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「懲りないくん」2001年2月11日号

懲りないくんのはじまりはじまり!
でも、ホンとは僕の日記なんかで面白いのか?
という疑問と不安があるけれど。
とりあえず書いてみようと言うことで、スタートです!
ちょっと田中康夫の「ペログリ日記」みたいな感じするけど。
Hな話はそれほど期待しないでね。

2月2日(金曜日)
ちょっと旬が過ぎたけど、まだまだ話題の光通信。
僕の友人、重田康光社長と共に同社の代表を努める事になったマッキン
ゼーというコンサルティング会社出身の余語邦彦氏と青山のNOBU 
Tokyoでお食事。
僕がハイパーネット時代にお会いしてから早5年ぶりの会話。
ビジネスミーティングと違います。
時間の経つのは早いものです。

余語さんとの食事もそこそこに、その後の「日本を変えよう!」的な集
まりで例によって「何かしゃべれ」という依頼に答えるべく、一路自宅
兼事務所のある原宿へ。
21:00集まったのは、経済産業省のいわゆる官僚の方々や学識経験
者。
僕は役人じゃないので、言いたい放題自由自在。

例のIT革命について、30Mbpsというとんでもない早さの光ファ
イバーを日本中に引っ張り回す計画に反対ぁ~い。とかね。
だって、「安価、高速、効率的」とうたっている内容に疑問!
「安価」になるマジックは税金にあり。
つまり税金使って、噂によると1kmあたりの工事(光ファイバーを埋
設する工事)費用がなんと1億円!
で、税金使うから消費者がこのラインを実際に使う「直接費用」は「安
価」と言う話。
えっ? だって一方で税金使うからトータルで全然安くならないじゃな
い。
あたりまえだけど、1000万家庭に光ファイバー引っ張ればそれだけ
金が必要。その金を紙幣を印刷して作ったら、強烈なインフレになる。
そんなことできるはずないから、税金を使う。
税金を使うからには赤字国債を発行する事になる。
ちなみに、今の国家財政は、会社にたとえると、
売上高50兆円弱。
年間経費(つまり国家予算)70兆円前後
借金700兆円。
実は、僕の経営していたハイパーネットより悪い。
こんな状況で光ファイバー引っ張るの?
それって、国民生活が良くなるのではなくて、工事業者が儲かるだけ。
つまり、道路や橋作るのと変わらないと言う事。
他にも問題あるんです。
30Mbpsでいったい何を流すのか?
たかがブロードキャストに毛の生えたインタラクティブであるBSデジ
タルごときでコンテンツがなくて大騒ぎ。
完全インタラクティブで完全独立通信のインターネットで30Mbps。
くどいようだけど、いったい何を流すの?
そもそも、国民のどれほどの人が、税金を大量に使ってまで30Mbp
s欲しいといったのだろう?
こういうものは、使いたい人が、お金払って使うべきなのね、本来は。
それに、世界最大のネット先進国ってアメリカでしょ。
アメリカの一般家庭の大多数は未だにアナログ56Kbps。
それなのにネット大国になった理由はただひとつ!
通信料が安いのです。
早いのではなくて安いのです。
つまり国家戦略の中で「道具」なり「手段」ばかりが目に付くというこ
と。
どんな国民生活、どんな経済社会かというビジョンがまったくないと言
うこと。
しつこいようだけど、「全家庭に光ファイバー」というのは、IT先進
国の目的ではなく、手段のひとつにしか過ぎないということ。
手段の選択は目的が具体的にはっきりしていないとできません。
会社でも国家でも同じでしょ。
<参考資料>
IT基本戦略
http://www1.kantei.go.jp/jp/it/goudoukaigi/dai6/6siryou2.html

2月3日(土曜日)
朝7:52、のぞみ5号で、一路下関へ。
その目的はビジネスミーティングを兼ね(と言う事になっている)河豚
ツアー。
言い出しっぺで僕の友人のK氏は、29歳の若さで年商2000億円、
重厚長大産業会社の3代目社長。つまり御曹司ね。今は32歳だけど。
このツアーに誘われたのは、これまた僕の友人の熊谷正寿インターキュ
ー社長。同社はプロバイダーで有名。おまけに僕の経営していたハイパ
ーネットの虎の子特許を買収して現在世界展開中。
インターネット広告取引量が電通に次いで2位の日広社長加藤順彦氏。
そして、芸能プロダクション渡辺プロの渡辺真由美お嬢様という面々。
4時間30分+タクシー移動でやっと下関の名門「なかを」に到着。
なぜだか「白子」がたくさん出てくる不思議なお店。
揚げ物、煮物、それに刺身、全部白子。
トラフグ白子の刺身、これ実は初めて食べた。
どうも共食いの感があるけど、プリンのような食感。うまい。
身の刺身は、皿の模様が透けるほど薄い包丁捌き。
なのに、歯ごたえ十分、これぞトラフグ!
から揚げが振舞われるころには、おなかがいっぱい。
5人ともたらふく食って、最後の雑炊は、すでに入らずじまい。
でも僕は帰り際に、スプーンで2,3回いただきました。
雑炊の決め手は卵のとき方と、卵を入れてからの煮ぐあい次第。
この店は文句なしの出来具合でした。
もっと、食べたかった。
食べ物のもったいなさは、後で思い出したときに絶頂を迎える。
三々五々解散。
僕とK氏は、新幹線でK氏の会社のある広島県は福山へ。
福山市内で夜中まで飲む。
K氏の会社保有のリゾートホテルで就寝。

