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統計のお話 第9回「統計本の選び方」

(毎週火・木・土曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

板倉雄一郎事務所パートナーのK.Shimodaです。
本日も統計の時間がやってまいりました!

“読むだけで数字に対する直感力が身に付く”
「統計のお話し 第9回」をお届けいたします。

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1. 【ビジネス編】あなたのビジネスに統計を活用する方法
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最近は、【日常生活編】が多かったので、
今回は実用的な【ビジネス編】で参ります!

今日のエッセイの目的は、
統計の航海図を手にしてもらうこと、です。

ビジネス上で統計が必要な局面が出てきた際に、
統計のどの分野の本を手に取れば良いかを
解り易くお伝えしたいと思います。

さて、本エッセイをお読みのあなたは、
本屋の統計のコーナーに足を運んだことがありますか?

私は先日、渋谷のブックファーストに立ち寄ったときに驚きました。
統計関連の棚の幅が3メートル、高さが2メートルにも
及ぶものだったからです!

こりゃあ随分多いなぁ?、と思ったら、
さらに、その本棚の裏側にも統計の棚があるじゃないですか。

うーん・・・。

これでは、統計を学ぼう、と思った人に
いきなり挫折感を与えてしまうかもしれませんね(笑)。

では、なぜ、これだけの書籍が出ているのか、というと、
1. ニーズがある
2. 分野が多い
3. 用途が分かれる
大まかにいって上記の3つのためだと思います。
それぞれ見ていきましょう。

1.ニーズがある

統計(学)というのは、以前のエッセイで書いたように、
「要約と予測の技術」です。

現状のデータを要約し、それを元に未来を予測する。
ビジネスに凄くフィットしますよね。
当然、ビジネスの様々な場面で活用されているわけです。

しかし、多くの方は学生時代に統計学を学ばないので、
社会人になり、必要に迫られてから勉強するんですね。

(個人的には、高校1年の必須科目にして欲しいです。
数字にダマされる人が多すぎますし、
自己責任の現代では、必須科目だと思うのですが・・・)

そのため、統計本のニーズがある、と。

2.分野が多い

統計を難しく感じさせる原因の主なものがコレです。
統計ってとにかく分野が広い!
商社のラーメンから宇宙まで、じゃないですが、
金融、飲食、製造、サービス、などなど、たくさんの業種で、
経営企画、品質管理、マーケティング、などなど、たくさんの職種で、
日々使われています。

具体的に見ていくと、

・統計解析
・多変量解析
・実験計画法
・時系列分析
・分布
・検定・推定
・サンプリング
・統計の歴史・読み物

等など・・・

これらはいずれも統計分野の話には違いないのですが、
用いられている手法がかなり異なるため、
出てくる数式も違えば、応用できる分野も違います。

そのため、各分野ごとの本がドンドン出てくるわけです。
とても一冊にとてもまとめられないんですね。

3.用途が分かれる

2.の分野が多いことに加えて、
それぞれの分野の中に、

・ビジネス向けのもの
初心者向け
中級者向け
専門家向け
・研究・学習向けのもの
初学者向け
中級者向け
専門家向け

といったように、書籍によって随分レベルが分かれます。
仮に妥当な分野の本棚の目の前に来たとしても、
誤ったレベルの書籍を選んでしまうと、
学習が進まなかったりしますね。

と、いうわけで、統計本が選びにくいことの
長~~~~~い前置きを終えて、
書店の統計コーナーで立ち往生してしまった経験を持つ
あなたにお送りする、
ザックリとした書籍の選び方【ビジネス】編をお送りします!

