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「懲りないくん」2001年5月13日号(15)

今週は、幻滅から復帰するも、フラレタ号。
トホホのはじまりはじまり。

5月6日(日曜日)

朝、「懲りないくん」14号。
とりあえず、13号の調子をキープ。
糸井重里氏の指摘通り、これを書く労力は数倍に。
だけど、きっと何かの形で元取るもんね。

昼、いつものホテル日航東京「スパ然」に向かう。
が、駐車場でブッチ切れ!
以前から気になっていたことだが、
このホテルの地下駐車場の警備員ときたら、
とにかく態度が悪い。

どこかの警備会社からの出向だろうけど、
「あんたらの給料は、どこから出ているんだか考えろ!」
って言いたい。(うそ、そう言った。)
彼らは警備会社から、警備会社はホテルから、
ホテルは顧客から、収益を得てるんだよ。
つまり、目の前の車に乗ってる利用者が
あんたらの給料を払ってんだよ。
ってね。

20時、めったに見ないTVをつけ、日本テレビ「特捜200X」
すると、偶然にも「一流ホテル」の特集。
ほらね、登場するホテルの美しい映像のほとんどは、
「ホテル日航東京」。
しかし、ホテルのサービス、つまりソフトウェアの話しとなると、
「帝国ホテル」や「オークラ」の話。
値段が違うから、「帝国」や「オークラ」と
同様のサービスを期待するのは無理だろうけど、
映像は「ホテル日航東京」、サービスは「オークラ」
この番組のプロダクションも賢いね。
「やっぱ運送会社だから仕方ないよ」っと
思われないサービスを心がけて欲しい。
なぜかって?
それは、僕が女性を連れて楽しむ場所だからさ。

フォローじゃないけど「ホテル日航東京」の
1階より上のサービスは悪くないのです。
念のため。

21時、続けて日本テレビ「知ってるつもり」
今週は、「北条時宗」。
そういえば、経営戦略や経営のお勉強として、
軍事を比喩に取り上げる事が盛んな時代があった。
たとえば、某有名出版社の、その出版社と同じ名前の
経営者向け雑誌などがそうだ。
そして、僕自身も戦国時代の武将の戦略や
太平洋戦争の話を経営に生かそうと試みた時期もあった。
しかし、経営に失敗した僕は、偉そうに、断言する。
「軍の戦略を経営に応用するには根本的に無理がある」と。

会社と言う組織と、軍や国家では、
根本的な違いがあるのだ。
軍(もしくは国)と言う
「参加する人に、事実上選択肢の無い組織」と
現代経営のように
「参加する人が、自由に組織を選択できる」という違い。
つまり、逃げ場の無い人たちを組織する場合と、
選んで参加してる人を組織する場合の違いがあるって事。
簡単な話し、選択肢が無い人たちの組織では、
「背水の陣」が通用するが、
現代の経営にて、経営者が「背水の陣だぁ~」と叫んで
強引な戦略に出たところで、優秀な奴から辞めて行くってば。

5月7日(月曜日)

朝からPCワーク。

昼、予定が無いので、船橋へ。
「憤慨」と「幻滅」で忙しい僕は、
それらを解決するために、音楽を楽しむ。

「スタンドバイミー」を聞いているときに、
ふと、この曲がメインテーマになっている
同タイトルの映画を思い出す。
少年時代の煩悩に支配されていない、
友情、感動そして苦悩。
「あの頃はよかったなぁ~」っと思う。

しかし、まてよ、この感覚は遠い過去の事ではなく、
今の僕にもあると実感。
そして、2匹の犬が僕の頭に浮かぶ。

それまでの僕は、彼らに接する理由を特に考えもせず、
「かわいいから」とか
「そばに居てあげなければ、かわいそうだから」とか
「ペットを飼った以上、最後まで面倒を見なければ」とかいう
「選択肢の無い彼らに対する義務感」で、
彼らに接していると漠然と思っていた。
しかし、一方で、それらだけでは彼らに対する思いを
納得できない自分を認識していることも、また事実だった。

