板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

企業価値評価・経済・金融の仕組み・株式投資を分かりやすく解説。理解を促進するためのDVDや書籍も取り扱う板倉雄一郎事務所Webサイト

feed  RSS   feed  Atom
ホーム >  エッセイ >  懲りないくん  > 「懲りないくん」2001年5月20日号(16)

「懲りないくん」2001年5月20日号(16)

今週は、デートなし、食情報も特に無し、
で、結構仕事してる号。
はじまりはじまり。

5月13日(日曜日)

一日中、実家の船橋で寝る、ひたすら寝る。
そして、僕の一番大切な仕事である「物思い」にふける。

ここ最近の周囲に対する「幻滅」が、
僕の中で解決していることに気が付く。
周囲に対する幻滅が多いと言うことは、
すなわち自分の求めているモノが間違っているのか、
求める手段が間違っているかのどちらかであって、
周囲の問題ではないということに
気が付いたのが解決の理由。

たとえば、前出のHA嬢のように、
周囲から「ヤリマン」扱いされる噂が発生しても、
噂である以上、その原因が誰であるかを、
特定しようとする行為は事実上意味が無い。
噂である以上、
噂が噂を呼んで、いつか本人が認知する事になる。
ほとんどの場合、本人が認知する段階では、
既に、複数の人間の情報集積による
噂の形成となるわけだから、
仮に最初の言い出しっぺを特定できても意味は無い。
だから、自分にその責を帰す事による、
自己の成長以外に、
噂の損失を取り返す方法は無いと言える。

周囲に対する幻滅も、自分に不利な噂も、
一見周囲の責に帰してしまいそうだが、
その行為は、自分に益の無い自己満足に過ぎない。
あらゆる事を自分の責に帰す事、
そして、それを生きている以上最初から覚悟する
自己リスクによる行動が、
すなわち自己のバリューに変換され、
結果として、自己の幸せにつながると言える。

パットメセニー(ジャズギタリスト)のCDをかける。

僕は、19才で起業するまで、
ずっと音楽の道に進みたかった。
ギターとサックスで、
その道を極めるなどと言う幻想があったのだ。
しかし、パットメセニーの演奏を見聞きしたとき、
僕はその全てを、あっさりあきらめた。
「パットはすげぇ~! 僕には無理だ!」っと。
そして、読者は笑うだろうが、
パットよりビルゲイツの方が、
僕には近いと、僕に起業の道を選ばせたのです。
まあ、その結果は周知の通だけど。

高校2年のとき、僕はある女性に恋をした。
彼女は、僕の高校の近くにある女子高の生徒で同じ年。
何度かデートを重ねるが、一向に進展しない関係に、
僕はいらいらしていた。

彼女の兄は、
僕と同じ進学校の生徒で成績はトップクラス。
「なぁ~んだ、ガリベンヤローか」っと思っていると、
一方で彼は、当時新宿あたりのディスコに繰り出し、
「ディスコキング」なんてのにも成る程の
遊びの達人だと知る。
勉強もルックスも遊びもこなす彼に、僕は嫉妬した。
そして、会話の機会の少なかった父親に、
めずらしくその事を話したとき、
彼は間髪いれずにこう言った。

「おまえは、その彼に悔しさを感じているんだろ。
それなら、おまえは、彼の側の人間だという証拠だ。」

現在も健在な父親が、僕に贈ってくれた言葉の中で、
一番印象に残っている言葉である。
父親のこの言葉は、
僕をして、彼女を手に入れる事より、
彼女の兄を超える事に向かわせた。

人は、「こいつスゲ~なぁ~、羨ましい」と思えば、
その人を超えられない。
逆に「こいつやるじゃねえか、悔しい」と思えば、
少なくとも、その彼を超えたいという意思を認識できる。
僕は、父親のこの言葉を起源に、
自身のやりたい事を、
自分の気持ちに問い掛けるような
行き方をするようになった。
それが結果としてどうなるか、
それは僕が死ぬまでわからない。

