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「懲りないくん」2001年6月10日号(19)

トピック多い週だよん。

6月3日(日曜日)

10時、起床~二人とも寝起きが良い。
梅雨に入る前に、最後の春(初夏?)を満喫すべく、
MG嬢と共にドライブデートに出発!

4号線~中央高速。
オジサンの僕は、この道を走るたびに、
松任谷由美(当時は荒井由美)の
「中央フリーウェイ」を思い出す。
「右に見える競馬場、左はビール工場」という
歌詞に現れるのは、そのまま
「東京競馬場」と「サントリーのビール工場」。
されど、春風を楽しんでいるMG嬢に、
説明するのは、止めよう。

「小仏トンネル」~「大月JCT」のあたりは、
東名高速道路の「大井松田」~「足柄SA」までの
「右側道路」に並んで、
4速、5速をフルに使う高速コーナーの名所。
トンネルを抜けた直後に控える、
オービスIIIに気をつけながら、そこそこ楽しむ。
それでも、321馬力をフルに楽しむ。

「一宮御坂」からの直線は、
「甲府盆地」を一望しながら風を楽しむ。

「須玉」を過ぎたあたりから、
路面が「アスファルト」から「コンクリート」に変わる。
コンクリート路面をステアリングから感じるのは、
不思議と車との一体感が増す。

「小淵沢IC」で高速を降り、一路「清里」へ。

12時、予約時間ぴったりに目的地に到着。
以前から試そうと思いながらも、
機会に恵まれなかった、森の中のフレンチレストラン
「イゾルデ」にやっと来る事ができた。
高原独特の樹木に囲まれた北欧調の建物のこの店は、
丈の長い芝生の中庭に、テーブルや椅子を備え、
食後の散策も楽しめる。

すっごく楽しみにしていたのに、
なんと、食前酒にシャンパーニュは無く、ビールのみ。
がぁ~ん。
いきなり出鼻をくじかれたが、
飲酒運転は違法というイイワケでビールを断り、
「仔羊の香草焼き」をメインにしたコースを注文。
お値段とのバランスを考えれば、お味はOK。
でも納得できない。トホホ。

14時、せっかくの高原、ワインディングを楽しまない手は無い。

ぶっ飛ばしCD「バンヘイレン」にチェンジ、
フットレストでふんばり、背中とお尻をシートに密着させる。
油温計、水温計にすばやく目を走らせ、車の状態をチェック。
3速で流していたギアを、2速へシフトダウン。

「泉ライン」は、2速、3速をフルに使う中低速コーナーが続く、
高原の樹木に囲まれたプライベートルート。
MG嬢の存在も忘れ走り入る。

最初のいくつかのコーナーでは、オンザレールで車を確認。
手のひらで路面を撫ぜているような感覚は、
ステアリングを通して伝わる前輪と路面のコンタクト。
次のコーナーの出口で、
6連スロットルにワイアードリンクされたガスペダルを、
必要以上に開ければ、ドライバーの直後に位置する
リアアクスルが、ゴムを削りながら路面を蹴る。
小さなタイヤの悲鳴は樹木に吸収され、
普段走っている
コンクリートだらけの首都高に居るのではない事を知る。

「スポーツドライビング」とは「速く走らせる」事ではなく、
路面と車とドライバーの
高度なコミュニケーションに他ならない。
結果として、速くなるが。

僕にとって、これほど雑念を取り払う機会は他に無い。
ホンの数分の出来事が、生きている幸せを噛みしめる。

車を所有する事より、
車をしゃぶり尽くす事のできる自分の能力に感謝。
車を所有するのは金があれば誰にでもできる。
そして、車は走れば走るほど、機械としての性能も、
経済価値も低下する。
しかし、車をしゃぶる能力は、走れば走るほど、
減らないばかりか増える、そして誰にも奪えない。

小淵沢ICから、再び中央高速。
ここまで空いていたのはラッキーだったのか、
大月JCTから先は20Km以上の渋滞。
渋滞を回避すべく、
大月JCTから河口湖線~富士五湖有料道路~御殿場。

御殿場行きつけのガススタンドでコーヒーをご馳走になる。
東名高速に入るが、また渋滞。
秦野中井で246に切り替えるが、これまた大渋滞。
厚木あたりで腹が減る。
数あるファミレスから、MG嬢のアドバイスで選んだのは、
食べ放題のサラダバーがメニューにある「シズラー」。
久しぶりのファミレスにて、サラダをタラフク頂く。
聞くところによると、シズラー米本社は、
サラダバーのせいか、ブッ潰れたという。
確かに、サラダばかりではなく、ご飯とカレーから
デザートまでラインアップされるサラダバーは、
他のメニューを頂く機会を無くすだろうよ。

