板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURA’s EYE 「婚活女性は男性の株主たれ!」

量子力学を持ち出すまでもなく、あらゆる観察対象のありのままを観察することはできません。
物体を視覚で捉えるには光を与えなくてはならないですし、その光は観察対象の物体に何らかの影響を与えてしまいます。
触覚で捉えるには観察対象に触れることによる観察対象の変化を排除することはできません。
このことは、婚活女性が対象となる男性を観察するときも同じ「はず」です。

対象男性の今日現在の容姿や収入が婚活女性の条件を満たしていたとしても、結婚することによって、その男性の容姿や収入が「奥様になった女性の影響」によって変化すると考えることの方が現実的というわけです。

つまり、婚活女性と対象男性が深い関わりを持つことによって、対象男性の価値に「変化」が生じることを無視した婚活には意味が無いというわけです。

このことは、どのような株主によって構成される企業であるかによって、企業価値に変化が生じることと同じです。

やたらと「期待収益率」の高い株主が集まれば、株価は下落します。
これを婚活に置き換えれば、婚活女性の影響によって対象男性の市場価値が下落することに似ています。

まだまだ成長余地があるにも関わらず、やたらと「配当よこせ!」という株主が集まれば、株主は、企業活動による複利の恩恵を受けることができなくなります。
配当とは、株主自らが持つ経済価値を現金のカタチで引き出すことに他なりません。
これは、対象男性に対し将来、経済的なおねだりを目論む婚活女性に似ていると思います。
おねだりのおかげで、ブランド物は手に入りますが、おかげで対象男性の成長機会を奪うことになり、婚活女性自身の将来の収益も減少してしまいます。

短期のボラティリティーによるサヤ取りを目論む投機家ばかりが集まれば、経営に対するガバナンスが働きません。
これは対象男性を「メッシー」「アッシー」「みつぐ君」(ごめん、めちゃくちゃ古い)と捉える発想に似ています。

以上とは逆に、優秀な経営者を迎え、一定の期間の企業内投資による価値「創造」(つまり複利)に着目し、当該企業を「育てようとする姿勢」の株主に恵まれれば、時間経過とともに企業価値が増大する可能性は高まります。

何が言いたいのかもうお分かりだろうと思います。

巷にあふれる「男性を今日現在の主に経済的なスペックで評価しようとする婚活女性」の行いは、株式投資に置き換えれば、つまるところ「高値づかみ」に他ならないというわけです。
結婚はできたとしても、その女性の影響のおかげで、結婚後の彼の収入が下落する可能性も否定できません。

最も賢い婚活女性とは、婚活女性の影響が及んでいない今日現在の彼の価値より、婚活女性が対象男性と生活を共にし、子孫を作ることによって、対象男性の価値が増加するか否かを見抜くことができる女性ではないでしょうか。

そのためには、相手の男性に対する観察眼も大切ですが、同時に自分自身を冷静に評価する眼も必要ですから、簡単なことではないと思いますけれど。

歴史に観る著名人、有力者、大富豪・・・これらの「彼」には、ほぼ間違いなく「内助の功」を見つけることができます。
内助の功というと「耐える女性」をイメージしてしまいがちですが、本当は、むしろ「有能な女性株主によって支えられ育てられた彼」の場合が多いのだと僕は感じます。

たかだか工業製品のクルマだって、乗り手次第で時間経過による価値には大きな違いが生じます。ましてや人間の男性なのですから、共に暮らす女性の影響が無い分けないのです。

「玉の輿に乗る方法」とか、
「セレブとの付き合い方」とかが伝えることは、すなわち「高値づかみ」に過ぎないのだと僕は思います。

人間は、他の人間からの影響を受け、その価値が変化します。
婚活女性は、婚活女性自身のために、投機家ではなく投資家であるべきですし、自分の関与によって相手の男性の価値が時間経過とともに増大するであろう男性を見つけてTOBによって大株主になるのが賢い方法だと思います。

2011年3月9日 板倉雄一郎




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