板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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「懲りないくん」2001年7月15日号(24)

夏ばてと称して、だらけてる号。

7月8日(日曜日)

11時、MG嬢と共にランチのため、
代官山はサンドイッチハウス「トムス・サンドイッチ」。
ヒルサイドテラス内のこの店は、割と上質な食材を使った
高級(?)サンドイッチを食べさせてくれる。
今日は「コンビネーション2人前」を注文。
「牛肉」、「鶏肉」、「ツナ」、「トマト」、「ベーコン」、「レタス」、
「オニオンリング」、「細切人参」、「クレソン」、「ゆで卵」、
などなどの食材がディッシュに山盛り!
これを「フランスパン」、「食パン」のスライスに、
食材を自由に組み合わせて、乗せて頂くわけです。
まずは、「B・L・T」サンドイッチからスタート。
美味しいだけじゃなくて、二人でいろいろアレンジしながら、
頂く様は、おままごとっぽくて、楽しいですよ。

食後、あてもない東京ドライブ中に思いついたのは、
「自主的自動車試乗会」。
最近気になる2台を試乗しようと、
まずはホンダ唯一のフロントエンジン・リアドライブカーである
「S2000」に試乗のため、青山一丁目の本社ショールーム。
試乗車を用意しているディーラーを紹介され、いざ芝浦へ。
用意された試乗車は、シルバーというより「シジミ色」の
スタンダード仕様。

どういうわけだか、国産車ってのは、「色」のセンスにかける。
10年以上前の話しになるが、当時「白」の車が流行り、
「リセールバリュー」のために「白」を買う人が増えた。
おかげで日本中の車は白・白・白。
何年も乗るのに、自分の趣味を捨て、
数年後の数万円のリセールバリュー増加のために、白を買う。
「?」、僕には理解できない。
20年以上前の話しになると、色の事ではないが、
新車製造時に「シート」や「ドア」の内装保護のためについている
安っぽい「ビニールシート」を何年も剥がさないで
乗っている人が多い時代があった。
ビニールシートがぼろぼろに成って風になびく、
見るも無残な光景に首を傾げたが、
これも「リセールバリュー」のためらしい。
数年後の数万円のリターンのために、数年間、
「ぼろぼろビニール」と、気に入らない「色」に我慢するわけだ。
ところで、その我慢のおかげで手に入れた数万円で、
一体何を手に入れようと言うのだろう?

最近の試乗は、ディーラーの営業マンが
同乗しないことが多いらしい。
この日も、免許証のコピーや「誓約書」なるものへのサインの後、
MG嬢と二人で、S2000をドライブ。
この車、オープンボディーなのに、
ボディー剛性(つまりボディーの硬さ)が恐ろしく高い。
最近の車は「モノコック」というボディー形状
(つまり「卵」は割らなければ全体が硬い)をして、
ボディー剛性を確保するわけだが、
オープンボディーは、屋根がないために、
(つまり卵の一部が割れた状態)
ドア両端下の「サイドシル」でしか剛性を確保できない。
それなのに、なぜかこの車はしっかりできて居る。
不思議。
4000回転以上は爆発的なパワーが炸裂するという噂の
エンジンは、確かにそれ以下の回転数と断然違った加速力。
しかしながら、世界で最もスムーズに回る6気筒と言われて久しい
車を常用しているせいか、このホンダ製4気筒2Lエンジンに、
スムーズさを感じることができなかった。
スポーツドライビングを前提にした車だから、
サーキットで楽しまなければ、ほんとのところはわからない。
さっさと営業所へ車を返し、次なる試乗会へ。

帰りがけ、ホンダベルノ新東京港店の営業マンは、
路上にまで出て、深深と頭を下げ、挨拶をする。
その行為は、ルームミラーで彼を確認できなくなるまで、
続けられた。
本社ショールームでの接客態度といい、
最近のホンダは接客に力を入れている印象。