食事中、メールチェック。l
すると、先日インタビューを受けた
AP通信の記事を伝えるメールが友人知人から多数。
タイトルは「Failed Dot-Com President Scores Big」だとさ。
http://dailynews.yahoo.com/h/ap/20010601/tc/japan_loser_president_1.html

食後、ベルトを緩め、ひたすら246。
MG嬢を自宅に送り、原宿で今日を噛みしめながら就寝。

6月4日(月曜日)

終日ビジネスミーティング。

6月5日(火曜日)

15時、「スパ然」。

19時、久しぶりの「お食事会」のため西麻布は「フルトシ」。
男性陣は、ザイムショーのTR氏と僕。
お相手は、某外資インベストメントバンクの秘書嬢2名。
イタリアンワインに詳しくない僕は、
「HUSCH 1998 MENDOCINO CABERNET SAUVIGNON」 
という偶然出くわしたこのワインに、感激!
酒屋で見つければ、多分数千円の下の方のはず。
料理との相性はイマイチなので、
ナイトキャップにでもどうぞ。

6月6日(水曜日)

朝から「懲りないくん」18号。
このところ「ほぼ日」編集のリクエストは厳しい。
僕もそれに答える。

14時、NYに本社のあるアースセクター社社長
金野索一氏と「2年後プロジェクト」ミーティング。

15時、18号でご紹介した
「スピリチュアルリーディング」に興味を持ったMG嬢を連れ、
再び道玄坂のマンションの一室。
彼女を残し、久々の渋谷をフラフラ。
「マツモトキヨシ」でお買い物。
「P&A」じゃなかった「J&P」で最新パソコンのチェック。
なんだか「パワーブック」欲しくなる。

17時、霊的体験を終えたMG嬢とディナーのため
渋谷は桜ケ丘の、元は高級スポーツクラブ、
今はフレンチレストランの「ネプシス」。

紳士淑女が泳いでいたであろうプールが、
今は、熱帯グリーンに覆われ、
その周辺にテーブルの並ぶこの店の料理は、
海産物を使った室温より冷たく頂く食材の「温度」がすばらしい。
南仏で修業を積んだシェフの料理は、
高い天井と、水の気配とあいまって、
新鮮な素材の新鮮さが強調される。
テーブル間の距離は、決して広くないのだが、
天井が高いせいか、隣席の会話はほとんど聞こえない。
この店で一番のお気に入りは、
ビックサイズのワゴンで供される十数種類のデザート。
僕は、お子ちゃまランチよろしく、5種類程度を少しずつリクエスト。

21時、いわゆる超能力に触れた二人は、
自宅にて「グリーンマイル」を鑑賞。

「スピリチュアルリーディング」、
「グリーンマイル」と来たものだから、
おのずと話しは「霊」について。

「霊」の存在の有無はさておいて、
仮に霊が存在するとした場合、
それを「見る能力のある人」、「無い人」の違いは、
「目の焦点」にあるのではないかと。
つまり、人の目の焦点は、
物体があろう筈が無い距離に合わせることはしない。
たとえば、ベッドで横たわっているとき、
自分と天井の間に焦点を合わせる事はしない。
一方、霊が現れるとすれば、
それが天井に張り付いている可能性は非常に低い。
よって、霊が居るにもかかわらず、そこに焦点が合わないから、
(合わせないから)見えないのではないか。
もし、積極的に、3次元空間の焦点をずらして見れば、
見えるものがあるかもしれない。

その後暇があれば試して見るが、未だ何も見えない。

いつしか就寝。

6月7日(木曜日)

15時、僕の髪型がフツーすぎてオシャレじゃない
という彼女の薦めで、
代官山はカリスマスタイリストそろう「リッツ」。
オネーさんに付き添われて床屋に行く気分。

僕担当のスタイリストは「板倉ミツル」君。
僕と同姓の彼は、僕より遥かに「かっこいい」。
そのかっこよさに「おまかせコース」をリクエスト。

そもそも、歯医者の口が臭かったり、
経営コンサルタントがビンボーだったり(僕の事)、
美容師がモヒカンだったりしたら、
自分を預ける気にはならないよね。

MG嬢と板倉君は、僕のヘアースタイルを勝手に相談。
「こんな感じにしてくれますかぁ」っと
男性雑誌を手に取るMG嬢は、楽しそうにそう言い残すと、
仕事に出かけてしまう。
「ちょっと待ってくれよ・・・・」