もう、20年も前の話である。

また寝る。

5月14日(月曜日)

昼から「スパ然」。

17時、公認会計士で、
「メッツ」を初めとする
いくつかの企業の公開業務をこなし、
現在も複数のベンチャー企業の支援をする、
筧 悦生氏が来社。
特にミーティングの目的を
明確にしていたわけではないが、
彼のように過去に実績があるばかりではなく、
現在もその土俵で、
自己の価値を上げようとする姿勢の人間と話すのは
楽しい。
「メッツ」は、彼の業務のおかげで、
上場企業中、決算発表最速の記録を維持している。
その記録、なんと決算日から2日で決算発表!
すごい。

18時、僕もパートナーを勤める
ネットキャピタル社の社長江見氏が、
あるベンチャー企業の役員からスピンアウトした
企業志望者2名と来社。
過去の資産に囚われずに、
新規ビジネスメソッドを模索すべきと起業指導
(と言うほどでもないか?)

21時、PCワーク。

5月15日(火曜日)

朝からPCワーク。

14時過ぎ、「浜名湖クラブ」で講演のため、
東京駅より「ひかり」で一路浜松へ。
この地は、ベンチャー企業を生む風土があるらしい。
HONDA、YAMAHA、SUZUKI、
トヨタ自動車(大昔の経営危機でこの地に居たのです)
ローランド、などなど、
名前をあげたら切が無い程の企業が、
この地から生まれ、育って行った。
磁場か、地理か、それとも人種か?
理由はそのうち調べてみたいと思う。

演題は「敗者復活の経営学」。
何度も失敗して、
そこから何とか立ち直ってきた僕にとって、
この演題は調子が良い。
失敗から復活するその過程には
「失敗をしゃぶり尽くす」こと
そして「自己のポジショニング」が重要である
という話しで1時間半。
ご存知のように、僕の最大の失敗である
ハイパーネットの倒産からは、
「失敗をディスクローズする」という、
それまで誰も居なかったポジションを
取ってきたというわけ。
それがどうなるか、これまた僕が死ぬまでわからない。

20時、浜松からの帰途、「懲りないくん」15号を執筆。

21時、東京駅より船橋へ帰り、PCワーク。

5月16日(水曜日)

予定が無いので、船橋の実家で、
家のペンキ塗りを初めとする男物の家事手伝い。

昼、ついでに昼食も作る。
メニューは男料理の定番「カレー」。
豚肉のロースがメイン。
水は極力使わず、たまねぎのみじん切りで水分を取る。
ルーは使わず「ターメリック」で色、「ガラムマサラ」で香。
その他香辛料たくさん入れて、生姜も入れる。
そして、サラサラスタイルの僕のカレーの出来上がり。
両親と食す。
結構うまい。

19時、腹ごなしのため、「スパ然」。

22時、原宿の自宅へ

5月17日(木曜日)

13時、ハイパーネット時代に大変お世話になった、
読売新聞社のSM氏とランチのため、
原宿はグローバルダイニング社経営の「ラボエム原宿」
「明太子スパゲッティー」のセットに「マルゲリータ」。
と、炭水化物をたくさん頂く。
SM氏とは同い年のためか、
それぞれの将来について、話しこむ。
同い年とは思えぬ彼の紳士な姿勢に、
僕も見習おうと、ちょっとだけ思ったりする。

15時、夜遊び仲間からはじまった、
某大手商社HD氏来社。
ビジネスミーティング。
ビジネスネタを提案。

16時、田中康夫長野県知事から依頼されていた、
長野のIT化計画検証のため、
長野県より、阿部守一企画局長以下
5名の県職員来社。
最初にIT化計画の概要を拝見するが、
残念ながら
ハードウェアインフラストラクチャー整備ばかり。
この部分はお国のIT基本戦略も同じだが、
手段と目的が取り違えられている。
「なにをするか」が具体化されていないところで、
その「道具」ばかりが先行していることを指摘。
もっとお金のかからなく、
かつ今やるべきインフラ整備ってあるのです。
それを具体的に提示。
この案をどう処理するかは、不明。

