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「懲りないくん」2001年8月26日号(30)

やっと2週間のバカンス終わりです号。

8月19日(日曜日)~8月25日(土曜日)

この期間、突然ZZ嬢とその姉妹の来客、
それに、MG嬢とその友達の来客以外、
トピックなし。
ちなみに、ZZ嬢とは、永久欠番で僕の母上でございます。

ちなみに、この期間の典型的な生活は、、、。

朝、先週同様「FUJITEN」まで、
黙々と坂を登り、富士山を眺め戻る。
スパに行って泳げない分のエクササイズ。

午後、ブラックバスだらけの河口湖ではなく、
この地域で一番水の綺麗な本栖湖へ、
台風11号の襲来時を除き、ほぼ毎日通い、
犬の水泳の訓練。

夕方、山荘に戻り、PCワーク。
夕食を取り、暗くなってから、河口湖へ。
左手に犬のリード、右手にロッド。
散歩がてらブラックバスを数匹あげ、
山荘に戻り、再びPCワーク。

以上の行動の合間に原稿書き。

という、特に変化の無い生活なので、
今週はカテゴリー分けして、書きますです。

<仕事編>

「社長失格」番組関連の連絡が数件。
制作サイドによる、当時の関係者インタビューとの意向を受け、
該当者に連絡。
しかしほとんどの該当者は、インタビュー拒否。

組織人は、インタビューを拒む傾向にある。
「個人的にはOKだが、会社の意向が・・・・」と。
組織人は大変だなぁ~。
言いたいことを言えないことを、
僕ほど苦痛に感じないことが、組織人としての素養か?
そして、会社でのポジションと収入がアップすればよいのか?
いや、発言によって、組織に居ずらくなるのは、
もしくは、その発言が組織に悪影響をもたらすのは、
組織の問題か、個人の問題か。

僕は、組織を否定するつもりは無いどころか、
多くの組織が、この国を支えていることは確かだと思う。
しかし、個人と組織は、
それぞれ独立した関係にあるべきではないか?
っと、ますますライフスタイルが細分化する現在に思う。

組織に提供するのは、個人の職能であって、
イデオロギーや過去の「思い」ではないはず。
っと、組織をもたない、、属さない僕は、きっと
「あいつ、組織をわかってないよなぁ~」なんて言われるのだろう。

「社長失格」に、もし文句があるのなら、
この機会にインタビューに応じて、
「板倉はアホだ! あいつの書いていることはデタラメだ!」と
言ってくれれば良いのに。
っと、ネガティブな意見を、むしろ期待する理由は、
「社長失格」というノンフィクション書物にしても、
僕という一個人の「視点」でしかないということを、
良く理解しているからである。

歴史は作られるという表現があるが、
どんな記録も、ある一定の視点に
限定されたものに過ぎないという大前提を、
その記録を受け取る側(つまり大衆)が、
忘れてしまうことに起因すると思う。

ネットが普及した現在、本でもネットでもニュースでも、
あらゆる情報は、ある一定の視点に限定されたものであって、
受け手が、受けての感性や経験に基づいて、
吟味しながら受け入れる必要があるのです。

たとえば、この「懲りないくん」でも、
読み手は、生活のすべてを書いていると錯覚しがちで、
「板倉さんのプライベートは、一体どこにあるのですか?」
などと言われる。
実際には、書いていないことのほうが圧倒的に多いのに。

それにしても、「個人的には・・・でも会社の・・・・」という
組織を背負って生きている人のイイワケには、
正直うんざりするってば。
「あんた自身は、一体だれのものだい?」

<バスフィッシング編>

河口湖漁協は、現在の主な収入を、
ブラックバスに頼っている。
霞ヶ浦や北浦から、ブラックバスを仕入れ放流し、
釣り客に「漁業権」を売っているわけだ。
おかげで、その数は他のどの内水面より圧倒的に多い。
多いが、小ぶり。
だから、ボートを出して戦略的なバスフィッシングというより、
岸からロッド一本で暇つぶし釣りが最適。

僕が通ったポイントは、「八木崎公園」周辺。
ウィードがたくさんあって、季節を問わず、小ぶりなら釣れます。
初日は、30cm前後を数匹上げたが、
中には20cm以下のチョーコバッチも居て、
フッキング(魚の食いを察知して、ロッドを振り上げ、
フックを魚にしっかりかけること)時に、
魚が宙を舞う現象まで発生するほどでした。

ハイパーネット時代の釣りは、もっぱら六本木池。
ルアーは、イタリヤ製の赤い奴のリトリーブが最適。
倒産後は、本物の千葉は「亀山ダム」。
ルアーは、ノーシンカー(錘なし)のスローリトリーブが最適。
そして、現在は、夜釣り。
ルアーは「褒め称える言葉」が最適。

<食編>

ほぼ毎日、毎食、
サニーサイドアップ、ベーコン、ソーセージ、野菜という
米のホテルの朝食のような食事に飽き、
河口湖周辺のレストランを探すも、
ご紹介できるようなお店には遭遇できず。
世界各国知っているわけではないし、
日本人という食のバイアスもあろうが、
食は東京に限ると思う。

