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「懲りないくん」2001年9月30日号(35)

結構ひまな週。

9月23日(日曜日)

15時、ホテル日航東京の「スパ然」。
最近サボリ気味のプールは、
泳ぐ時間も20分程度と、手抜きです。
だけど、この一年泳ぎを続けたせいか、
体脂肪率は15%前後となり、つまり筋肉の比率が多くなり、
基礎代謝が増えたことと、
ちょっとした運動での消費エネルギーが多くなったことで、
いくら食っても、太らなくなりました。パチパチ。

19時、たまには静かに一人で過ごそうと、
原宿の自宅にてTV鑑賞。

21時、ところが、ある企業家の友人が、
男ふたり、女の子3人を連れて、自宅に押しかけ、
「男女6人、アイズ・ワイド・シャッド鑑賞」。
朝まで。

9月24日(月曜日)~25日(火曜日)

トピック無し。

9月26日(水曜日)

17時、「ITセレクト」という雑誌のインタビュー。
ITバブル崩壊に観る、ベンチャーキャピタルの功罪というテーマ。

ベンチャーキャピタルに必須なのは、ファンドとキャピタリスト。
が、日本のVCには、お金は集まっても、キャピタリストが居ない。
だって、歴史が無いから。
このところのバブルとその崩壊から、どれほどの経験を、
彼ら自称キャピタリストが成長するかどうかが鍵です。

20時、GMO代表熊谷正寿との定例食事件ミーティングのため、
麻布十番は、あらゆる食情報誌で高い評価を得ている
「クッチーナ平田」。

小奇麗な内装に、アットホームな接客のオーナー。
そして豊富なイタリアンワイン。
アンティパスト、パスタ、メインすべて良い食材と調理のおかげで、
とっても美味。
でも「からま~り」とトマトソースくださいという僕のリクエストに、
「なにそれ? そんなの食べたことが無い」という返事には、
ちょっと、がっかり。
でも、ちゃんとリクエスト通り、出してくれましたです。
ありがと。

熊谷氏との久しぶりのディナーは、
GMO社の組織戦略についての議論。
僕の失敗の多くは、組織戦略のまずさだった。
彼には同じ失敗をして欲しくない。
GMO社も事業部門も増え、
代表自らがすべてに意思決定する規模からの脱皮中。
僕のような者の話にも、積極的に耳を傾ける、
彼の姿勢は、「彼なら大丈夫」と思わせる。

23時、久しぶりのMM嬢来宅。
朝まで映画鑑賞。

9月27日(木曜日)

何も予定が無いので、船橋の実家へワンワンサービス。

9月28日(金曜日)

20時、「『社長失格』テレビ番組鑑賞パーティー」のため、
芝浦は、起業家赤石太郎邸。

集まったのは、「元パー」の社員およそ20名。
それに、最近の友人の方々、合わせて40名ほど。

鑑賞会は、あらゆる場面での大爆笑のパーティーとなる。
それにしても、オンエアは恥ずかしかったりするのでした。
くどいようだけど、改めて観ると、当時の僕はチョーデブ!

放映中、何人もの知人から番組を見ていることを知らせる
電話がケータイに入る。
その中で、「2ちゃんねる」の掲示板に数百の書き込みが
あることを知らされ、
会場にいたメンバーでパソコンの画面を覗き込む。

例によって、いろいろ書かれていて、それはそれで、
話のネタとして楽しませてもらったが、
その中で一つ、気になるコメントがあった。

僕が当時同棲していた女性(番組上では冬美という仮名)が、
インタビュー映像に出てくる当時の営業社員桜田敦子女史と
同一視され、その上での中傷コメントである。

桜田女史の名誉のために、言っておくが、
彼女とは男女間の関係になったことも、
そんな感情を抱いたことも、10年来の付き合いの中で、
一度も無い。
しかし、気になったのは、そんなことではなく、
イイワケをここで言いたいのではなく、
発言者を特定できない誹謗中傷に、いちいちコメントしたり、
腹を立てたりしているわけでもない。

「彼らは、彼らの数少ない発言の場所を、
彼ら自身が大切にしていない」と感じたのだ。

この二人の女性が、別人であることは、
全国ネットのTV番組という性格上、
数百万人が共有できることである。
その環境の中で、その誤解(明らかな間違い)を
ベースにした発言は、「ここの情報は信頼できないな」と
多くの人に認識される結果を招き、
この掲示板の信頼性(などというものは、
そもそも無いのかもしれないが)を失い、
発言者すべての情報価値が失われるのではないか。

自らの発言の価値を維持するためには、
誹謗中傷を、言うとか、言わないとか、ではなくて、
事実に基づいているか、または仮にねつ造情報であっても、
それがねつ造だと、多くの人が容易に認識できるようなことは、
避けたほうがよいのではないかい?

ネットが普及し、その利用の上での、
「受け手が情報を吟味する」という行為が成熟すれば、
このような落書きメディアも、自然と読者による牽制が働き、
価値あるメディアになりうるのではないかと、
たくさん誹謗中傷をされている僕でさえ、期待するところである。

ということで、会場のメンバーと一緒に、
僕も初めて「2ちゃんねる」の掲示板に書き込みをしてみる。

が、だれも相手にしてくれない・・・・つまんない。

書き込みをして、初めて気が付いたことがある。
それは、匿名(もしくは、発言者の名称と実在の人物の
リンクを証明するものが無い環境)での発言は、
なんでも書けるって事。

「嘘」もかける・・・これは誰でもわかる。
で逆に、人には言えない「本当の事」もかける・・・これって発見。
そして、発言に対するレスポンスを無視することもできるし、
否定と肯定の相反する意見を、別人に成りすまし書くこともできる。

でも、僕にはこんなことに時間を使うことを継続できないな。
だって、自分が発言している実感が無いから、
発言した情報によって世の中の何かが動いたとしても、
それは僕が動かしたのではなくて、
僕がたまたま持っていた「情報が動かした」に過ぎない。
だから、寂しくなるってば。

ということで、思ったほどの視聴率が稼げなかったが、
「経済や経営を身近に」という番組コンセプトの実現は、
成功したのではないだろうか。
これから、この手の番組(NHKでは「プロジェクトX」)が
どんどん出てくることのさきがけになれば幸いでございます。

板倉 雄一郎
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