板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

企業価値評価・経済・金融の仕組み・株式投資を分かりやすく解説。理解を促進するためのDVDや書籍も取り扱う板倉雄一郎事務所Webサイト

feed  RSS   feed  Atom
ホーム >  エッセイ >  懲りないくん  > 「懲りないくん」2002年4月11日号(61)

「懲りないくん」2002年4月11日号(61)

ほんとに、春です。
免停講習です。
犬の手術です。

4月7日(日曜日)

15:00、待ち合わせしていたT嬢から電話。
旧い友達と青山でお茶中ということで、
またもや呼び出し。
で、南青山は「Cafe MADU」。
どうでもいいことだが、
隣の席には、石原行革担当大臣が、お茶中。

T嬢友人達より、再び質問攻めに会う。
なんつーか、女性は、本人がお相手に、
直接聞きたいことを聞かないのだろうか?
そして、なんつーか、彼女たちの質問は
いつも同じなんだよね。

19:00 T嬢と共に、久々の白金は「イゾラ」。
途中、僕の起業家弟子渡部篤史君とその彼女、
そして、元パー前野欽也君合流。
まだヒミツだけど、先週から始まった
「プロジェクトM」の打ち合わせ。
久々のピッザは、お味も変わらず、大変美味。

4月9日(火曜日)

10:00
3月末で終了した、
GMO社シリコンバレー・エクスプレスでの連載、
「ベンチャー学」の第二段の原稿執筆。
新しい連載は、昨年夏、途中まで書いて挫折した、
「続・社長失格」の予定。
連載開始は、4月の下旬から。

15:00
愛犬「雄太」(ゴールデン雄6歳)の
股関節形成不全による脱臼の手術のため、
まずは、実家近くの「かつまペットクリニック」
主治医と合流後、首都高をゆっくり走って、

17:00
世田谷は「川瀬獣医科医院」に到着。
この病院、犬のインフラント(人工関節など)の
権威である川瀬清院長の経営になる。
これまで、セメント固定による
人工関節の手術でおよそ150例。
そして、セメント固定の弊害(感染症、間接のゆるみ)
などを克服した、ボルト固定による人工関節では、
日本でこの病院のみが、その資格を、
ボルト固定による人工関節の開発元、
チューリッヒ(スイス)大学より受けている。

腰から右足の毛をすべて剃られた雄太と僕と、
単なる付き添いの明(スタンダードダックス)は、
次々と集まる執刀医に挨拶。

19:00
執刀医4名+アシスタントの看護婦2名による、
いわば「大手術」が始まる。
麻酔をかけるために連れて行かれた雄太は、
不安そうに「ピーピー」鳴く。
そりゃそうだ。
4名もの医者に囲まれ、鎮静剤の注射、
そして、気道から麻酔のガスを吸わされる。
一体何をされるのか、彼にはさっぱり理解できないわけだ。

「宇宙人にさらわれ、体を弄繰り回される」などという、
TV番組を幼い頃に観たことがある。
彼にとっては、そんな気分なのだろう。

雄太の鳴き声に、明も落ち着かない。
そして、僕も不安になる。

待合室に設けられたTV映像には、
オペレーションルームの映像が映し出され、
雄太の様子をすべて見ることができる。

手術用のシーツをかけられ、
手術部位の腰から太ももだけが露出した部分に、
最初のメスが入る。
少量の血液がにじみ、皮膚が10cmほど、
パックリと割れる。
さらに皮膜を切ると、筋肉が露出する。
しばらく筋肉を掻き分けると、
脱臼した大腿骨の骨頭が頭を出す。
特殊な工具(スイス製300万円)で、
大腿骨骨頭を切除。
さらに、切除した分部から、
ステムといわれる固定部品を挿入するための穴を
大腿骨に堀下げる。
何度かステムを挿入して、入り具合を確かめる。
穴の具合がちょうどよかったのか、
次はさらに肉を切り、骨盤側を露出させる。
大腿骨の付け根の部分に、
受け側の部品を取り付けるために、半円形の鑢で削る。
部品を当て、具合を見、さらに削るを何度か繰り返し、
この分部は終了。
大腿骨に戻り、先ほどの穴にステムを挿入。
ステムの頭部、最終的には球形の骨頭を取り付ける部分に、
ガイドを取り付ける。
このガイドには、
大腿骨のどの部分に固定ビスを打ち込めば、
ステムのビス穴とぴったり一致するかがわかるような、
つまりガイドが付いている。
この、ステムとガイドのシステムが、
チューリッヒ大学で開発された最新のシステムで、
セメントによるステムの固定に比べ、
多くの弊害を排除できるわけだ。
ステムをビスで固定し、骨頭に人工骨頭を取り付け、
大腿骨側は終了。
骨盤側に「受け」の部品を取り付け、ビスで固定。
後は最初と全く逆に、
筋肉、皮膜、皮膚などを戻し、縫合する。