まず、はじめに。

迷わずに、エクセルを使っている本を選びましょう。

例えば下記のような本です。
Excel徹底活用ビジネスデータ分析

こちらのようにExcelを使ったものは、
多数出版されていますから、
大型書店に行って、何種類か手にとって選べば
あなたにとって良いものが必ず見つかると思います。

Excelを使ってイメージを掴むこと、
苦手意識をなくすこと、
が何よりも大事だと思います。

上記のような本で、
「自分が求めている統計手法」を明確にして下さい。
自分のビジネスにとって必要だと思われる分野を
特定することが第一歩ですね。

そうすれば、大型書店でも迷わずに欲しい分野の本に
たどり着けます。

中小企業で使う統計はこういったExcelを使った本で
十分なことがほとんどです。

さて、次にもうちょっと細かい用途を3通り想定し、
個別に学習の進め方を書いていきます。

1.大量のデータを扱う方

何はともあれ、大量のデータを扱いたい方は
まず、やっぱりExcelを使った
「多変量解析」の本で学びましょう。

社会学や心理学系の実験には必須の知識です。
また、流通業のような大規模データを扱う場合も
無くてはならない知識といえます。
(有意差の有無を判定するために検定も学んだ方が良いでしょうね)

多変量解析はかなり使える分野ですが、
扱うデータや目的により、
重回帰分析、主成分分析、数量化(1)?(3)類、
クラスター分析、因子分析、などなど多数ありますが、
自身が必要としている解析手法はどれなのか、を
探るために、全体像を理解して下さい。

必要なものを見極めたうえで、
より深い専門書を探していきましょう。

もちろん一つだけの手法を学ぶよりも
複数の手法を学んだ方が、
数学的にもより深い理解になりますし、
応用的な考え方もできるようになりますので、
たくさん学ぶこともオススメです。

2.実験回数を減らしたい方

メーカーやそれに関係するビジネスを行っている方は
あらゆるものの全体最適を、
求めなければならない状況になります。

まったくのブラックボックスから
如何に、高い費用対効果で、
最適と思われるものを探し出すか。

これをやるのが実験計画法です。

実験計画法も実に色々な本が出ていますので、
書店で実験計画法の本を見て、
分かりやすそうなものを選びましょう。

3.統計の基礎をしっかり学びたい方

仕事で統計をすでに使っているが、
背景にある統計の理論などをしっかり学びたい、
という方は、入門 統計解析法がオススメです。

データの整理、みたいな基礎的なところから、
分布と期待値、検定と推定の考え方、分散分析、
相関分析、回帰分析など、統計の基礎は一通り学べます。

この本は、私が学生時代に使っていたものですが、
理論も犠牲にせず、実用的でもある本です。
学生にも凄く人気でした。
(私は今でも使ってます)

また、トヨタの品質管理関係の業務の方も必携の書という
噂を聞きました(ウラはとってませんが)。

4.1?3に当てはまらない方
上記のパターンに当てはまらない方は、
自分の仕事で使う統計のことをよくイメージして下さい。
イメージした上で、書店の本棚と向き合いましょう。
全体像が把握できるような入門書らしきものや類書を
手にとって、どれを購入するかを検討しましょう。


最後に。
統計関係の書籍の特徴ですが、ハズレは少ないです。
そのため、あなたに合うかどうか、が最も重要になります。

最終的にはアマゾンで購入してかまいませんが、
一度は大型書店に出向いて、色々な統計本に触れてみてください。

多くのものが得られるので、オススメですよ!

2007年2月27日 K.Shimoda
ご意見ご感想、お待ちしております!

PS ちなみに、私の自宅の最寄駅にある、地域で一番大きな本屋には、統計関係の本は1ミリたりとも置いてません・・・。
場所によって全くニーズがないのも統計本の特徴でしょうか(笑)。

PS2 ビジネスで当面使う予定はないけれど、統計は興味がある、という方は統計関係の読み物がオススメです。例えば、「確率・統計で世界を読む」は、統計が世の中でどのように使われているかの実例を読みながら、統計的考え方を学ぶことができます。

統計のお話バックナンバー
統計のお話 第8回「あるある大事典のウソ」

次回のパートナーエッセイは3月1日(木)にTakamura氏が担当します。





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