板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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「懲りないくん」2001年7月1日号(22)

久々に男と食事、それに車の週。

6月24日(日曜日)

「懲りないくん」3、4号で紹介した特許紛争が、
20号で書いてあるように一応の決着を得て、
いよいよ特許発明~会社倒産~特許紛争という
シーケンスの執筆を始める。

現在ブームのビジネスモデル特許の結末について、
始めてのケーススタディー本になる予定。
そして、ハイパーネットが残したアイデアと技術が、
今やAOLに次ぐ世界第2位の会員数を誇るプロバイダーを
作り上げたという「『社長失格』その後」としての内容も
たくさん入れる予定。

6月25日(月曜日)

昼からホテル日航東京の「スパ然」。

17時、「板倉雄一郎事務所」で今期決算処理。

20時、元パー(元ハイパーネット社員)
海外戦略室佐藤孝智氏と食事のため、
しつこいようだが白金はピッゼリア「イゾラ」。

「カラマ~リ」からスタートして、
「マルガリータ」そして「マリラーナ」と
これでナポリ3大ピッザの全てを制覇。
このところ、この店で美味しかったワインは、
「Loredan Gasparini Capo di Stato '97」という
ローマ皇帝も愛飲していたというワイン。
酒屋で見つける事ができれば、数千円のはず。
是非お試しあれ。

6月26日(火曜日)

14時、当社VMXインキュベート先NA社の特許出願のため、
「龍華国際特許事務所」。

17時、「国分寺青年会議所」での講演のため、
またもや中央高速~国分寺。
30名ほどの会員のはずが、聴衆はおよそ100名。
どうやら地域にビラを配ったらしい。
若い女性が多いと、何事にもパワーが入る。

21時、JC会員と共に、打ち上げ。
車好きが多く、車と「GT3」の話で盛り上がる。

JCでの講演で、いつも思う事がある。
僕の入場の際には、必ず「盛大な拍手」、
講演中は背筋をピッと伸ばした「礼儀正しい姿勢」、
そして、講演終了時に感謝の言葉と花束などの贈り物、
そして退場の際にも「盛大な拍手」となる。
どこのJCでも同じというのは、
この大組織の統制が取れているという証拠だろう。
それはそれで、気恥ずかしさ以外に問題は無いし、
むしろ歓迎されている事を嬉しく思う。
しかし、一方で、表面的な儀式やシキタリを重視するあまり、
話に集中できていないのではないかと、心配したりもする。

日本の文化は「形から入る」傾向がある。
お茶でも、お花でも、挨拶でも、礼儀でも、なんでも形から入る。
そして「なぜそういう形(表現方法)をとるのか」という
理由の説明は省かれる。
場合によっては「なぜ」を感じてはいけない場面すらある。
「形を見て、他は押して知るべし」という事なんだろう。
しかし、何らかの本質的なイデオロギーなり、目的なりの説明が
実は重要なのであり、その上に立った表現は、
その人なりの個性によってなされるほうが、少なくとも僕は好きだ。

ここ国分寺では他のJCとは多少異なり、「礼儀正しい姿勢」より、
メモを取るという「実」を優先した会員が多く、
僕自身の「存在価値」を見出すことができて、嬉しかった。

24時、自宅に戻り、今日のイベント「試乗会」。
ドイツ製、2シーター、リアエンジン・リアドライブ、
インタークーラーターボ、6速シーケンシャルシフトの
車を持参した鎌倉君をナビシートに押しのけ、
僕はドライバーシートを体に合わせる。

シーケンシャルシフトの操作方法に関するレクチャーを受け、
早速、代々木より首都高4号新宿線上りへ。
コンピュータ制御されたガスペダルを底まで踏み込む。
レブカウンターの針が少し上昇すると、ジェットエンジンのような、
ターボ加給音が小さく響き、軽いボディーは前に押し出される。
あっという間に3速を使いきり、4速、5速、6速。
コンピュータ制御されたシフトのショックは、
決して小さくは無いが、慣れれば小気味よく楽しめるはずだ。
赤坂あたりのコーナーで、右に左にステアする。
するとフロントがどんどんコーナーの外側に逃げていく。
5速フルスロットルなのに、隣のフツーのタクシーと
並んでコーナーを曲がっている・・・アレッ?