18時、インキュベート先
NA社のミーティングのはずが、
僕は、突如体調不良により、キャンセル。
どうやら、また、風邪を引いたらしい。

5月18日(金曜日)
朝起きると、体調復帰。
早めの風邪薬がよかったらしい。

13時、昨日のHD氏が、僕の提案を気に入ったらしく、
部下を連れて来社。
この案、具体化したら面白い。

16時、体調を整えるため「スパ然」

5月19日(土曜日)

朝、犬に会うために、船橋へ。

20時、「スパ然」

21時、起業家赤石太郎氏自宅のホームパーティー。
久しぶりの女性の姿に、自分を取り戻す。
2名のお嬢様と連絡先交換。
うち一名をピックアップし、夜中の首都高へ。
TI嬢は、僕の「複数恋愛主義」を理解してくれる女性。

「複数恋愛主義」と「複数の異性との交際」では、
一見同じような行動に見えるが、根底が全く違う。

「複数の異性との交際」は、情報制限や芝居によって、
一対一恋愛を複数成立させる方法。
それに対して「複数恋愛」は、
同一の「場」において、同一の「キャラクター」で、
複数の異性と付き合う方法。
簡単に言えば、「複数の異性との交際」は、
その相手によって、自身のキャラも変え、
嘘もつき、芝居もする。
他の女性との交際については基本的に語らない。
言い方を帰れば、全ての交際が「うわき」。
君だけじゃないのに「君だけだよ」とか言って
相手の気を引くわけだ。

それに対して「複数恋愛」は、
そもそも自分が複数恋愛である事を、
初期にディスクローズして、
それでも良いという相手と付き合うってこと。
当然自身のキャラもプロファイルも「場」も同一。

僕は、当然「複数恋愛主義」。
なぜなら、僕は器用じゃないから、
他の女性との事を言わないなんて無理。
だからと言って、他の女性の個人が特定できる情報と
その女性の行動をリンクさせて話すことはしない。
さらに「人の良い部分を見る」と心がけているので、
(100%できているわけではないが)
それぞれに良さを見出してしまう。
だから、あれもこれもになってしまうのです。
一方、どの女性に対しても、
僕の中では優劣は全く無い。
目の前の女性との交際を真剣にこなすのみ。
それはすなわち、どの女性も、僕にとって、
誰かの代わりや、暇つぶしの道具ではないということ。
とまあ、「男の都合だ」とか
「遊んでいるだけじゃないか」とか
言われそうだし、それもまた事実かもしれない。
しかし、
ディスクロージャー・ミーンズ・フェアネスと考える僕は、
自分を伝えることが、女性に向けば、口説きに成る。
仕事に向ければ、営業行為になる。
書く事に向ければ、「懲りないくん」になる。
つまり、
自分が何者かをディスクローズした上での
人間関係が無いところで、
自分の存在を確認できないって事。
生きる意味を感じないって事。

首都高~横浜線に入り、藤沢まで彼女を送る。

横浜新道~千葉へ向かう僕は、
そのまま高速湾岸線に向かうところを、
久しぶりの第三京浜。
ゆっくり走っていると、
後方から、ものすごい速さで近づくライトを発見。
一旦道を譲れば、
シルバーの「Porsche 911 Carrera-S」。
世田谷料金所まで彼とランデブー。

首都高3号線から船橋へもどり、犬と寝る。

と言う事で、船橋と原宿を行ったり来たりしながら、
これからはじまるいくつかのプロジェクトの
準備という週。
来週は、ちゃんとデートしましょ。

板倉 雄一郎
Copyright c 2001 Yuichiro ITAKURA All rights reserved.





エッセイカテゴリ

懲りないくんインデックス