2月4日(日曜日)
K氏とビジネスランチ。
投資案件の検討が中心。
広島空港よりANA676東京へ。
羽田から品川に向かう京浜急行の中で、体調に異変。
「寒い!」風邪ひいた。
これはまずい、だって明日は経済産業省官房企画室という発音するのが
やっとの会合でスピーチ&ディスカッション。
自宅にて「ジキニン小児用シロップ」をがぶ飲みして、とにかく寝る。
でもさむい。
贅沢は体に悪いらしい。

2月5日(月曜日)
38度ある。
一瞬「キャンセル」という言葉が頭をよぎる。ホンの一瞬。
しかし今の僕は自分のバリュー以外に将来に対して何の保証もない身分。
講演に穴を開けるわけにはいけない。
というより、なんだか面白そうだから行く事に。
再び「小児用ジキニン」を一気飲みして新橋の会場へ。
この会は「失敗の研究」と言うことらしい。
それを三和総研という民間企業が引き受けている。
三和総研と言えば「ニュースステーション」でおなじみの森永卓郎さん。
経済ニュースのコメンテーターやってる方です。

実は、この会でお会いする前に、ちょっとしたエピソードがあった。
1月のニュースステーションのオンエアで、森永さんの発言に文句を言
いたくなった僕は、おもむろに愛用のVAIO NOTEを立ち上げ、ニ
ュースステーションのWEBに。
すると、あるじゃないか、「出演者へのメール」と言うやつが。
そして、森永さんのちょっと太目のお顔をクリック。
僕は書きたい放題書きまくった。
だって、僕はそのとき何千万人か居るはずの視聴者の一人。
「どうせ返事なんて返ってこないさっ」という無責任状態。
翌日いつものようにメールチェックをすると、森永さんの返事。
あらっ?
「ご意見のメールをいただいてありがとうございました(中略)板倉さ
んの「ベンチャーわれ倒産す」と「社長失格」を拝読させていただきま
した(再び中略)(5日の経済産業省官房企画室研究会の場で)お話を
伺えることを楽しみにしております。」
がぁ~ん。
昔、手紙は夜書くものではないと言われていた。
メールも夜書くものではないようだ。

会合そのものは、いつものように激烈トークでおしまい。
その後、いくつかディスカッション、話はいつしか失敗から政治へ。
森永さんはとても紳士だった。
会が終われば、また体調の悪さが顔を出す。
こんなときは、千葉県船橋市にある実家に直行。
現役看護婦の母上からお薬もらい寝る。

2月6日(火曜日)
幸い今日は何も予定がない。
だから寝る。
ひたすら寝る。
僕の愛する2匹の犬の散歩も母上に任せて、ひたすら寝る。

2月7日(水曜日)
大阪中小企業投資育成と言うところで講演のため、10:00のぞみ4
7号で大阪へ。
新幹線は良く使う。
だからマイレージサービスがあったらいいのにと思う。
だけど、JRに競合居ないからだめね。
辛い。で、またジキニン。
倒産からすでに100回はこなした講演。
いつもの調子で2時間切り抜ける。
楽しかった。
講演後、速攻で東京へ戻る。
自宅の原宿にちょっと寄って、再び実家の船橋へ。
ああなんと実家とは良いものか。

2月8日(木曜日)

体調回復。
久々に愛犬の雄太(ゴールデン雄5歳)と明(スタンダードダックスフ
ント雄4歳、ただいまお嫁さん募集中)を連れて散歩、5Km、約一時
間。
思えば、こいつらが僕を倒産から救ってくれた。
こいつらが居なかったら、きっとアルコール依存症になって居ただろう。
彼らが朝晩ピーピーワンワン(犬語では散歩連れてけぇ~!)と騒ぐの
で、5Kmの散歩を朝晩絶やさずやって肉体と精神の健康をキープでき
たのだ。
ああかわいい。おてっ! よしよし。