首都高を2号線終点で降り、
鎌倉オーナーにドライバーズシートを譲ると、
信号待ちの度に、周囲のドライバーからの視線を感じる。
この車、正直かなり目立つ。
隣を走るメルセデスオーナーは走行しながら大声で
「その車、どーですかぁ~僕も一台ホシーのだけれど」と。
皆さん結構興味があるようだ。

この「一台欲しい」という表現が、
この車を最も正確に表している言葉かもしれない。
ドイツ製のこの車、
値段は、YANASEの店頭で新車140万円前後。
排気量は600cc。
最高速度は、がんばっても140Km/hぐらいだろうか。
日本のK自動車より、小さく、軽く、そして楽しい。
都内の移動なら、車内空間だけレーシングドライバー、
外から見れば、フツーに走る車。
メルセデスベンツ社の100%子会社と聞く
このメーカーの、この車の名称は、「Smart」。

25時、試乗中に来宅したMG嬢と「短編映画」。
最近の優れない体調について、ウンヌンカンヌン。
いつしか就寝。

6月27日(水曜日)

昼、「GT3」のやりすぎが体調不良の原因と断定するMG嬢は、
「GT3」のCD-ROMを取り去り、空手の教室へ。

15時、鳥取で酒屋やビル貸し業を営む、足立慶氏来社。
久しぶりの彼と世間話。

18時、アースセクター社代表、金野索一氏と
「プロジェクト2年後」のミーティング。

20時、GMO(旧インターキュー)代表、
熊谷正寿氏との月例ミーティングのため、
西麻布は早朝5時まで営業のフレンチレストラン「TSUBAKI」。

僕と電通との共同プロジェクトの進行状況をレポート。
熊谷氏も興味を示す。

福島の名産品「桃」にトリュフを乗せ蜂蜜をかけた前菜を、
フレンチシャンパーニュで頂く。

GMO社提供の「シリコンバレーエクスプレス」というメルマガでの
僕の連載の打ち合わせ。
この企画、打ち合わせばかりで、全然前に進まない。
テーマがはっきりしないのです。

名古屋コーチンのゆで卵に塩代わりとして、
キャビアを贅沢に使った、この店自慢の逸品。
・・・旨すぎだってば。

熊谷はあらゆる考えを「数値化」すると言う思考。
僕は「言語化」するという思考。
アプローチは違っても、目的地は一緒という結論。

小さ目のトマトにアンチョビ、オリーブオイルを
タップナードソースで頂く。

「所有とは不幸の始まり」という僕の持論を展開。
たとえば、分譲マンションを買ったAさんと、
同じマンションを賃貸しているBさんが居たとする。
ある日、豪雨で雨漏りが発生。
このとき、Bさんの心理は
「ったくしょうがねぇマンションだぜ」であり、
その後の行動は大家に連絡をして修繕を要求するとなる。
一方、Aさんの心理は、
「ありぁりぁ~、僕の資産が目減りしている、大変だぁ~」
であり、その後の行動は、大枚払っての修理依頼となる。
雨漏りならまだ良いが、地震で建物が崩壊したら、
Bさんは住む場所も無いが、家賃も無い。
一方Aさんは住む場所は無いが、借金は残る。

またこれを恋愛現場に持ち込むと、
彼女に大枚払ってプレゼントをあげるとき、
彼らは彼女にプレゼントを与えたという
彼女に対する身勝手な債権所有者に成りたがり、
彼女に振られると「プレゼント買って上げたのにぃー」と嘆く。
これまた、考えうる手段によって、相手を「所有」したいという、
愚かな発想が原因。

プレゼントあげるなら、
彼女の笑顔を想像しながら買い物している自分の幸福感で、
投資分の回収とするか、
プレゼントを渡したときの彼女の笑顔をもって、
投資分の回収とできる範囲でやりなさいと言いたい。

所有を追いかけるより、その瞬間=瞬間を楽しむことが幸せだ。
人は、所有を求めるが、所有したとたんに不幸が始まる。
所有を追いかければ、追いかけている間だけ、
自分をごまかせる。
他人はだませても、自分をだますことはできないのに。

僕たち日本人は小さい頃から
「貯金しなさい」と言われていたように、
所有に幸せがあると、教えられてきた。
でもね、所有するなら、「金」より「金を稼ぐ能力」であり、
「車」より「車を楽しめる運転技術」であり、
「彼女」より「彼女を楽しませることのできる能力」であるべきだと、
僕は思う。

