らかに「即効性」はあります。

 

さて、どちらの方法にしても、仮に企業や個人に対して資金が行き渡ったとしましょう。

で、企業は、設備投資を増やすのでしょうか?
(んなわけないです。日本の需給ギャップは依然、GDPの10%ほどありますし、今のところ回復の兆しは見えていません。)

で、個人は、消費を拡大するのでしょうか?
(んな分けないです。デフレーション傾向は、ファイナンスが付くか付かないか以前に、「買い控え」バイアスになります。)

数々の指標は、「景気底打ち」のような数値を示していますが、ポジティブに捉えたとしても、あくまで「底打ち」なのであって、「拡大」ではありません。
たとえば、(米)住宅着工件数が「大幅な増加」とありますが、以前、前年同月比では、めちゃくちゃ悪い数値です。

「最悪の事態は免れるように見える」、が、「元に戻るわけではない」、という認識を確認すべきときではないでしょうか。

株価の行方を予測する上では、「どこが底なのか?」、から、「底がいつまで続くのか?」にシフトしていることに着目しなければならないと思います。

 

何しろ「おおもと」は、企業の業績見通しであり、さらに「おおもと」は、個人の消費意欲にあるわけですから。
(もちろん、それらすべてが相互影響しているわけですけれど)

特に投資活動においては、十分な注意が必要だということです。
手放しで喜べる状態ではありません。

これらの金融システムに対する対策が、実体経済に悪影響を与える「前」だったら、結構な効果になりえたと思うのですが。

2009年3月18日 板倉雄一郎

PS:
春ですねぇ
お出かけしたくなりますねぇ
相手が居ればね(笑)

ホント、最近、モテなくなったなぁ~と思います。

というか、彼女達にとって、僕は「お金」に見えるようで(笑)、なにやら「条件」を出される傾向が・・・

やっぱりモテなくなったんでしょうね。トホホ

PS^2:
本文とは、全く関係ないのですが・・・
テレビ通販番組や、食番組などで、「鮑(あわび)」を紹介するとき・・・

「このコリコリ感がたまらない!」

などと、「懐かしい顔の芸能人(笑)」がのたまっていますが、本当に品質の高い鮑を、絞めた直後に食べれば、それが生であっても、「柔らかく美味しい」のを知らないのかなぁ・・・って思います。

一体、普段、どんなモノを食べているんでしょうかねぇ

絞めてから数時間経過した鮑の「硬くてコリコリ」な感じが美味しいと思いますか?
僕は、ぜんぜん美味しいと思いませんけれど。

PS^3:
ランクルを売ってから、次の「足」を決める間、代車としてNISSANのある車に乗っています。
NISSANの車って、工業製品としては、非常に良くできた車だなぁと、感じています。
ボディー剛性は高いし、エンジンのバランスは極めて高いし、壊れないし。
でも、NISSANって、「売り方」、「見せ方」が下手なんですよね。
NISSAN GT-Rなんて、3000万円ぐらいの価値があると思うんですけどね。
(ちなみに僕は、GT-Rを15分ほど試乗しただけで、「40代の僕には不相応」と思うぐらい、スパルタンで、速い車ですね。)

PS^4:
オッサン化現象なのでしょうけれど、CanCamモデルの「峰エリカ」ってルックス的には理想です。
彼女みたいな、「白人とのハーフっぽい女性」、大好きなんですよねぇ
欲張り過ぎ、高望みし過ぎ、ですねぇ(笑)

自分の顔を鏡で見てみろ!って自分に言ってます(笑)





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