次なるは、最近デビューしたトヨタ「ソアラ」。
この車「メタルトップ」と称した、電気モーター駆動の
ハードトップコンバーチブルを備える優れモノ。
室内はメルセデスSクラスを凌ぐ豪華さ。
エンジンはセルシオと同等の世界で最もスムーズかつ静粛な
トヨタ製4300ccV8。
「これでもかぁ~」という技術を投入して、
「いたれりつくせり」の装備をして、
「まいったかぁ~」と作り手が言っているような上質な仕立。
オマケに製造コストが世界のどのメーカーより「たぶん」安い。
この20年、国産車、とりわけトヨタ車の進化は恐ろしいほど。
いや、「車」ではなく「工業製品としての乗り物」の進化
と言ったほうが正解だろう。
なぜなら、試乗後の印象が「特にない」からだ。
「車」というおもちゃとしての興奮や感動が全くないのだ。
これまた工業製品としての「出来過ぎ」なのだろう。
国産車は、「技術」そのものを追いかけ、
多分世界のトップレベルに成った。
しかしながら「技術」は何かを無し得るための手段。
国産企業は、車に何を求めて「技術」を進めてきたのだろう。

ある本の受け売りなのだが、
昔アメリカに超高級車メーカーがあった。
この会社の車は「高い」、「よく壊れる」、「走らない」の
三拍子そろった、工業製品としてはサイテーの代物だった。
それでも、そこそこ利益も上げ、
企業としては十分やっていける状態だった。
社長が変わり、新しい社長は、
「壊れない」、「安い」、「よく走る」車へと改良を重ね、
それ自体が満足できた頃、この車を買う人は居なくなった。
そして、会社は倒産した。
このメーカーの車を買う顧客は、
工業製品としての車の優位性より、
高くて、すぐに壊れて、走らない、つまり工業製品としては
優れていないものに投資する余裕という「ステータス」を
買っていたわけだ。
残念ながら改良後のその車では、
「いやぁ~、この車高いくせに良く壊れるんだよねぇ」っと、
友人知人に「自慢」することができなくなってしまったため、
売れなくなってしまったのだ。
「商品」とは一体何か?
これはヒジョーに重要な企業経営のファクター。
これを間違えると「高度な技術」も「礼儀正しい接客」も、
お金に変える事ができなくなるのです。

そうは言っても、トヨタ自動車の場合は、
ソアラに始まる高度な技術、マーケティング、
そして独自の経営手法によって、
1兆円の利益を出す、超優良企業。
だから、僕の趣味に合っていないだけで、
多くの消費者の心を掴んでいるということなのだろう。
と、一応断ってみたものの、その利益の根源は、
下請け企業へのコストダウン圧力に始まる、
サプライチェーンマネージメントとジャストインタイムという
絶え間ない経営努力の賜物であって、
決して、「商品の魅力による高付加価値」から
生まれているものではないと思う。
しつこいようだが、今のトヨタ車に、
少なくとも僕は、「初代ソアラ」が出た頃のような、
「ときめき」や「感動」を得ることが全くできない。

と言う事で、両車とも、僕の場合は、
大枚はたいて購入するところまで行かず。

7月9日(月曜日)

完全に夏ばて。
どうにもこうにも、体も動かず、やる気も無し。
こんなときは、体と精神に逆らわず、実家の船橋にて
犬と共に寝る。

7月10日(火曜日)

逆治療と称して、朝からホテル日航東京「スパ然」。
とにかく泳ぐ、そしてサウナ。
ちょっと体調良くなる。

15時、原宿のオフィスでビジネスミーティング3件。

18時、EM嬢とデートのため麻布十番はステーキハウス「一位」。
アスパラを挟んだ「山芋のクレープ」、
にんにく+卵黄で頂く「牛刺」などの前菜の後には、
数百グラムの中型「鮑」のステーキ。
「キモ」と「身」を上手に摘まんで頂くのがコツ。
最後は上質のサーロイン。
ああ、至極の時。

21時、EM嬢と柔道しながら、それでも素直に送る。

7月11日(水曜日)

13時、「懲りないくん」23号を執筆~送信。

17時、昨日に引き続きEM嬢とデートのため、
これまたしつこく白金はピッゼリア「イゾラ」。
もう、説明は必要ないでしょう。
これだけ通うわけは、お察しください。
とりあえず、僕のリコメンドは、
「カラマァ~リ」、「マルゲリータ+ルッコラ」、
そしてデザートに「カタラーナ」。
是非、お試しあれ。

21時、EM嬢と共に、原宿の自宅にて「映画鑑賞」

0時、映画の後、ベッドで熟睡のEM嬢を起こし、
成城の彼女の自宅へ送る。

7月12日(木曜日)

14時、「ネットビジネス協議会」での講演のため、銀座。

21時、実家の船橋へ戻り、犬と共に寝る。

7月13日(金曜日、13日の金曜日)