今日、彼らと接する理由が明らかになったのだ。
そう、僕が彼らを大切にしている理由は、
彼らこそ、煩悩の無い、僕の友人だからなのだ。
彼らこそ、煩悩に支配された世の中を行き抜くための、
僕の大切なオアシスであり、
自分を見失う事から救ってくれる存在なのだ。
僕が、社会の一員である前に、「人間」という
動物である事を教えてくれる存在なのだ。
「人生を謳歌しなくて、何を謳歌するのか」とか
「言いたい事言えない人生に、幸せなんてありえない」とか
「処世術を磨いて、一生を終えたところで、何が残るのだ」とかいう
僕の生き方を肯定してくれる存在なのだ。

このところ続いている「幻滅」は、
実のところ、僕の求める
「煩悩無き友情」を探しているからなのか。

と思えば、船橋へ向かう車の中で、自然とアクセルに力が入る。

20時、「月間ビジネススパe+B」の原稿。
「BtoBよりBtoCよりCtoCにネットのお宝が」という内容。

そもそも、ネットが「産業革命」より「グーデンベルグ活版印刷」に
たとえられる事を1993年に著した
浜野保樹氏の「マルチメディアマインド」が
僕のネットビジネスの起源。
「ネット的」事をしたい人には必読の一冊。

5月8日(火曜日)

朝から「懲りないくん」14号を改稿~終了。

11時、いつもの「スパ然」。

15時、読者で大和證券勤務の方が来社。
要点わからず。

16時、ネットビジネスを手がける某社の代表者来社。
設立後数ヶ月のこの会社、資金繰りに苦しんで居るようだが、
ビジネスモデルに致命的な欠陥を見つけ、
単刀直入に「これ駄目です」と意見。

17時過ぎ、日本航空CAのTE嬢とデートのため、
恵比寿で彼女をピックアップ。

19時、「第三春美」。

21時、リストランテを併設する西麻布は、
既に10年以上の付き合いになるバー「イピゼリ」に
場所を移してお話。
というか口説きだな。
ゲームのように口説くのではなく、
僕は彼女とのステディーな交際を求め、珍しく真剣状態。
ところが、ところがである。
精一杯口説く僕に、彼女曰く
「板倉さんは、いつも私を気持ち良くしてくれるから、
うっとおしい。」と。
がぁ~ん。(ごめんなさい、僕語彙が少ないので)
まさに「計算不能」状態、いや「処理不能」。
途方にくれている僕に、
「ほら、板倉さん、嬉しそうだよ」と。
「○×△※◆∥~?」
彼女らしい発言である。
彼女のこの言葉を聞いて、僕は「はっ」とした。

僕は、自分の潜在意識の中で、「求めても手に入らない何か」が
実在する事を確かめたかったのかもしれない。
人生を楽しむ主義の僕は、
今の自分では「求めても手に入らないもの」が
実在することこそが、人生を楽しくすると思っているのか?
彼女が僕との交際を拒絶したとき、
「良かった、欲しいのに手に入らないものが目の前にあった」と
潜在意識の中で喜んでいたのかもしれない。
きっと、それが表情に表れたのだろう。

僕の「嬉しそうな顔」から、彼女はそんな僕を見透かしたのか?
それとも、彼女は僕の「嬉しそうな顔」を見るまでも無く、
僕が何に喜ぶかを見抜いていたのかもしれない。

ボー然と、それでも多分表情は嬉しそうに、
こんな考えにふけっている僕に、彼女は追い討ちをかけるように、
「板倉さんは、手に入るものしか
(=手に入ると予測できるものしか)
追わないじゃない。」っと。
「?」。
わけわからん。
彼女の定義を当てはめると、
僕は彼女を間違いなく追っているのだから、
彼女が手に入らないとおかしい。
しかし、彼女は、それを否定している。
それ自体、彼女の定義がおかしいの?
わけわからん。

