板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「見えない機会損失」

金融ショックの前でも後でも、将来のこととなると不確実なことばかりですよね。
しっかり予定を立てても、予定通りに事が運ばないことが多いですし、
どれほど綿密な計画を立てても、寸分狂わず計画通りになることなどほとんど無いですよね。
相手の都合に振り回されることもあれば、自分が予測したほどの結果を出せないこともあります。
投資活動であれば、毎回目論みどおりの利回りを得ることは極めて難しいですよね。
仕事や投資活動の経験を積めば積むほど、「不確実性」を認識し、恐れ、そして受け入れるしかないことを痛感することになります。
その結果、様々な意思決定において、「悩み」が付きまとうことになります。

 

時価が明確な上場株投資の場合、「乗れなかったことによる機会損失」も、「乗らなかったことによる損失回避」も、後に明確になります。

「あの時買っておけば結構儲かったのに!」とか、
「あの時手を出さなくてよかったぁ~!」とか、
時間が経てば明確になるわけです。

(ただし、投資額が投資対象の出来高に対して大きい場合、自らの売買が時価に影響を与えてしまうのでこの限りではありません。)

でも、「自分という事業」は、やってみなければわからない。
「あの時始めていれば今頃結構いい生活できていた!」かどうかはわからないですし、
「あの子に声をかけておけば今頃・・・」かどうかもわかりません(笑)
自分という事業の「機会損失」は、いつまで経っても見えないわけです。

だから、為替や株式投資では、リスク取りすぎて実損失を蒙る人が多いですし、
だから、人生では、リスクを取らないことによる機会損失に気づかず、だらぁ~~~って過ごす人も居るわけです。


そんな世の中、心の平穏と安定した生活、そして時には心躍るエキサイティングな体験をしながら、生きていく・・・つまりはハッピーに生きていくにはどうすれば良いか・・・

僕の一つの答えは、

「やってしまったこと、起こってしまった事を、将来のために『生かす』」

という姿勢を常に維持することだと思います。

 

東京大学工学部に在籍する学生から、こんな相談を受けたことがあります・・・

「起業して仕事が忙しくなってきた。卒業まで在学するか、それとも今中退するか悩んでいる」

この学生に対する僕のアドバイスは、こうでした・・・

「今やりたいことをやればいいのでは。せっかく入学した東大だけど、『東大中退』だって、利用の仕方次第ではブランドにできるよ。」

彼はその後、一時的な休学を経て東大を中退し事業に専念することになりました。
今では、立派な一企業家として、このご時勢でも事業を成長させつづけています。
そして、結構優雅な暮らしも手に入れています。

彼の場合は、「たまたま」なのかもしれませんし、多くのチャレンジャーは(僕のように)失敗するのかもしれません。しつこいようですが、将来のことですから、結果は常に不確実です。
しかし、彼の場合は、リスクを取ることを決断した結果、今の生活を手に入れたことは確かなことです。

 

また、読者の皆さんもご存知の通り、僕の場合は、リスクを取りすぎて大失敗(←詳しくは『社長失格』にて)しましたが、その失敗を将来に生かすことにボチボチ成功し、今があります。

 

何かを始めるとき、誰でも悩みます。
考えれば考えるほど、悩みは増幅していきます。
でも最後は、「やってしまってもし失敗したら、その失敗を将来に生かせばいい」、と思えれば、今、本当にやりたいことを選択することができるのだと思います。

「やってしまったことより、やれなかったことの方が、人を後悔させる」わけですから。

 

2009年10月14日 板倉雄一郎

 

PS:
世の中変化がありすぎて、政治や経済、相場、企業業績などなど、あまりにもたくさん書きたいことがあると、結局どれも書けず、本文のようなエッセイになってしまうわけですが、たまにはお許しくださいませ。

 

PS^2:
久しぶりの「実践・企業価値評価シリーズセミナー」の募集中です。
ご興味のある方は、この機会に是非。
次回の開催は全く未定です。

 

PS^3:
今朝、朝マック買いに行って、ケータイのiDで決済したら「グラコロ」当たった(笑)





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