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統計のお話 第17回「晴れた日は投資をしよう」


(毎週火・木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)
板倉雄一郎事務所パートナーのK.Shimodaです。
本日も統計の時間がやってまいりました!
“読むだけで数字に対する直感力が身に付く”
「統計のお話し 第17回」をお届けいたします。
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【ファイナンス編】晴れた日は投資をしよう
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突然ですが、
晴れた日は、雨の日に比べて株価が上がりやすいことを
知っていますか??
え~~、ホント?!
と思われるかもしれませんが、本当のことです。
下図は2004年8月~2006年7月までの間に、晴れ、曇り、雨の場合、
日経平均の終値が前日からどのように変化したかを集計し、
図にしたものです。

晴れの日は明らかに高くなっていますね。
もちろん、市場全体が下がっている期間だけを抜き出したり、
短い期間だけを選び出せばこの通りの結果は出ないでしょうけれど、
ある程度の長さの期間を選べばこういった傾向が出てくることが
知られています。
天気が株価に影響してくる??
つまり天気と株価に相関がある??
確かに、計算上は相関があるように見えますが、
短期的な天気が企業価値に影響を及ぼしているとは考えにくいです。
(企業によっては、気候が企業価値に多少影響しますが。
冷夏であれば、ビールの消費量が落ち込んだり・・・etc)
ちなみに、数字の上での相関があってもそれが実際に
“影響を及ぼしているのか”どうかが問題です。
(参考エッセイ:統計のお話 第4回「相関と因果」)
この場合、天気が企業に対して、
長期的に影響を与えているとは考えにくいです。
しかし、データでは、天気が晴れだと株価が上がる、というわけです。
こういった“理論的な裏付けは全くないにもかかわらず、
比較的よく当たる経験則のこと“をアノマリー(現象)と言います。
アノマリーは、市場を形成する人間の集団が引き起こします。
アノマリーが起きているときは、ミスプライスが起きるわけです。
価値の高いものが安い価格で売買されたりします。
もちろん逆も然りです。
また、アノマリー以外にも、ライブドアショックに代表されるような
暴落も市場の過敏な反応もミスプライスの原因になりますね。
当然投資のチャンスです。

では、アノマリーや暴落以外に投資のタイミングはあるのかどうか、
というと、“あまりない”というのが、正直なところです。
(感覚的にも理論的にも)
なぜなら、市場はそこそこ“効率的”なので、
あんまりミスプライスしてくれないわけです。
さて、ここで、“効率的”の説明をします。
効率的とは、ニュースや材料は全て株価に織り込まれており、
株価は常に適正価格になっているという考え方です。
株式市場はプロがたくさん参加しているところです。
彼らは優秀な大学を出て、勉強熱心で、頭も良いです。
(そうでもない人もいます)
そんな人たちが多額の資金を投じて、
かつ、いつも、株式市場にミスプライスされた株が
落ちてないか血眼になって探しているわけです。
彼らはファンダメンタル分析やテクニカル分析、
それ以外のたくさんの予測手法を用いて、
お買い得な株を探しているのです。
(僕らが働いているときも、プロたちは探しています。)
頭の良い人たちの激しい戦いによって
価値の高いものを安く買う機会がほとんど無くなります。
こういう良い機会は生まれた瞬間に
別の誰かがすぐに埋めてしまい、裁定されてしまいます。
良い機会をあなたが気づくまで
ゆったりと放置しておいてくれません。
これが現実です。
つまり、良い投資機会は、バフェットが言うとおり、
そう滅多にあるものではありません。
こういった環境の中で、僕ら個人投資家が良いパフォーマンスをあげるには、
1.企業価値評価の目を磨いて、
2.暴落やアノマリーで割安になるのを待ってから買い、
3.長期で保持する(プロは期限を選べません)
の3つが大事ですね。
結局、株式市場は人が動かしているわけですから、
多少、投資家が賢くなったとしても、人間が人間である限り、
これからも投資のチャンスがなくなることはないでしょう。
その点はご安心ください。
ただし、投資チャンスを“待つ”必要はあります。
実際のところ、“待つ”のが非常に難しいですよね~(苦笑)。
2007年7月12日 K.Shimoda
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