彼女の目の能力も、自分が求めていることも、
実のところ、わからない。
「フェラーリが欲しい」という自分の気持ちが大切なのか、
「フェラーリ」という車を運転したいのか、所有したいのか、
そもそも「フェラーリ」の運動性能がどれほどなのか、
結局のところ、それを手に入れて見なければ、
すべてわからない。
そして、手に入れたときに、
本当に欲しかったものに気が付くのだろう。

ただ、はっきりしているのは、誰か一人で良いから、
僕を理解して欲しいという願望が、僕の中にある事は確かだ。
彼女は、少なくともそれを明らかにしてくれたのだ。

(っと、この部分を「ほぼ日」の編集とやり取りしているうちに、
妙な事に気が付く。
「この文章を書いている現在」を何時書くべきかという問題だ。
つまり、「この文章」を書いている「第2の自分」は、
彼女にフラレタ「第一の自分」を思い起こして書いている。
しかし、この文章を混乱しながら書いている第2の自分も、
僕の時間の中で、つまり日記の中に実在するわけだから、
この混乱や悩みは、
次週の日記として「第三の自分」が書くべきだろうが、
やはり、書いている自分を日記に書き、
そのまた書いている自分を、次の日記で書く事になる。
っと、思考を続けていくと、スパイラルに陥りそうなので、
この辺で止めようと思う。
そもそも、何を思ったかを「日記」というスタイルで実行すると、
このスパイラルは必然なのか?)

21時、気を取り直すために、(止めときゃ良いのに)
本日ドタキャンした「お食事会」へ
彼女と二人で急遽出席のため西麻布は「Furutoshi」。
調子に乗って、
いつもの夜遊びメンバーと盛り上がっていると、
化粧室に行くような態度で、TE嬢居なくなる。
さらに、がぁ~ん。
慌てて電話した僕に、彼女曰く
「だって、板倉さん、楽しそうだったから帰ります」と。
が、がぁ~ん。
完全に自爆だ。

このところ他人の態度に幻滅ばかりしていたが、
自分に一番幻滅だ。

と思ったところで、このままでは終わらせない
という自分も発見する。
「このままでは終わらせない」というのは、
実在のTE嬢を、なんとしてでも手に入れるという意味ではない。
もちろん、その選択肢も在るが、
この失敗と発見を、将来に必ず生かすぞという意思である。

26時、それでも予定をこなす僕は、
自宅にて、レースクイーンと2vs2の飲み会。
しかし、僕は一人勝手にベッドイン。
ごめんなさい。
でも、こんな時は、とりあえず寝る。
寝る事で、人は、考えが熟成するのね。

5月9日(水曜日)

12時、GMO社代表取締役熊谷正寿との
定例ミーティングのため
渋谷はセルリアンタワー東急ホテル内「金田中」。
この店、ランチのくせにオイシイ。
さすが老舗の和食。
東急も「東急イン」のイメージからの脱却に本気らしい。

全てのネット勢力が一旦リセットされる
ブロードバンド時代のビジネス戦略について、
「アイデアと感性の僕」+「経営の達人熊谷」の
ブレーンストーミング。

14時、夜遊び仲間で起業家の赤石太郎氏と
初めてのビジネスミーティング。
この男、女性を口説くのもうまいが、
ビジネスもうまいと見た。

「英雄色を好む」というが、
「魅力的な女性は、できる男に惚れる」の間違いだよ。
女性が「経済力」に惚れると思っている男が多いが、
「経済力」を手に入れる男は、それなりに「できる男」なのよ。
彼女たちは「経済力」に直接惚れるのではなく、
経済力を生み出す「できる男」に惚れるのよ。
結果だけ見れば「経済力」に惚れているように見えるのだけどね。
「できる男」とは「ポジショニング」がうまい奴。
この話はまたいずれ。

5月10日(木曜日)