ここまで、およそ3時間。
犬の手術としては、かなりの大手術。
特別問題もなく、手術は大成功に終わった。

このTV映像を見ている間、
僕に付き添ってくれた川瀬清院長は、
別段手術の話をするわけでもなく、
世間話に終始していたことが、
僕のような素人をして、手術がうまく言っている事を、
理解できたわけです。
先生どうもありがとう。

21:30
麻酔が効いている雄太を残し、
明と共に、病院を後にする。

僕は、物言わぬ愛犬のために、
書籍、ネット、獣医など可能な限りの情報を集め、
彼の変わりに、現段階で最適と思われる治療法を
探し出し、この方法に決定した。
「選択の自由」と「自己責任」は表裏一体である。
ペイオフについても、医療制度についても、
同様の事が言える。
言葉だけの理解では、これらに全く対応できない。
ますます、個人の努力が、その個人の幸せを
大きく左右する時代に突入したということだ。
まあ、僕にとっては、都合がよいが。

22:00
T嬢を彼女の自宅でピックアップ~
久々の白金「ブルーポイント」。
今の季節、夜のオープンテラスは、
ちょっと寒いけど、明が居るからね。

24:00
T嬢を自宅に送り、船橋の実家へ。

4月10日(水曜日)

今日から免停。
立て続けに2回のスピード違反をやらかし、
60日免停の通知を頂いたのです。
僕は住所を実家においているので、
免停講習は幕張免許センター。
久々のバス・電車は、
不思議と近くの女性にドキドキするんだよね。
「この子、僕に近づいてきてる!」なぁーんて、
思ったりするわけさ。

免停講習は、正直、実にくだらない。
三角形をひたすら描かされたり、
図形を見比べて、違ったものを見つけ出したり、
実車に載って、運転の癖を見られたり、
(ちなみに僕は、最初に教習所に通った時も、
この時も、同乗する教官に偉く誉められるわけだが)
5分で理解できる座学を、1時間に渡って、
ちんたら説明されたり。
とまあ、要するに、時間拘束という罰なんだな。
この罰と引き換えに、免停期間が30日短縮される。
まあ、仕方ない。
それにしても、こんな講習を受けに来る輩は、
ほとんど「ふてくされた態度」で望むわけだが、
僕は、馬鹿馬鹿しいのを承知でも、
毎時間文句も言わず、楽しんで過ごす。
だって、同じ2日間なら、くだらないことでも、
楽しく過ごしたほうが、人生の得(徳)になるからさ。

彼ら公安の言うことに疑問を持ったりもするし、
非合理性に気がついたりもするが、
それを講義したり、解決しようとは全く思わない。
なぜなら、僕のこの場に居る目的は、
「免停期間の短縮」に他ならないからだ。
その目的を、楽しく過ごす・・・それだけだ。

「やくざにどやされたら、どうするか?」
僕は、当たり前だが、逃げる。
足元のプライドや、その瞬間の「ええかっこしい」は、
絶対にやらない。
彼らに対して、生命と時間のリスクをとったところで、
そのリターンは、全く無いからね。

いつも言っていることだが、
リスクをとらないところに、リターンは無い。
しかし、
期待されるリターンに見合わないリスクをとるのは、
ただのバカだ。

それにしても、このバカが、免停講習には、
非常に多い。
教官の不手際に腹を立てたり、
あからさまに、ふて腐れた態度をしめしたりする者。
受講時間に遅れ、その理由を、
まるで正当な理由であるかのように「仕事だ」とか言う。
この方々は、この講習が「任意の選択」であることが、
お分かりになっていないようだ。
自分の選択による自分の立場を理解できない人は、
きっと、いつでも腹を立てて、
自分の不幸を、周囲の責に帰そうとするのだな。
かわいそうだと思う。

そう思うが、僕は、黙って講習を受ける。

17:00 講習一日目終了。
実家へ戻り、明を連れ、雄太の入院先は、
「かつまペットクリニック」へ、一時間の散歩。

19:00
先日の腫瘍切除手術と同様、
ボーシをかぶって、小さなケージに入っている雄太。
痛々しいが、非常に健康だという。
自分で調べ、自分で選んだ方法が、
少なくともこの時点では、正解だったようだ。
よかった。
万が一があったとしても、
手術の方法も、執刀する先生も、
僕自身が選んだのだ。
だから、諦めが付くというものだ。
「自由な選択」と「自己責任」。
その選択が正しくても、間違っていても、
少なくとも僕には、ふさわしい主義。

4月11日(木曜日)

免停講習第2日目。
この原稿も、休み時間中に書いているのです。
5月の初旬まで、つまりGW終わるまで、
僕にとっては、20年ぶりの電車、タクシー生活。
思いっきり、酒んで、遊んでやるぅ~。
そして、散歩だ、散歩!
春に、オープンカーでドライブなんて時代遅れだよぉ~!
トホホ。

今日は、講習が終わったら、
T嬢とデートの予定。
そんな楽しみが、ないとね。

ということで、
今週は、ほんとに仕事していないで週でした。
犬の手術、免停講習。
それでも僕の心は春なのだ。

板倉 雄一郎
Copyright c 2001-2002 Yuichiro ITAKURA
All rights reserved.





エッセイカテゴリ

懲りないくんインデックス