(毎週火・木・土曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)
板倉雄一郎事務所パートナーのK.Shimodaです。
本日も統計の時間がやってまいりました!
“読むだけで数字に対する直感力が身に付く”
「統計のお話し 第12回」をお届けいたします。
さて、真っ当な株式投資も発売されたことですし、
今回からしばらく、日常生活やビジネスからは
少し離れて、金融に関わる統計についてお話していきます。
第1回として、まずは真っ当な株式投資P111の図の
解説をしてみましょう。
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○【ファイナンス編】真っ当な株式投資の図
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111ページには、1950年から2002年までの、
株式投資の投資期間と年平均リターンのばらつき
ということで、以下のグラフがありましたよね。
(細かい数値は表記していません)
このグラフを初めて見た方は「ん??」と思われたかもしれません。
確かに、こういうグラフは非常に珍しいですね。
このグラフは元々バートン・マルキール著
『ウオール街のランダムウォーカー』からの引用ですが、
いかにも(いわゆる)コンサルタントが、
クライアントへの説明の際に使ってきそうな、
説得力と、ほどよい難易度を併せ持ったグラフです(笑)。
さて、まずこのグラフの見方ですが、全てを見る前に、
下記の赤で囲まれた1年の部分だけを読み解きましょう。
さて、この図ですが、恐らく下記のような表が元に
あったはずです。(数字は仮のものです)
この表で、年の平均リターンは当然ばらつきますよね。
例えば、2005年の日経平均は+40%超だったり、
別のある年はマイナスだったりするわけです。
(ちなみに、このグラフの元データは米国市場のものと思われます)
そして、この表の最大値が52.62%で、最小値が-26.47%のため、
このグラフの1年の部分は、-26.47%?52.62%という幅を
持ったものになったわけですね。
1年の場合は、直感的にも分かりやすいですね。
ある年の年初に市場全体に投資して、後はほったらかしにしたとき、
年末の時点で、52%儲かる年もあれば、
26%損をしてしまう年もあった、ということです。
では、25年の場合はどういうことなのかと言いますと、
下の表のように、1950年?1974年のCAGRを求めます。
(以下の数値は仮のものです)
CAGR(年平均成長率)って何?
という方もいらっしゃるかと思いますので、軽く説明しますね。
1950年の値から毎年、複利で5%成長し続けたら、
1974年の値になった。
この場合、25年間のCAGRが5%という事になります。
計算式にすると、ややこしくなりますが、下記のようになります。
CAGR={((X+α)年の値 ? X年の値)^ (1÷α)} ? 1
式に抵抗がある方は特に覚える必要はありませんが、
当該期間において、複利で何%成長したのかを求めたい場合に
使ってください。
さて、CAGRのイメージを掴んでいただいた上で、
25年という期間のグラフに戻りますね。
まず、下記のそれぞれの数値を求めます。
1950~1974のCAGR
1951~1975のCAGR
・
・
・
1977~2001のCAGR
1978~2002のCAGR
グラフは、これの最小値が7.94%で、最大値が17.24%である、
ということを表しています。
これだけ聞くと「へぇ?、損はしないのね」、ぐらいに
感じるかもしれませんね。
しかし、ここで思い出していただきたいのが、
このパーセンテージは複利の平均成長率であるという点です。
最悪でも、25年間7.94%で成長し続けたということです。
具体的に計算しますと、
元の資産が約6.75倍になります!(=(1+7.94%)^25)
これは、あなたが最悪のタイミングで投資をし始めたとしても、
25年後には、6.75倍まで資産が増えることを意味しています。
逆にもっとも良いタイミングで投資をし始めた人であれば、
資産が53.3倍になります!(=(1+17.24%)^25)
134ページで、「時間は友人」とありますが、こういうことですね。
これは、あくまでアメリカ市場の話であり、
かつ、過去の実績に過ぎないのは事実です。
しかし、市場平均に投資して、これだけの実績を
上げることができた、ということも事実です。
もし、市場平均のようなものではなく、
優良な個別株で、かつ、割安なときに買うことができたら・・・。
以上のようなことを教えてくれるのが、
真っ当な株式投資P111の図なのでした。
あまり統計っぽい話ではなかったですが、
見慣れないグラフに面喰らった方は
参考にしていただけますと幸いです。
2007年4月13日 K.Shimoda
ご意見ご感想、お待ちしております!
PS
ITAKURASTYLE「真っ当な株式投資を書いた理由(2)」
にありますとおり、「株式をひたすら長く保有しよう!」というのが、
同書の狙いではありませんので、誤解なきようお願いします。
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