ロジスティックスの充実が、
食材を高く買う地域に、
良いお店も多いという現象を生んでいる。
早く東京に戻って、おいしいお食事を
できれば、魅力的な女性としたいです。はい。

<親ばか編>

実は、今週の一番トピックは、
愛犬の「雄太(ゴールデン雄)」が、
5歳になって、初めて水泳ができるようになったこと。
ゴールデンレトリーバーは、
4本の足に「水かき」がついているほど、
泳ぎが得意な犬種なのに、
雄太はなぜか泳げなかった。

木の枝を湖面に投げ、それを取りに行く様子を、
10名ほどの観客(?)を前に演じていたが、
雄太の前足をバシャバシャしながら悲惨な表情する
溺れそうな泳ぎに、一同大爆笑!
まるで動物サーカスのパロディー編のような光景に、
観客どんどん増える。
そして、自分の泳ぎが笑われていることに、
彼は不快そうな顔。
その顔が、また面白い。
すると本犬も、本気になったのか、
それとも僕の絶え間ない努力と愛情のせいか、
泳ぎの上手な「明(スダンダックス雄)」を見習い、
ある時突然、優雅に泳ぎだすではないか!
すると、20名ほどに増えた観客も、
その光景を見て大拍手!
本犬も、「えへへぇ~、僕って上手でしょ」的な表情。
親馬鹿な僕は、人目を気にせず、
「よぉ~し、よぉ~し」と、抱きかかえて誉めたてる。
きっと自分の人間のこともができたら、
やばぁ~い、父親になるだろう。
この2週間で、一番うれしい出来事だった。

<物思い編>

東京に居れば、いつでも誰でもアクセスできる。
そんなネットワークに関する安心感がある。
河口湖に居れば、人に会う機会を損失する。

が、見方を変えれば、
東京に居れば、いつでも誰からもアクセスされる。
そんなネットワークに関するアレルギーがある。
河口湖に居れば、人に邪魔されない安心感がある。
どちらも、同時に満足できない、まさにトレードオフ。
で、どちらが自分にあっているのかなどという物思いにふける。
結論は、そのときの自分の「モード」に依存するということ。

それでは、モードはどうやって切り替えるのかという
物思いにふける。
すると、季節や休みに向けて、
モードを積極的に切り替えようとするのか、
それとも、自分に素直に自然に向き合い、
モードが切り替わったことを察知して、行動するのか、
という問題が出てくる。

まっとうな仕事人間は、前者に頼るしかない。
しかし、自由という卑劣なオプションがある僕にとっては、
後者を試してみるという結論になる。

果たして、次は、いつ、どんな状況のときに、
ここに来たくなるのか、
自分自身の精神状態の変化が非常に楽しみである。

<女性編>

河口湖の生活は、普段の東京での
「お食事会」や「合コン」における自分を
客観視できる。
そして、それらに飽き始めている自分を見つける。

2匹の犬とは、かれこれ6年近い付き合いになる。
長く、そして深く付き合った彼らと、
24時間を共にする機会は、至福の時。
こんな時間を、できれば愛する女性と共に過ごしたいという
僕にしては珍しい感情に襲われる。

雄太が泳げたことを共に喜んでくれる人。
外的要因を極力取り去った環境で、
互いを深く知ることに喜びを感じてくれる人。
そんな相手が欲しいと正直感じる。
そして、そんな相手が、犬や両親以外に居ない現実に気がつく。

結局、遊びに来た女性の人数は、予想以下だったが、
現地に居る間は、むしろそれが心地よかった。
近しい生物(人と書きたいところだが、犬も居るので)との
24時間を、人に邪魔されずに過ごしたいという欲求が
強かったように思う。

が、これはこの環境が作った、一時的な妄想かもしれない。
だから、東京に戻って、どうなるか、また楽しみだ。

<原稿編>

結局、物思いと遊びのせいで、5割程度しかできなかった。
しかし、原稿の量と使った時間との関係を計算した結果、
何とか8月末の第一稿提出可能と見て、一安心。
だがしかし、「社長失格」のようには行かない。
なぜなら、「社長失格」に綴った時期と、その後では、
仕事や生活の密度が圧倒時に違う。

「社長失格」が、ジェットコースターであり、行動であるなら、
今度の本は、遊覧船であり、思想である。
売れる売れないより、仕事を成し遂げることが、
僕個人的な目的だから、それでよし。
ノンフィクションは、作れないから仕方ない。

ということで、特にはっきりした獲物は無かったし、
原稿も100%完了したわけではない。
しかし、都会の雑踏から逃げ出した2週間は、
その後の都会での生活に大きな影響をもたらすのではないか
という、淡い期待をもたせてくれた。
自分自身、どのように自分が変化するのか、
ヒジョーニ楽しみである。

<余談編>

それにしても、最近のケータイメールには、
女性向のHな誘いが多いのはどうして?
いいかげんにして欲しい。
女性向のメールが僕に届くこと自体、
データベースマーケティングという、
今では極めて基本的なマーケティング手法を持っていない
愚かな戦略を自ら露呈しているに過ぎないことを、
経営者が理解しないとね。

板倉 雄一郎
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