オジサンの僕は、原宿の自宅近くでうろうろする
超サイケデリックな輩を想像し、必死に攻防。
「歳は37歳ですからね」
「それと、仕事は・・・・」これがなかなか定義できない。
「そんなことで、イメチェンには大いに興味ありますが、
程ほどに、ね、ね。」っと逃げ腰。
そんな僕に板倉君曰く
「大丈夫ですよ、でも結構イメージ変わりますからね」っと。
普段はイノベーションだとか、この国をどーするんだぁ~とか
叫んでいるくせに、結構保守的な自分を発見。

数十分後、出来上がったのは、
いわゆる「短髪無造作ヘアー」。
不思議な事に、パーマもかけずカットだけなのに、
なぜか髪がゆらゆら動きがある。
それまで「カリスマ美容師ぃ~?」っと馬鹿にしていた僕だが、
彼の魔法に完敗。
仕上げは「マッドワックス」でボールを磨くようにグシャグシャ。
そして、毛先のニュアンスを調整して出来上がり。

「・・・・・・?・・・・なんだかいい感じだ!」

6月8日(金曜日)

昼から「スパ然」。

15時、元ハイパーネット社員、佐藤孝智氏来社。
元社員がこうして訪問してくれる事は嬉しい。
そして、救われる気分。

16時、「社長失格」の読者で
ソフトウェア開発会社の経営者来社。
要点わからずだが、なぜか政治の話し。

17時、これまた元ハイパーネット社員の新井潤氏来社。
「会社を作って儲ける方法」という本を出版した挨拶。
「元パー」はホント優秀な人ばかりだ。

18時、YEO(Young Entrepreneur Organization)創設期、
光通信の重田康光社長、
グロービスの堀社長
ユニカルインターナショナル(現e-Woman)佐々木かをり社長、
グッドウィルグループ(グッドウィル、コムスンなど)の折口社長
などと共に「青春実業家」の友だった
日本最大のPC売上を誇るソフマップの創業者、
鈴木慶氏の「ドリームテクノロジー社IPO記念パーティー」に
出席のため、恵比寿はウェスティンホテル。

それまでフォーマルに挨拶していた鈴木氏、
僕の顔を見るなり「いたちゃぁ~ん」と握手する姿に、
感慨を覚える。

400名を超える来場者には、友人知人多数。
ドミノピザやKFCのオーナーのアーネスト比嘉氏、
彼の姉妹でジェーシーフーズネットの大河原愛子氏、
オートバイテルを立ち上げた
イーソリューション代表の佐々木経世氏、
そして、元アスキー代表取締役、
現特別顧問の西和彦氏としばし雑談。
「僕は、首。 社長失格だよ」という西氏、
「今度は何するの?」という彼の質問に、
なぜか本当の計画を話してしまう。

アスキー代表を追い出されようが、
ボストンで大学教授に変身しようが、
19歳で会った、尊敬するベンチャー企業家西和彦氏に
僕の中で変わりは無い。
ハイパーネット時代、
彼とはビジネス上のトラブルはあったものの、
一山超えれば、やはり尊敬する人物。
間違いなく日本のPCの歴史に功績を残す人。
いや、彼が居なかったら、この国のPC事情は、
現在より何年も遅れていたに違いない。
僕のビジネスへの復帰の前に、
是非とも彼に再び表舞台に出てもらいたいものだ。
そして、孫正義氏とのデットヒートを演じてもらいたい。

壇上で涙する鈴木慶氏の姿に、
果たせなかった自分の過去を思い出す。
「IPO(Initial Public Offering)」とは、
経営理論的には資金調達手段だが、
起業家とって、一つの大きな目標である事に変わりは無い。
日本のPC歴史の初期にスタートアップした西和彦氏にしても、
日本のネット歴史の初期にスタートアップした僕も、
その力と能力を、いつまでも眠らせておくのは、
「もったいない」と、久々に思う。

そういえば今日は「友引」。
一人失敗した僕は、それでも暖かく迎えてくれる友に感謝。
会場に居ることが辛くなり、早々に自宅へ。

21時、再びMG嬢来宅。
二人で「2ch」の僕のスレッドを見て大爆笑。

22時、「ニュースステーション」
「池田市の事件」。
もし僕の両親や愛犬が殺されたなら、
犯人を殺したいと思う気持ちを、抑えることができるだろうか。

自分の子供を持つことは、正直怖い。
守るべき人が増える事は、正直怖い。
僕が大人になりきれない最大の理由だろう。

6月9日(土曜日)

10時、最近モデルの仕事が増えてきたMG嬢が
仕事に行くのを見送り、
実家の船橋へ移動し、終日家事。

ということで、
今週はトピック多い週でした。
来週は、仕事のバランスを増やしましょ。

板倉 雄一郎
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