11時、「毎日新聞社」主催の講演のため、
池袋は「メトロポリタンホテル」。
いつもの「ベンチャー学」を振舞うが、
質疑応答で
「今の不景気を、どうすれば解決できると思うか?」という質問。
とっても良い質問に、喜んで答える。
現在の経済不況の根源的理由は、
金が無いのではなく「在る金が動かない」ことにある。
1400兆円の資産は、
残念ながら「金を使う人」の所有ではない事が最大の原因。
金を持ってる人(つまりご年配の方)から、
金を使う人(つまり若年~中年層の方)に、
速やかなる資金移動を促進する法律を作るべきと意見。
たとえば、時限的に「生前相続無税」を実行すれば、
資金移動が促進される。
相続税はせいぜい2兆円程度だから、
この税収を削ってでもやるべし!っと、
政治家では無い僕は勝手な発言。
でも、1400兆円がいきなり動き出したら、
きっととんでもないインフレになるね。

15時、「スパ然」

19時、LA出張時、現地で「お食事会」をした、
全日本空輸、羽田グランドホステスらと、
六本木は「花えん」でのお食事会。
なんだけど、全然乗らない僕。
フラレタ後遺症なの?

5月11日(金曜日)

昼から「スパ然」
全然泳がず、うだうだ系で過ごす。

16時、日経BP社柳瀬博一氏来社。
次の単行本の打ち合わせ。

18時、起業家金野索一氏と「2年後」のミーティング。
内容はヒミツ。

19時、広島のボークンK氏他2名と食事のため、
銀座は「リストランテ ラディーチェ」
このお店の内装、料理、サービスは値段からかけ離れた良さ。
思わず「(値段の書いてある)男性用のメニューと
(値段の書いていない)女性用のメニューに分けるべし」と意見。
きっと、彼女は雰囲気と料理に大満足。
そして、彼はその料金に大満足となるはず。
イタリアンリストランテの戦略は、
「リッチな味付けと炭水化物による満足感」なんだけど、
この店の味付けは、素材を活かすグッドバランス。
恐れ入りました。
ワインが96年以降の若いモノばかりという点を除いては、
サイコーです。
是非、お試しあれ。

23時、ダブルブッキングの「お食事会」に参加のため、
青山は「KINA」。
レースクイーン5人vs夜遊び友達5人。
盛り上がるが、フラレタ後遺症、まだ続く。

5月12日(土曜日)

昨日の深酒のはずが、9時起床。
久しぶりのHN嬢と「ワンワンサービスデイ」のため、
彼女を原宿でピックアップ~船橋で車を変え、
ワンワンをピックアップ~僕の愛する「九十九里浜」へ。
(海での情景は、4月5日アップデート号にあるため省略)
HN嬢はまるで僕の妹。
とってもかわゆい。
できれば、欲望を追求するあまり、
結果的に彼女を失うことを避けたいと思う。

15時、「懲りないくん」および「社長失格」の愛読者の
鈴木創之介氏に会うために、HN嬢と共に、
千葉県東金市は「MARIA」というフレンチレストラン。
メール交換からはじまった彼の印象は、
実際に会っても変わらず、ナイスガイ。
メール交換からはじまる出会いの増えた昨今、
メールでの印象と実際のギャップが少ないと言うことは、
表現力が豊かと言うことの証。
彼の経営するこの店の料理は、都心に負けない。
というより、コストパフォーマンスを考慮すれば、
絶対オススメ!
九十九里にお寄りの際は、是非。

19時、予定があるというHN嬢を船橋駅で見送り、
実家で寝る。

23時、深夜ドライブデートのAT嬢を代官山でピックアップ。
「走り屋」戯れる深夜の首都高をドライブ。
しかし、20代、BMW M5や
フェラーリF355でぶっ飛ばしていた頃の様には走れない。
走れなくて良し~少し大人になった僕。
ホントは「お食事会」、「デート」それに「フラレタ後遺症」で
体調優れないのです。

船橋に戻り、2匹の犬と就寝。

と言う事で、今週はとにかく疲れた。
来週は、少しペースを落とします。です。はい。

板倉 雄一郎
Copyright c 2001 Yuichiro ITAKURA All rights reserved.
という表記をして在る以上、原文を他に引用するのは、
イリーガルだと言うことを理解して頂きたい。





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