夕刻、原宿の事務所にて現在インキュベート中のベンチャー企業G社に
関するミーティング。
この会社に注目しているベンチャーキャピタル集めての意向を確認。
皆さんGOという姿勢。
これで僕の会社ベンチャーマトリックスが投資とコンサルティングを提
供するスタートアップベンチャーが4社に。
めでたいめでたい。
世の中不思議なもの。
「失格社長」なのに僕個人の顧問先が13社。
ベンチャーマトリックスの支援先が4社。
営業行為は一切していないから、僕もきっと先方の役に立っているのだ
ろう。
失敗したらすぐに立ち上がれ!っと言う人が居る。
僕はそうは思わない。
だって、すぐに立ち上がったら失敗の本質を見抜く時間がないから、き
っと同じ失敗を再度繰り返す。
だから僕はじっくり時間をかけ、自ら動かずに周囲からの依頼だけをこ
なしてきた。
その結果、世間が言うところの「再起」という過程を進んでいるわけで
す。
もちろん、まだまだよちよち歩きだけどさ。

病み上がりなので、デートもせずに自宅でDVD。
もうこれで30回以上は見ている「アポロ13」。
トム・ハンクス主演の映画はまず間違いなく見る。
「グリーンマイル」も最高だった。
だけどなぜか「アポロ13」は何度も見てしまう。
97年、僕の会社が倒産への直滑降をしている時この映画を何度も観た。
危機に直面して、多くの困難を乗りきりる姿に自分のその時を投影して
いたんだなぁ。
アポロ13のジムラベル船長他2名の宇宙飛行士は、宇宙船の事故のた
め月面着陸をキャンセルして地球へ帰還することに。
世界中の人々に見守られながら無事生還。
僕の会社は周囲に見放されて倒産。
大きな違いである。

2月9日(金曜日)
地方雑誌のインタビュー。
インキュベート先のNA社の事業計画ミーティング。
順調、順調。

再び愛犬に会うために船橋へ。
なんだか、今週は一度もデートしていない。
そういえば、このところ女の子からの誘いが少ない。
何かまずい噂でも?

2月10日(土曜日)
久々のプール。
出張でもない限り毎日来ているお台場はホテル日航東京の「スパ然」。
風邪のせいでしばらくぶり。
夏の間は毎日2000mぐらい泳いでいたけれど、今は怠慢500mぐ
らいしか泳がない。
でも、毎日ワインを1本以上飲む僕にとっては、この有酸素運動が欠か
せない日課なのです。
という言い方もあるけど、本当はこのクラブ、宿泊客と会員しか入れな
いので、いつもガラガラ。
おまけに、宿泊組みはほとんど女性だから、女性6人に男性僕一人なん
て事が良くある。
それが毎日来る僕のインセンティブなのだ。
ただし、お持ち帰りの実績は無し。寂しい。

午後、事務所に戻りリクルート「仕事の教室」のインタビュー。
「所有と言う幻想が、あなたたちを苦しめている!」ってな発言。
インタビュー受けているうちに、講演やっているうちに、マイブームの
「所有と言う幻想」の理論体系できて来ちゃった。
いずれ本でまとめたい。
と言うのも、この理論、男女間問題にも、仕事の悩みにも、家庭内の不
和にも効果的。だと勝手に思って居ます。
あっと、ついでに「ほぼ日、懲りないくん」の宣伝も書いてくれるよう
にお願いしちゃいました。

19時、楽しい楽しいお食事会!
世の中では、「合コン」とも呼ばれているらしい。
今日は自宅兼事務所の原宿で6×6。
男性は常連お食事会メンバー。
女性はいわゆるモデル、コンパニオン、女子大生。
この日は「さんまの恋のからさわぎ」でMVPを受賞したIY嬢も出席。
彼女TVで観るより面白いキャラ。
「女の子もHしたいけど、すぐにするとヤリマンとか思われるので、な
かなかできない」という女性陣一致の結論。
「それなら、誰にも言わないからさぁ」とか言うと、「男の人はいつもそ
ういうのよねぇ~」でお終い。
心の中では「それは君が相手(男)を見抜く力が無いからじゃない」と
か思っていたりするんだけど。
午前2時、僕は眠くなったので、一人寂しく同マンションの自宅へ。
電話番号2件入手。
お持ち帰りなし。
この原稿を書いて、就寝。

と言うことで、こんな感じで日記書きます。
毎週1回、一週間分をアップデートしますね。
絶対実話、なるべく実名。
今後ともよろしくお願いいたします。

板倉 雄一郎





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