板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「進め!日本再編」

新日本製鉄と住友金属工業の大型合併のニュース。
これをきっかけに、鉄鋼業界のみならず、電気、自動車、医療・・・あらゆる産業セクターの再編が進み「世界市場で闘う日本企業群」が生まれるとすれば・・・

「やっぱ日本ってすごいじゃん!」

となる。はず。です。

【なぜ日本は「ガラパゴス」になってしまったのか】

僕が思うその原因は日本市場が「中途半端な大きさ」だったからです。

台湾のPCメーカーが世界を席巻したことをご存知の方も多いと思います。
彼らの場合、自国(国といって良いのかと言った議論は置いといて)の市場規模があまりにも小さいがために、企業は始めからグローバル市場での活動を行いました。
その結果、少なくとも台湾のPCメーカーは世界で活躍できるほどに成長したわけです。

また、韓国の場合、現在、電気、自動車、鉄鋼などが世界市場で強さを発揮していることもご存知かと思います。
韓国の場合は、台湾の様なプル要因(←世界市場に惹かれるという要因)ではなく、国内の経済危機を原因としたプッシュ要因(←背中押されて仕方なくという要因)によって実現した産業再編でしたが、政治が動き、各産業セクターの統廃合をドンガラガッシャン!と半ば強引に行い、世界市場で闘える企業を各産業セクターに築き上げたというわけです。

韓国は、少なくとも台湾よりは国内市場が大きかったので、各業界再編が行われる前は、現在の日本のように「内輪の競争」に終始していました。
それが彼らの経済危機の「一つの」原因だったとも言えるでしょう。

アメリカの場合は言うまでもなく、自国がビッグマーケットですから「アメリカが世界だ」と思い込んでいるアメリカ人が多いにも関わらず(笑)自国だけを意識した企業活動でも十分な成長が可能だったわけです。
「アメリカで一番は世界でも一番」が通用したわけです。

日本の場合はどうでしょうか。
少なくともこれまでは、世界第2位の経済規模という中途半端な大きさがために、その成長過程において「内輪の競争」は、むしろ企業を強くするために好都合でした。
その結果、世界に誇れる工業製品ときめ細かいサービスを実現することができたわけです。
そして現在も「日本を単独で観れば」大きな変化が起きているわけではありません。

【それなのになぜ日本は元気がなくなったのか】

少子高齢化とはいえ、突然人口が半分になったわけでもないし、中国に抜かれたとはいえ、GDPが半分になったわけでもありません。
それなのに、なぜ、日本の競争力に疑問符がつくようになったのでしょうか。

それは、

新興国の経済発展によって、世界が大きくなり、相対的に日本が小さくなったから。

だと思います。

つまり、現在から将来の日本は、過去の台湾や韓国のような「世界の中の相対的な位置」に居ると認識すべきなのです。
ここに全ての日本人が「危機意識」を持つべきときなのだと思うのです。

韓国のような経済危機を待ってからでないと再編ができないのでしょうか。
そんなプッシュ要因による再編を迫られる前に、世界市場を席巻する日本企業群というストーリーによるプル要因によって各業界の再編が進むチャンスではないかと、鉄鋼合併とそれに対する資本市場の反応を見ながら思う次第です。

「内輪の競争」をやめ「足し算」すれば、世界市場に十分通用する産業セクターが「今のところは」日本にもあります。

2011年2月4日 板倉雄一郎

PS:
かなり走って書いてしまいました。細かい部分お許しください。

PS^2:
今日の「朝まで生テレビ!」は出演者が面白い!
だから「生」で観たいのですが、明日は午前7時集合で「実践・起業塾」なので録画です。
明日からの2日間の起業塾、楽しみです^^
遠足前の子供の気分なので、寝れなくて、結局テレビ観ちゃったりして(笑)




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