板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「週末の徒然」

注目すべきニュースがいくつかあるので、焦点を絞らず徒然です・・・

<米ビッグスリー救済策>

「会社自体はもうダメなのだが、利害関係者の生活が消費を支え、景気の下支えをするから、仕方なく政府による何らかの救済を行う」

という話になるのだろうと思います。

この場合の利害関係者とは、主に、ビッグスリーの直接的な従業員、そして、ビッグスリーの取引先の従業員などで、それはそれは結構な人数になるわけですから、確かに「一時的にでも」雇用を守ろうとする雰囲気には納得できます。

しかし、いずれ部門売却を実行しなければならなくなるでしょう。

「そのとき、誰が買うの?」

トヨタ、ホンダあたりしかないと思います。
ビッグスリーが自らエコカー、ミニカーを開発生産するより、トヨタ傘下として既に開発済みのエコカー技術と生産ラインを導入することの方が、世界全体としての効率は遥かに良くなるはずです。

トヨタやホンダには、既に何らかの打診があることでしょう。

いずれにしても、公的資金のバラマキは、ドルの希薄化・・・さらなるドル安に至ります。

(バラマキがどのような状況でも通貨価値下落になるとは限りません。バラマキや利下げによる景気上昇が現実的に期待できる場合、「バラマキによる通貨希薄化」と、「将来の景気上昇期待による通貨価値上昇圧力」がバランスすれば通貨価値は維持されます。しかし、たとえばGMが救われたとしても、GMの車が継続的に売れるといった状況ではありませんから、やはり希薄化圧力の方が大きく、ドルの希薄化となるでしょう。)

<欧州利下げ>

ユーロ0.75%、ポンド1.0%利下げ、だそうです。

言うまでも無く、彼らの通貨価値の下落圧力になります。

結果、あらゆる通貨に対してYENが強くなることが予測されます。

<日本こそバラマキを行うとき>

票田確保のためのバラマキ宣言を行う政党を支持するわけではありませんが、今、日本こそバラマキを行うべきだと思います。

「バラマキ」は、上記の通り通貨価値を希薄化させ、対外通貨に対して円安の「圧力」となります。

その分、国内の景気に対しては多少の上昇「圧力」となります。
円高の恩恵を受けた輸入とバラマキによって、内需をある程度拡大させれば、世界からモノを「買ってあげる」ことができますし、それを実行すれば将来の円安「圧力」になりますから、輸出企業にとっても悪くない話です。

「通貨が高いうちに輸入を行い、通貨が安くなったら輸出で儲ける」
言ってみれば当たり前の話です。

「財政がさらに悪化するじゃないか!」って?

そんなの関係ありません。
日本国債の残高以上に、国民の金融資産がありますし、何度も書いていることですが、日本国債は「円建て」であるし、「保有者(=債権者)」は我々日本で暮らす人々がその大半ですから、日本国全体で見れば、「誰にも借金していない」わけです。

その上、国民の金融資産の大部分は、『お金持ちの』爺さん婆さんという「お金を使わない人たち」ですから、彼らに代わって政府がお金を使ってしまった方が良いと思います。

いずれ「相続税」によって『お金持ちの』爺さん婆さんから、ある程度の回収が可能です。

暴論に聞こえるかもしれませんが、経済とは「どれほどお金が回るか」によって景気の上下があるわけで、ただひたすらお金を溜め込んでいるだけでは何の役にも立たないわけです。

変わった表現ですが、爺さん婆さんが溜め込んでいることが、景気の頭打ちの原因でもありますし、そうしているから財政が悪化するわけです。

以上から、今の日本こそバラマキを実施すべきだと思うわけです。

以上のようなことを行政を握る政治家が表現してしまうと、経済と現状をわかっていない連中が大騒ぎするから、「政治家自身はわかっているが表現できない」ということになるわけです。

「老人よ早く死ね!と言っているのかぁ!!!!」

なんて話になるわけですが、僕を含め、生物は必ず死ぬときがやってくるわけです。
その「現実」を表現することの何が問題なのでしょうか?
人間の生死も、経済停滞も、「現実」のことですから。

<もっと、ぶっちゃけモードで行きましょうよ>

世の中もっと「ぶっちゃけモード」でガンガンやらないとだめなときなのです。

すべての人を満足させる政策なんてこの世に絶対に無いのです。

自分と社会全体の両方がバランスよくハッピーになることを、一人ひとりが考えなければならないときだと思います。

ジョン・ナッシュの言葉を思い出します・・・

「Adam Smith said the best outcome for the group comes from everyone trying to do what's best for himself. Incorrect. The best outcome results from everyone trying to do what's best for himself and the group.」 by John Nash

(↑ 意味がわからない方は、ノーベル経済学賞受賞者ジョン・ナッシュの生涯を描いた映画「ビューティフル・マインド」をご覧ください。)

2008年12月5日 板倉雄一郎

PS:
経済が停滞することがすべてにおいて悪いことだとは思いません。
たとえば温暖化ガス排出量は、経済停滞によって明らかに減少するでしょうし、そうなれば、超長期的には、人類にとって悪いことではありません。
けれど、あまりに経済が悪くなると、治安が悪化し、暴動が起こり、果ては戦争になったりする可能性が高くなります。
それだけはごめんです。





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