昼から「スパ然」

19時、MG嬢とデートのため、これまた、ほんとしつこく「イゾラ」。
僕は、先日の「スピリチュアルリーディング」によると、
2003年よりイタリアに移住ということになっているが、
もしそれが現実でも、きっと「食」には困らないだろう。
いやいや、「食」に限らず「衣」も「車」も、
しいては、「対女性」に関しても、僕がイタリアで「浮く」事は、
絶対にないだろう。
「ボンジョールノ」。

21時、自宅に戻り「ダンサーインザダーク」を二人で鑑賞。
珍しく「ホントに」最後までこの映画を鑑賞。
ティッシュをバリバリ使うMG嬢、彼女の意外な側面を垣間見る。
このところ「グリーンマイル」にしても「ダンサーインザダーク」
にしても、「死刑+冤罪」がテーマの映画が多い。

ある法学者の「死刑は犯罪抑止にならない」というコラムを
読んだ事がある。
死刑判決に至るような凶悪犯罪の場合、
それは「衝動殺人」もしくは「計画殺人」に
大きくわけることができると言う。
前者の「衝動殺人」の場合には、その結果が死刑だろうが、
なんだろうが、そのそも「衝動」で犯罪を犯すわけで、
死刑が犯罪抑止にはなり得ない。
後者の「計画殺人」については、そもそも「つかまらない計画」が
前提であるため、これまた死刑が犯罪抑止にならないと言う事。
賛否両論あるだろうし、被害者の立場になれば、
「冗談じゃない、殺せ!」という心理もあるだろう。
しかし、この二つの映画で一番印象的だったのは、
「死刑執行」を見守る被害者の遺族の顔から、
「満足感」や「達成感」を読み取ることができなかったことだ。
もっと正確に言うならば、そういう印象を与えない演出ということ。
それどころか、どちらの映画にしても、死刑される、
「犯罪とは無縁の人間」が、むしろ「死刑」を望んでいる点だ。
「死刑」という極刑と「死刑執行」という行為は、
本質的な解決になっているのだろうか、大変疑問ではある。

「犯人を殺してくれ!」っと被害者の関係者は思うのだろう。
そして、それがなされたとき、何も解決していないことに
気がつくのではないだろうか?
まさに、「所有」を追いかけ、手に入れたときに不幸が始まる、
それに酷似しているように思えてならない。
とまあ、当事者ではない僕は、こんな事を考えてしまう。

それよりなにより「懲りないくん」にも目を通すMG嬢、
「シーツ」は洗ったのか、「バスローブ」はどうなってるのかと、
他の女性の物理的痕跡については、かなりうるさい。
もちろん、その辺はしっかりやってますってば。

7月14日(土曜日)

12時、MG嬢のICU時代の女友達と共に、
ランチでお世話になっている原宿は「カフェ632」でランチ。

17時、EM嬢とデートのため、青山はタイ料理「サラタイ」。
日本語がろくに話せないタイ国籍の「お母さん」が作る、
本場タイの家庭料理。
日本風のアレンジは、
「食材調達」の関係で仕方なくしているのだが、かなりGOOD。
「空真采」というクレソンのような野菜の茎が中空になっている
食材の炒め物はサイコーです。
スタートアップは、はやり「タイ風さつま揚げ」。
仕上げはココナッツ風味の「グリーンカレー」。
それでも足りなければ「トムヤンクンラーメン」。
(トムヤンクンは、海老無しもリクエストできます~
僕のように、海老蟹アレルギーの方へは朗報)
メニューは全て写真付きなので、始めてでも安心。
しかも低価格。
是非お試しあれ。

22時、起業家赤石太郎私邸の月例パーティーに出席。

23時、「パールハーバー」を鑑賞のため、
EM嬢と共にお台場は「メディアージュ」。

28時、この映画「?」。
正直、面白くない。
「ここで終わりだな」というポイントが3箇所ぐらいあって、
それでもズルズル終わらない。
そして、「感動」は全編を通して、少なくとも僕の場合は、
全く得られなかった。
「インディペンデンスデイ」の再来か。
恋愛と戦争とどっちつかずの平凡映画でした。

ということで、今週は夏ばてのせいか、
あまり力入ってなくてごめんなさい。
来週は、イベントたくさんなので、がんばりまぁ~ス。

今週の訂正
21号登場のレストラン「セラン」は、フレンチと書きましたが、
イタリアンの間違いでした。
大変失礼しました。

板倉 雄一郎
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