スーパー資産家の熊谷もこの論に賛成組み。
彼曰く、「心が平穏である事」が幸せの条件だという。
確かにそう思う。

「岩牡蠣」。
さらに「鮑」に「ウニ」と「トリュフ」をのせた逸品。
この店、裏庭で「トリュフ」を育てているのか思うくらい、
あらゆる料理に「トリュフ」がふんだんに使われている。

POMEROLの逸品「PETRUS‘83」が供される。
「五島牛」のイチボ肉(背中から尻尾にかけての肉)の
ローストスライスに「フォアグラ」を乗せた逸品を
口に含んだまま、Petrusを一口。
下を向き、ゆっくり口の中で融合させる。
始めばらばらに感じた複雑な味が、少しずつ一体化する。
その感覚を楽しんでいる「この瞬間」が幸せ。

魔法使いの話し。
よくある逸話に、魔法使いが主人公に言う。
「おまえの願いを3つだけかなえてやる。何なりと言え」
僕は幼い頃から、この手の話を聞くたびに、真剣に考えた。
「僕の願いはなんだろう?」っと。
そして答えは決まってこうだった。
「願いは一つだけで良い、魔法使いにしてくれ」っと。
つまり、僕は幼い頃から「所有」より、「能力」を欲しがった。

熊谷氏は資産家だ。
しかし、彼が資産家になった理由は、
彼には、資産を作れる「能力」があったからに他ならない。
結果に目を奪われがちな人、結果に嫉妬する人、
考えなおして頂きたい。
「どうして彼がそうなれたのか」をね。
嫉妬や嫉みというネガティブエネルギーより、
いかにして彼はそれを手に入れたかを考えるほうが、
自分自身のために成る事は、言うまでも無い。

「Aloxe Corton Latour'59」というブルゴーニュワイン。

「同じ事を継続する事によって、官軍になれる」という
熊谷氏の言葉に、僕はいたく感銘を受ける。
彼と同じ台詞を言うことは、誰にでもできる。
しかし、彼はそれを実践して、経験と資産を作り上げた
プレーヤーそのものだ。
どんな言葉も、誰がどんな背景の下に言うかという事の方が、
言葉そのものより、重く、説得力がある。
彼の言うところの「官軍」とは、
僕が一番嫌いな「勝てば官軍」という、
勝てば何をしても良いという発想に起因したモノではなく、
広く世間に認められるという意味において、納得できる。

僕も、だれに何を言われようが、「懲りないくん」は続ける。
どんな発言や理屈も、行動というリアリティー無くして、
意味を持たないと思うから、日記と言うスタイルを貫く。
行動とイデオロギーの一致こそ、説得力であり、影響力。
そして、同時に自分の煩悩や理屈の無い欲求も否定はしない。
欲求がある以上、それを行動に表してこそ、
その人本来の姿が見えるから。
しつこいようだが、他人をだますのは簡単だが、
自分をだましつづけることなど、少なくとも僕にはできない。

パスタ、リゾットを短時間に頂き、
事務連絡事項の確認をして、彼とお別れ。
楽しい時間だった。

6月28日(木曜日)

昼から「スパ然」~船橋の実家に戻り、寝る。

21時、「懲りないくん」21号執筆。

6月29日(金曜日)

午後から「スパ然」。

18時、「元パー」で当時営業成績No1の前野欽哉氏来社。
彼の知人のビジネスモデルプレゼンを受ける。
条件はあるが、なかなか良い。

19時、定例「クラブ一期一会」。
今回は、六本木「ベルファーレ」B1のバーが会場。
およそ200名の参加には、今回特別ゲストとして、
6月に「店頭公開」を果たした、
「フルキャスト」代表、平野岳史氏。

22時、僕に内緒でこの会に参加していたMG嬢と共に、
早々に自宅に引き上げる。

6月30日(土曜日)

体調優れない~「GT3」のせいではない。
昼、MG嬢と別れ「スパ然」。

17時、友人主催のパーティー出席のため、
麻布十番はクラブ「ビブロス」。
大手企業OLのEM嬢に一目惚れ。
彼女を恵比寿益までお行儀よく送る。

20時、同パーティーの2次会に参加。

23時、パーティーで偶然出会ったYU嬢、先週のデートでは、
僕の話を全く聞かなかったのに、今日はご機嫌。
自宅に帰り「イングリッシュペーシェント」を二人で鑑賞。

と言う事で、来週は、デートたくさんしたいです。はい。

板倉 雄一郎
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